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転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
最終章 救世編

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287、リンナット教皇の私室へ

 しばらくパメラの無事を噛み締めていると、その間に戦闘は終わっていた。


 シュゼットやティモテ大司教側の聖騎士たちによって、見張りは全員が縛られている。そして人質として捕らえられていた人たちは、全員が解放された。


「問題なく作戦が成功して良かった。あとはリンナット教皇がどう出るかだな」


 ダスティンさんの言葉が聞こえてきて、私は思考を現実に戻す。


「そうですね。まずはティモテ大司教の方が成功しているかが大切です」


 リンナット教皇はどう反応するのか、全く分からない。ティモテ大司教に私が創造神様の神託を得たと知らされたら手のひらを返して従順になるのか、もしくはそれでも反発して戦闘になるのか、予想できないのだ。


「ひとまずリンナット教皇の私室に向かうべきだな」

「はい。そうしましょう」


 そうして私たちは人質奪還作戦の成功の余韻も冷めないうちに、リンナット教皇の私室へと向かうことになった。


 助け出した皆は誰も怪我をしておらず動けるとのことだったので、私の側につくパメラ以外の人たちには、お養父様やカディオ団長たちへの伝言を頼む。


 安全確保のために戦える人と戦えない人のペアにして、創造神様からの神託についても概要を伝えた。


「これで皆がリンナット教皇のところに集まることになりますね」

「ああ、教皇の協力も得られれば良いが……心情的には協力したくないがな」


 後半の言葉を苦々しげに呟いたダスティンさんに、私は苦笑を浮かべてしまう。


 でもそうだよね……魔王と戦うために協力する方がいいとはいえ、そもそも夜中に襲ってきた人たちを信頼はできない。


 ティモテ大司教たちにも協力することへの忌避感はあるけど、こちらは基本的に信頼できるという点が大きいのだ。


 リンナット教皇は協力してくれることになったとしても、それからどうするのかは慎重に考えるべきかな。とりあえず共闘はできる限り避けて、全く別の場所でそれぞれ魔王たちと戦うとか……。


 いや、一番いいのはリンナット教皇が聖騎士たちに、神子である私の言葉を聞くようにって伝えてくれることかもしれない。


 ただそうなると戦いまではいいとして、その後が凄く面倒なことになりそうな予感が……でも今は直近の大きな問題を乗り越えることだけを考えないと。


「私は神子」


 小さくそう呟いて、創造神様の神子であるという立場を最大限に活用しようと決意を固めた。


 リンナット教皇が協力してくれたとしても、してくれなかったとしても、いずれにせよ少しでも多くの聖騎士たちに自発的に協力してもらう必要があるのだ。


 特にリンナット教皇が協力してくれない場合は、私が創造神様の神子であるという一点だけしか、協力してもらえる理由がない。


 強大な敵と戦う時に、無理やり従わせるのはほぼ不可能だろうし……。


 色々と考えていると、パメラが私の服の乱れをサッと直してくれた。そんなパメラに声をかける。


「パメラ、怖い思いをしたのにその相手と協力しなければいけないなんて、本当にごめんね」


 一番リンナット教皇たちと協力するのに複雑なのは、人質にされた人たちだろう。


 そう思ってパメラを見上げると、パメラはいつも通りの微笑みを浮かべながら口を開いた。


「私のことは気になさらないでください。レーナ様が最善だと思うことを選ばれるのが一番です。それに、皆さんがレーナ様に従っている様子がぜひ見たいです」


 そう告げたパメラはなんだかいい笑顔だ。私のことが疑われていた数日間で、パメラも知らないうちに鬱憤を溜め込んでいたのかもしれない。


「神子らしく頑張るね」

「はい。楽しみにしております」


 パメラの笑顔に私も笑顔になっていると、リンナット教皇の私室近くに着いた。


 しかし、扉に近づく前に思わず足を止めることになる。


「創造神様のお言葉を無視するのか!?」


 ティモテ大司教の怒鳴り声が、廊下まで響いていたのだ。


「創造神様に使命を託されたのだぞ! 我らの命などかけて当然ではないか!!」


 よほど怒っているのか、すぐにでも声が枯れそうなほど大声のティモテ大司教の言葉ははっきりと聞こえるけど、リンナット教皇の言葉は聞こえない。


 ただこの様子だと――リンナット教皇は協力的じゃないのかな。


「どうしますか?」


 ダスティンさんに問いかけると、ダスティンさんはなんの躊躇いもなく扉に手をかけた。


 そして、勢いよく開く。


 部屋の中にはティモテ大司教とリンナット教皇が対立するように向かい合っていて、そんな二人の後ろにはそれぞれの聖騎士や私兵がいた。今にも戦闘が始まりそうな、一触即発の雰囲気だった。

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