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おネエさん

 今日は、ギルドの仕事を受ける事にした。普通に薬草採取だけど、この季節はハーブの種類が豊富だから、採っておきたい。特にミントティーは、生が1番好き。アイテムボックスに入れておけば、いつでも新鮮なミントティーが飲めるのだ。薬草採取は街の周りで出来るので、今日は一人。兄様達は、釣りをするって言ってた。

 魔物避けの壁沿いを歩いていて、ふと視線を感じて振り返る。今まで確かに何も居なかったはずなのに、そこには大きな白い虎がいた。でも、魔物なはずなのに、不思議と怖くなかった。

 看破 神使の天虎 主 ルミナリア

「契約獸…なの?」

 神様の使いって事なんだよね。金色の、綺麗な瞳

「コハク、あなたの名前はコハクだよ」

(ふふん、このワタシが守ってあげるんだから、感謝しなさいよねぇ)

(ええっ?男…だよね?)

(失礼ね!体は男だけど、心は立派な乙女なのよ!)

 まさかのおネエさんだった。


 コハク(230) 主 ルミナリア

 神使の天虎

 レベル 312

 スキル 雷魔法 重力魔法 聖魔法 時空魔法

 補助魔法 魔力纏 爪斬撃 噛みつき 威圧 

 超速回避 高速演算 直感 分身 瞬脚 

 縮地 高速飛行 縮小化 透明化 魔眼 

 念話 多重思考 守護 結界 気配隠蔽 看破

 隠匿 立体機動 偽装


 凄過ぎる。色々な意味で。

 サファイアよりも大きくて、体毛は短く、しっとりしてベルベットの手触り。模様は虎だけど、豹にも見える。

(神様に頼まれたの?)

(そうよぉ?あなたは大切な子だからって。でも、ワタシもルーナの事、可愛いから気に入ったわ!)

(ありがとう。とりあえず小さくなってね?そして他のみんなとも仲良くしてね)

 小さくなった姿は猫みたいだ。

(どう?美しいでしょ?その辺の猫と一緒にしないでね?)

 仕事を終えて、海岸にいる兄様達と合流する。

「猫じゃないな…また凄いのを拾って来たね。契約したのかい?」

「うん。コハクだよ」

「チビちゃんには分かってるのか?天虎はSランクの魔物だぞ?まあ、分かる奴は少なくだろうけど」

「本当に、子供とはいえよく契約出来たね。早めに首輪を買って、登録した方がいい」

 

 首輪は、本人の希望で赤いリボンになった。かなりの長さにしてゴムを通したので、今はシュシュみたいになっている。そこに金属製のチャームを付けて、黄色い契約石を付けた。

「雄だよね?その前に布製じゃ強度が心配だけど」

 そっちは錬金術の強化をかけた。

「だって本人がこれがいいって言うんだもん」

「え?言葉が分かる…念話が使えるの?…ルーナ、まさかハザード様の加護も頂いているなんてことは…」

「えへ!」

 バレちゃった。

「はあ…それで天虎とも契約出来たんだね。染料を買って茶色に染めた方がいいな。ブッシュタイガーだと偽装した方がいい」

(そうね。仕方がないからやってあげるわ)

 毛色の偽装は自分で出来るようだ。

「ルーナ…もう隠していることはないかな?」

「ハザード様の加護は、国によっては差別の対象になるって聞いたから、隠しただけだよ」

「そうか。叔父さんは知っているんだね。ならいいよ」

 本当は知らないけど。追求されたら後から付いたってしらばっくれよう。

(私とした事が、却って目立たせてごめんなさいね。先に偽装しておけばよかったわね)

(私も、魔物の種類とか殆ど知らないから、勉強不足だったよ)

(なら僕もSランクだから気をつけてね)

(ボクちゃんは、Sランクでも子供じゃない。ヒスイちゃんは、存在自体が違うし)

(そうなの?まともな獸魔ってモモだけ?)

(それでもエンジェルスライムは希少種だね。モモとヒスイはなるべく陰に入れて守ってあげた方がいいよ。人間の好奇心は怖いから)

(うん。気をつける)

(それでも1番に守らなきゃならないのはルーナちゃんなんだから、そこは間違えないでね)


 始めは鉱山の調査には行かない予定だったけど、コハクの存在もあって、見に行く事になった。

(ワタシは、ルーナちゃんしか守らないわよ)

(兵士の人達も来てくれるから、大丈夫だよ)

 因みにお兄ちゃんとバートは、危ないのでお留守番だ。森の入り口で早速オークが襲って来た。

「ブモー!(メスだ!)」

 怖っ!知識としては知ってたけど、声まで分かるから余計に怖い。

 火魔法で豚の丸焼きにしてやったら、森の木に燃え移ったら大変だからと注意された。

 次に襲って来たレッドウルフは、コハクとサファイアの爪斬撃であっという間に蹴散らされた。

『レベルが上がりました。ヒスイのレベルが上がりました モモのレベルが上がりました』

「サファイアも強いな。雪狼だったよね?」

「サファイアは最初から強いから知らない。守ってあげたくなったから、獸魔になってくれたんだって」

「その辺は分かる気がするな」

 頭を撫でられた。何が分かるんだろう?


 鉱山入り口付近の魔物を一掃して、中に入る。

 管理人に奴隷を集めてもらい、ルーナが顔を確認した。魔力感知で他に人がいないか確認して、知った顔がないことに、少しだけほっとする。こんな劣悪な環境の所に送られていたら、魔物の危険の他にも、色々とありそうだから。

「気を落とさないで。叔母さんはきっと、労働者枠じゃないって話はしたよね?」

「うん…だけど」

「生きているって、信じよう」

 本当は、それは分かっているんだけどね。教会もない小さな村にいるのか、奴隷紋のせいで自由が全くないのか。

 焦る気持ちを抑えて、帰途についた。


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