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転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
最終章 救世編

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264、お土産選びへ

 食事を終えたところでカフェを出ると、パメラたちが近くに来たので、私は待ちきれずに小声で声を掛けた。


「皆、どうだった? 私はとても美味しくて楽しめたのだけど」

「はい。私たちもとても美味しくいただけました。ハルーツの胸肉揚げが特に好みの味で」


 そう言ったレジーヌに、つい大きく反応してしまう。


「私も同じものを食べたの。とても美味しかったわね」

「レーナ様と同じだなんて嬉しいです」


 私と同じであることを喜んで頬を緩めてくれるレジーヌが可愛く、少し悶えてしまった。


 私の側近たちは、全員可愛いよね……!


「私も美味しい昼食をいただけました」

「とても素敵なカフェでしたね」


 ヴァネッサとパメラも満足してくれたようで一安心だ。三人との話に夢中になっていると、ダスティンさんとお養父様が少し先に行ってしまっていたので、私は慌てて二人を追いかけた。


「次はお土産購入ですね」


 二人に追いついたところでそう告げると、二人とも興味深そうに周囲を見回す。


「そうだな。しかしこれだけ物が溢れていると、悩んでしまいそうだ」

「色々な物がありますよね」


 かなり大きな街なのでお土産も選び甲斐があって、絶対に楽しいだろう。自分が欲しいものはその都度良いものを見つけたら買えば良いとして、やっぱり家族や友達へのお土産選びからかな。


 私はダスティンさんが雑多な物が売られている雑貨屋を覗いているのを確認して、まずはお養父様に声をかけることにした。


「お養父様、お養母様たちへのお土産を一緒に選びませんか?」

「それは良いな。共に選んだと伝えれば、喜ぶだろう」

「ですよね! ではまずは……お養母様へのお土産からでしょうか。珍しくて流行を作れるようなものでしたか?」


 お養父様が言っていたお養母様が喜びそうなものを思い出して告げると、お養父様は苦笑を浮かべつつ頷く。


「そうだな。それから情報だ。例えば……あちらの茶葉を売っている店はどうだろう」

「あ、凄く良いと思います!」


 この世界は圧倒的にハク茶を飲む割合が高いけど、他のお茶もあるのだ。そして貴族のお茶会などでは、他のお茶を嗜むことも多い。


 そしてそんなハク茶以外の茶葉は、結構地域によって種類が異なるらしいので、お土産として最適だと思う。そもそもの種類が違ったり、乾燥のさせ方が違ったり、飲み方が違ったりするそうだ。


 アレンドール王国では珍しいけど、輸入できそうな茶葉を選んでお土産にしたら完璧かな。茶葉の効能や珍しい飲み方について聞いておけば、情報というお土産にもなる。


 お茶会の席で披露するのにもってこいだし、これ以上お養母様に最適なお土産はないよね。


「さすがお養父様ですね。さっそく見に行きましょう」


 そうして私とお養父様は何やら珍しいらしい皮に夢中のダスティンさんとは分かれて、茶葉専門店に向かった。すると貴族令嬢となってお茶に関しては少し学んだ私でも、聞いたことのない茶葉がいくつもある。


「いらっしゃいませ。ご購入されたい茶葉をお伝えいただければ、袋に詰めますよ〜」


 巨大な袋に詰まっている茶葉には手のひらサイズの容器一杯の値段が書かれていて、その容器に何杯、という形で注文するそうだ。


 茶葉の名前は木札に書かれているけど、その効能や味などは書かれていないので、私は聞いたことのない茶葉について端から問いかけてみた。


「すみません。この茶葉はどんな味ですか?」

「そちらはとてもさっぱりとした飲みやすい茶葉ですね。そのため柑橘系のフルーツや、少し癖のあるスパイスなど、色々なものと合わせて飲むのをお勧めします。ハク茶よりも味があっさりしているので、そのまま飲むと少し物足りなさがあるかもしれません。ミルクとシュガも合いますよ」


 やっぱり茶葉の説明では、基準がハク茶らしい。ハク茶の浸透度は他国でも変わらないね。


「お養父様、どうしますか?」

「もちろん買おう。その茶葉はどのぐらい保つのだ?」

「そうですね……直射日光の当たらない風通しの良い場所という条件でしたら、半年は確実に保つかと」

「ではその器に十杯分買おう。またその茶葉と合わせるスパイスの種類についても聞きたい」


 十杯というのはかなり多かったのか、店員さんは一瞬だけ固まってから、すぐ嬉しそうな笑顔になった。


「かしこまりました! スパイスについてはメモをお渡ししましょうか?」

「それで頼む」


 貴族らしい注文の仕方に私は苦笑しつつ、また次の茶葉を探すために名前を端から見ていった。


「すみません。この茶葉についても教えていただけますか?」

「えっと……それはかなり渋いお茶ですね。とにかく苦さと渋さがお好きという方がたまに買われます。元の茶葉の癖が強いため何かと合わせるのではなく、それ単体で楽しまれるのが良いかと思います。とても甘いデザートなどと合うかと」


 渋くて苦いお茶か……これはいらないかもと思っていると、お養父様はやっぱり買わないらしい。珍しくても多くの人が美味しいと思ってくれないと、お茶会では使えないもんね。


「では次は――」


 それからも聞いたことのない茶葉について端から教えてもらい、お養母様へのお土産として五種類の茶葉を購入した。


 さらに私も、好みじゃなさそうと思ったものも含めて珍しい茶葉は全て少しずつ、ギャスパー様へのお土産として購入する。


 パメラやお養父様の侍従が茶葉を受け取ったら、このお店での買い物は終了だ。


「良い買い物ができましたね」

「そうだな。喜んでもらえそうで良かった」


 そう言って頬を緩めるお養父様は、お養母様のことが好きなのだろうなとすぐに分かった。貴族らしい仲だけどなんだかんだ仲の良い二人に、嬉しくなってしまう。


「次はリオネルとアリアンヌ、エルヴィールですね」

「ああ、良いものを探そう」

「はい!」

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