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転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
最終章 救世編

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283、説明と妙案

 創造神様と話をしていたと伝えると誰もが息を呑む中、私は気になっていたことを問いかけた。


「私はどうなっていたのでしょうか?」

「完全に固まっていた。まるで抜け殻のように」


 ということは、魂だけ呼ばれる感じなのかな。ダスティンさんが答えてくれた内容から推測する。


「時間はどのぐらい経ってますか?」

「正確には分からないが、確実に数分は経っていただろう」

「では、創造神様に呼ばれていた時間と同じぐらいですね」


 私が冷静にさっきの事象を思い返していると、ダスティンさんはやっと落ち着きを取り戻したのか、私の肩から手を離した。


 シュゼットとヴァネッサたちも安心したように肩から力を抜くのが分かる。


「それで、創造神様は何を……」


 ダスティンさんはそう言いかけて、私の首元に手を伸ばした。その手が触れたことで、自分の首元にネックレスが付いているのがしっかりと感じられる。


「これは、創造神様から賜ったのか?」

「金色の宝石が付いたネックレスですよね? それならもらいました。分かりますか?」

「ああ、とても神聖な光を放っている。さらにデザインがレーナの指輪ととても似たものだ。誰でも近くで見れば、これが創造神様からの贈り物だと分かるだろう」


 やっぱりそうだよね……私はなんだか急にネックレスが重くなったような気持ちに襲われつつ、首元に手を伸ばした。


 せっかくもらったのだから、これを最大限に活用しないと。


「このネックレス、付けている限り魔力を無限に扱えるそうなんです。ただそれだけじゃなくて、創造神様からの神託を得たという証拠としても使えそうですね」


 何気なく告げた言葉に、誰もが言葉を失った。


「……レーナ様、それは本当ですか?」


 ヴァネッサが搾り出すように問いかけてくる。


「うん。そう言われたよ」


 私が頷いたのを確認して、ダスティンさんが額に手のひらを当てた。


「……もう何が何だか、分からないな」

「そんなところに大変申し訳ないのですが、創造神様が仰るには一週間以内に大聖堂近くに巨大なゲートが開き、魔王がこちらの世界を攻めてくるそうです。魔王はゲートの向こう側の世界のトップに位置する存在で、私たちの世界の乗っ取りを企んでいると。そこで私は創造神様から、この世界を守って欲しいと頼まれました」


 小出しにしても仕方がないので、私は現状を一気に伝える。すると誰もが目を見開いて固まった。


 そんな中で、私はさらに告げる。


「これからどう動くのが正解か、話し合いたいです。神託があったことをティモテ大司教やリンナット教皇に伝えるべきか、人質を取り戻してからにするべきか。よりパメラたちに安全な方を選びたいですし、できれば素早く解決できる方法を模索したいです。一週間以内というのは、明日という可能性もあるってことだと思うので」


 そこまで告げたところでダスティンさんが頭を抱えてしまった。シュゼットやクレールさん、ヴァネッサ、レジーヌも険しい表情だ。


「レーナ、魔王というのはどの程度の強さなのだ?」

「それが、私にも分からないんだよね。でもどの魔物よりも強いのは確かだと思う。あと魔王の部下と大量の魔物もゲートから現れるだろうって。だからシーヴォルディス聖国にいる非戦闘員は早急に避難させた方がいいと思う。あとは近隣の街から応援をもらえないかな?」

「――これは、私たちだけでは無理ですね。教会側と協力しなければ」


 そう呟いたのはヴァネッサだ。ヴァネッサがそう思うのなら、やっぱり教会との問題をとりあえず解決、つまり人質を奪還するのが先決かもしれない。


 とはいえ、教会の人たちは巨大なゲートが出現すると聞いて協力してくれるのかどうか。武力行使をされたんだから、こっちも武力で言うことを聞かせる選択肢もありだと思うけど、大きな敵がいる中で信頼できない味方がいるって、かなり弊害が大きい気がする。


 でも、さすがにこの場所で教会側の戦力なしに魔王と戦うなんて無理だ。


「そもそも、人質の奪還は成功するかな」


 絶対に成功させるつもりだけど、いつ頃に達成できるのか、今はどこまで作戦が進んでいるのか分からない。


 まずはどう動くのが正解か――ひたすら悩んでいたら、頭を抱えていたダスティンさんが顔を上げた。そして真剣な表情で告げる。


「レーナ、嫌な提案だと思うが聞いてほしい。私たちはまず、ティモテ大司教の下へ向かうべきだと考える。そしてそのネックレスを見せながら創造神様のお言葉を伝え、味方に引き込むのだ。いや、味方というよりもなんでも言うことを聞く手駒だと思えば良い。ティモテ大司教ならばネックレスを見た途端、手のひらを返すだろう。そして必ずこちらに協力するはずだ」


 ダスティンさんのその案は、まさに妙案だった。ティモテ大司教は私が創造神様の加護を持つ存在、創造神様の神子であると明確に判断できる要素があるならば、一気に私の信奉者にもなるのだ。


 今の時間がない状況で、私の言うことを聞いてくれる教会側の存在はとてもありがたい。逆にリンナット教皇は、私たちの予想通り出世欲や金銭欲などで動いているなら、ネックレスを見せても仲間に引き込みづらいはずだ。


 正直、ティモテ大司教にはもう近づきたくない気持ちだけど、そんなことを言っていられる状況ではない。


「それ、凄く良いと思います。ティモテ大司教の協力が得られたら、人質の捜索もスムーズに進むでしょうか」

「確実にな。どこまで大聖堂に詳しいのか定かではないが、私たちより詳しいのは明白だ」


 つまり、パメラをより早く助けられる可能性も高まる。


「その案でいきましょう。すぐにティモテ大司教のところへ」

「分かった。他の者たちへ報告は……やめておくか。できる限りリンナット教皇側に知られず、ティモテ大司教に接触したい。ここはスピードを優先しよう」

「分かりました」

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