リリーとバート
王様達にシラコメの宣伝をして、王都見物に繰り出した。バートはさすがに王都に住んでいるだけあって詳しい。
ダンジョン産の輸入品専門の店を教えてもらい、硬い木の実に入った、生チョコレートを見つけた。この前見つけたカカオの実との違いがよく分からないけど、そういう物だと思った方がいいのかな?
それと、珍しいお酒が売っていたので、おみやげに買っていく事にした。
その他、リリーの好きそうな可愛いアクセサリーや、服等見て回った。
「今日はどこに泊まるんだ?」
「リリーが明日朝早くから出航の準備があるから帰るよ」
「明日?」
「私、亜空間移動使えるから」
「マジかよ…このチート野郎め」
「頑張った結果だもん。ズルじゃないもん」
「頑張って7歳で亜空間移動使えるなら、誰も苦労はしないぞ!」
「バートだって祝福持っているんだから、頑張って覚えたら?」
「この前、空間把握と空間指定っての覚えたけど、使い方がいまいち分からない」
「空間把握は、その後で覚える収納庫で使うんだよ。空間指定は、その場所で魔法を使う感じかな」
「おー、収納庫。欲しかったんだよな」
「その次が亜空間だから、自分の部屋を作れるんだよ。亜空間移動は、その次だね」
「長いな」
「まあ、頑張って」
「とりあえず収納庫は絶対欲しかったから、頑張るさ。なら、どこかで夕ご飯食べて行くか?」
「おごってくれるの?ありがとう!」
「Sランク冒険者のくせにせこい奴め」
「ほらリリーも。大丈夫、こんなんでも公爵だから」
「あ、ごちそうさまです」
「はいよ」
さすがに王都の料理店、すごく美味しい。
「ルーナは美味しい物食べている時が一番いい顔するよね」
「私もそう思う。考えていること丸分かりなのもいいよな」
「む、酷い。私が食いしん坊みたいじゃない」
「みたい、じゃないだろうが」
「だね」
「むう…確かに美味しい物は好きだけどさ」
ご飯があるんだから、カレーとか、ネギトロ丼とか、そうだ、鰻丼も作らなきゃだよね。ミノタンの肉で牛丼とか。
「えへへ」
「平和だなー」
「そうだね」
オニキスも笑っている。そんなに分かりやすいのかな?
「じゃあ、またね」
「おう。亜空間移動使えるんだから、もっと頻繁に来いよ」
「私だって忙しいの!バートだって一応仕事してるんでしょ?」
「一応とか言うなよ」
二人でエレインの街に戻って来た。
「どう?」
「うーん?看破かけられたのかな?」
「分かる人と分からない人がいるからね。でも、最近は本当に気をつけているみたいだから、大丈夫じゃないかな?」
「へえ。ちょっと軽い感じだけど、悪い人じゃないのは分かるよ。まあ、友達としてなら面白そうな奴だね」
「ん、良かった。じゃあ私もボルドーに帰るね?」
「うん。またね!」
アイツももっと友達が増えれば、少しは変わると思うんだよね。
家に戻って部屋に入ると、眷族達が人化して寄って来た。お出かけすると、オニキス以外は大概影の中だから、寂しいんだよね。
なでなでしてたら、オニキスも混ざってきた。夕べはリリーがお泊まりだったから、寂しい思いさせちゃったし。
傍から見たら、すごい光景だよね。子供に頭撫でられて喜ぶ大人って。
あ、みんなもふもふ化した。そしていつかの光景。せめて亜空間に入ってからにしてほしいんだけどな。
今日は、色々あったから疲れたんだよね。
このままオニキスにもたれかかって寝てしまおうか?
誤字報告ありがとうございます。読みながら書いていても、なかなか気がつかないものですね。




