表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
最終章 救世編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

283/304

280、礼拝堂へ

 決まった作戦によって、私はダスティンさんとシュゼットと共に、大聖堂の礼拝堂から侵入して人質を探すことになった。


 他の皆はそれぞれ隠し通路や別の場所から人質を探し、全部で五チームに分かれての行動だ。こういう場合はいくつものチームに分かれた方が、向こうも対応に悩むからいいらしい。


「人質を発見したら相手が油断している間に奪還できるのが一番だ。チームのメンバーでそれが達成できそうならば、躊躇わずに武力行使をして構わない。向こうが先に武力に訴えてきたのだ。遠慮はいらない。しかし一度失敗すれば人質の命が危険に晒され、奪還の難易度も上がる。難しいと判断した場合は、速やかに別のチームと連絡を取るように」


 カディオ団長のそんな言葉に全員が頷き、さっそく作戦開始となった。私たちはシュゼットが先頭で動くことになる。もちろんヴァネッサとレジーヌ、そしてクレールさんも一緒だ。


「誰もいない。行くよ」


 シュゼットの声掛けによって、全員で足音を殺して走る。あんなに堂々とこちらを襲ってきたのだからもっと騒ぎになっているのかと思いきや、意外と大聖堂は静かだった。


 やっぱり教会側も一枚岩じゃないのかな。今回動いてるのが予想通りリンナット教皇たちだとして、他の教会勢力に気づかれないよう動いているのかもしれない。


 そうなると、私たちとしてはティモテ大司教たちに今回の事態を伝えた方が、より状況が混沌となっていいのだろうか。

 リンナット教皇とティモテ大司教が潰し合ってくれる可能性もあるかもしれない。ただ混乱しすぎて、より私たちが動きづらくなるかもしれないし……。


「入るよ」


 色々と考えているうちに礼拝堂に着いた。夜中でも礼拝できるようにと鍵はかかっていないので扉は普通に開く。さらに中にもぼんやりとした灯りが灯っているのだ。


 中には――誰もいなかった。


 ここに人質がいる可能性は低いかなと思ってたけど、やっぱり予想通りだ。しかし人気のない夜中の礼拝堂は、なんだか少し怖い。ぼんやりとした淡い光が、逆に怖さを増幅させていた。


「では、隠し通路などが存在しているか調査しよう」

「はい」


 ダスティンさんの言葉で怖さよりも現実を思い出し、私はすぐに頷いた。


 人質がいる可能性が低いここにきたのは、これが目的だったのだ。向こうがこちらに明かしていないと思っている隠し通路を先に見つけられたら、こちらが一気に有利になる。


「ルーちゃん、手伝ってね」


 私の声掛けに、ルーちゃんは張り切った様子で私の周りを飛び回った。


 宿泊所にあれだけの隠し通路があるぐらいだから、この大聖堂にはかなり隠された場所があると思う。もしかしたら隠し通路じゃなくて、隠し部屋なんかもあるのかもしれない。


 ヴァネッサとレジーヌと共に、大聖堂を壁伝いに調べ始めた。ダスティンさんたちは逆回りで、シュゼットが床などを調べてくれている。


「とても細かい装飾が施されていますね」

「凄いよね。ただ細かいからこそ、調べるのも大変だけど……」


 こういうのって大抵はどこかの装飾を押したり引いたりすると、ギミックが発動するんだよね。ただここまでたくさんの装飾があると、端から試してみるにも時間がかかりすぎる。


 ひとまず大まかにぐるっと調べてみて、それから細かいところを調べるのがいいのかな……。


 そんなことを考えながら、礼拝堂で何よりも存在感を放っている神様たちの像の真下に来た。何気なく像を見上げると、創造神様の像の右手が僅かな光を放っているように見える。


 見間違えかと目を擦ってみても、光は消えない。


「ヴァネッサ、レジーヌ、あの光が見える?」


 二人に聞いてみたけど、二人とも首を傾げていた。二人に見えないってことは、もしかしたら創造神様の加護を持つ私にだけ見えるのだろうか。


 そう思ったら、確かめてみないわけにはいかなかった。


「ルーちゃん、創造神様の像まで飛びたいの」


 側にいたルーちゃんに伝えると、すぐに体がふわっと浮いた。そして一瞬で創造神様の像の前に辿り着く。近くで見ると、より鮮明に右手が光っているのが分かった。


「レーナ様!?」

「危険なことはおやめください!」

「レーナ、どうしたんだ?」

「レーナ、大丈夫か?」


 皆の声は耳に入っているけど、どこか遠くで響いているようだ。私は導かれるように、光っている右手に手を伸ばし――。


 指先に温かい感触を覚えた瞬間、別の場所にいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ