表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
最終章 救世編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

280/304

277、大司教と教皇サイドの動き

 レーナたちが宿泊所の応接室で話し合いをしている頃。大聖堂の別の部屋には、ティモテ大司教を含めた一部の神至上主義と呼ばれる者たちが集まっていた。


「創造神様、間違いを犯した我らをどうかお許しください………」


 ティモテ大司教を筆頭に、室内に置かれた創造神の像に向かって、全員が深く深く祈りを捧げている。中には泣いている者もいた。


「レーナという娘に加護をお与えになったのは、創造神様のご意志だと思っておりました……しかし、そうではなかったのですね。もしやあの娘は創造神様の加護を奪ったのでしょうか! 我々がすぐにでもあの娘を貴方様の元へ送り届けますので、どうかご安心ください」


 レーナが創造神の加護を持つことは事実であるのだが、大聖堂で祈りを捧げても創造神からの反応がない。さらに世界の危機が改善することもない。この事実だけでティモテ大司教たちの脳内では、レーナが創造神の加護を奪ったという構図が出来上がっているらしい。


「常にないゲートの様子から、すぐに我々が気づかなければならないことでした。大変、大変申し訳ございません……これからすぐに生贄の儀式の準備をいたします。どうか我々をお見守りください」


 それからもティモテ大司教たちは異様な雰囲気で、ひたすら創造神の像に向かって祈り続けた。そして祈りが終わると、今度は儀式の準備をするそうだ。


「早急に準備を整えるぞ」

「はい」

「すぐに動きます」


 ティモテ大司教たちは夜が更けても関係なく、儀式の準備を進めていた。



 ♢



 ティモテ大司教たちが儀式の準備に取り掛かり始めた夜更けのこと。大聖堂のまた別の部屋では、リンナット教皇が密かに聖騎士たちを集めていた。数は数十ほどだろうか。


 集めている聖騎士たちは、リンナット教皇の派閥に属する者たち。つまりリンナット教皇の命に従う者たちだ。


「皆、よく集まってくれたな。すでに分かっていると思うが、今日の仕事はレーナとその人質となり得る者を手に入れることだ。しかしレーナ本人は強力な魔法が使える上に、護衛も多く配置されているだろう。難しければ人質だけでも良い」


 リンナット教皇の言葉に、集まっていた聖騎士たちは音を立てずに頷いた。


「頼んだぞ。強大な力を持つレーナを殺すなどもってのほかである。さらに国に帰るなどという戯言を受け入れるわけにもいかん。あの力は私のものだ。あの娘が自ら大聖堂に入らないというのであれば、力で手に入れるのも仕方がない。――創造神様の加護と強大な力、どちらも自由に扱えるようになれば私の権力は盤石なものになる!」


 そこまで告げたリンナット教皇は、ニヤッと卑しく笑いながら告げる。


「お前たちも今より良い暮らしができるだろう。まずは世界中の国に聖女として派遣するのも良いな。莫大な金を手に入れることができる。さらにレーナがゲートの対処をすれば恩も売れるぞ。――はははっ、はははははっ、私が世界の王になる日も近いな!」


 リンナット教皇は上機嫌に笑っていた。実際に異常発生しているゲートを見たことがないからか、あまり危機感を持っていないようだ。


 危険なゲートはレーナ一人で対処できるほど生易しくないのだが、そこは理解していないらしい。


 聖騎士たちもリンナット教皇につくことで甘い汁を吸っているのか、ニヤニヤと笑っていた。誰もがレーナを手に入れた後の自らの幸せを疑っていないようだ。


「寝静まってるだろう今が好機だ。では……頼んだぞ」

「はっ」


 少し前まで話し合いを続けていたレーナたちもさすがに寝静まった頃。リンナット教皇の命によって、聖騎士たちが動き出した。


 狙いは――レーナである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 あ……。  なんかこの回で特大のフラグが立った気配がする。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ