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転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
最終章 救世編

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261、宿でのんびり

 リューカ車が大きな宿の前に着くと、すぐにカディオ団長が中に入っていった。


 私たちの旅は急な出発だったし、さらにゲートの脅威が増している状況では事前に通達を出すのも容易ではなかったので、基本的に街に寄るときはその場で色々と交渉をするのだ。


 小さな街だと宿が空いてないなんて事態もあったりするけど、この街ではさすがに大丈夫かな。


 少し心配しながら待っていると、カディオ団長が笑顔で戻ってくる。


「泊まれるっぽいですね」

「良かったな」


 それから私たちはいくつかの宿に分かれることになり、私はお養父様、そしてダスティンさんと同じ宿になった。


 騎士さんたち、教会の人たちはまたそれぞれ別の宿だ。宿が別れることに関してティモテ大司教から文句が一切なかったので、巨木の影響力に感動してしまう。


 ティモテ大司教はこの街に滞在している間、街にある教会へ赴き、巨木にまつわるさまざまな打ち合わせをするのだそうだ。


 相当忙しくなるみたいで、血走った目で張り切っていた。


「また同じような巨木を作りたくなりますね……」


 宿に入りながら思わずそんな言葉を呟くと、左右にいたお養父様とダスティンさんに苦笑と呆れ顔を向けられてしまった。


「それはさすがに止めた方が良いと思うが……」

「オードラン公爵の仰る通りだ。気持ちは分かるが絶対に止めるように。街がいくつも増えることになる」

「あ、やっぱり巨木の周りには街ができるのでしょうか」

「ほぼ確実にな」


 そうなると、安易に作るのは良くないね。


 じゃあ次に作る候補となるのは、例えばキラキラ光る特殊な花とか、人間が容易には辿り着けない場所にある植物とか、その辺はどうだろう。


「レーナ、今考えていることは全て却下だ」


 思考を声には出していなかったはずなのに、ダスティンさんに釘を刺されてしまった。


 なんで分かったんだろうと思いつつ、ここは素直に頷いておく。


「……かしこまりました」


 確かに安易にルーちゃんの力を使うのは良くないよね。強すぎる力だってことは、私が一番よく分かってる。


 でも緊急事態では、使っても良いよね……?


「こちらがお部屋になります」


 色々と話をしていたら、私たちが借りることのできた部屋に着いたようだ。いわゆるスイートルームみたいな部屋で、侍女や護衛が泊まる場所もしっかり確保されているらしい。


「この階にあります三部屋はご自由にお使いください」

「ありがとう」


 案内してくれた宿の従業員さんが下がったところで、お養父様が口を開いた。


「ではレーナ、少し部屋で休んだら遅めの昼食を食べに外へ向かおう。ダスティン様も行かれますか?」

「そうだな。ご一緒させていただく」

「かしこまりました。では少し休んだら部屋を出ます」


 そうしてお養父様とダスティンさんとお昼ご飯の約束をしたところで、私はやっとゆっくりできる部屋に足を踏み入れた。


「ああぁぁぁぁ……」


 部屋のドアが閉まって室内には私とパメラ、レジーヌ、ヴァネッサだけになったところで、私はフカフカのソファーにダイブしてしまう。


「なんか疲れたね……」


 思わずそう呟くと、パメラが苦笑しつつお茶を淹れ始めてくれた。


「そうでございますね」

「皆も疲れてたら好きに休んでいいからね」

「ありがとうございます」

「お心遣いに感謝いたします」

 

 そう言って頷くけど普通に仕事を続ける皆を見ていると、貴族に仕える仕事ってどれだけ大変なんだろうと改めて思う。


 もっと皆が休みを取れるように、シーヴォルディス聖国から戻ったら考えないと。


「リューカ車の中ってベッドみたいにできないのかなぁ」


 ずっと考えていたことを呟くと、お茶を運んできてくれたパメラが首を傾げる。


「座席部分をベッドにするということですか?」

「そう。車をもう少し大きくすればできそうだよね。いや、今の広さのままでも全面ベッドにすればいけるかな」


 いや、こうなったらもっと車を大きくして、キャンピングカーみたいなのってできないんだろうか。リューカに負担が増える分は数を増やすのと、後は魔道具で車の重さを軽減したりして。


 私が色々と楽しい妄想をしていたら、パメラに微妙な表情を向けられる。


「何かダメだった?」

「いえ、ダメというわけではないのですが、完全にベッドだけのリューカ車というのも外聞が悪いのではないかと……もし殿方との旅であれば、色々と疑われるでしょうし」

「確かにそこは面倒だね……」


 見た目は普通の車にしておいた方がいいのか。そうなると、やっぱりリクライニングシートみたいなやつかな。普段はソファーだけど、クッションの組み合わせで真っ平らにもできるとか。


 それで道中寝ていけたら、どんなに楽だろう。


「あとで色々と研究してみようかな」


 役目が終わって国に戻ったら、ダスティンさんやアナンに相談しよう。


 そう結論づけた私は、温かいお茶を口に運んだ。

いつも読んでくださっている皆様、ありがとうございます。

本日はお知らせがあります。

本作のコミカライズですが、単行本1巻が3/6に発売されることになりました!


コミカライズ最高に面白くて、キャラクターを表情豊かに、そして世界観がより鮮明になって奥行きが出るように、とっても素敵に描いてくださっています。

皆様ぜひ、単行本1巻をお手に取ってください。よろしくお願いいたします!


蒼井美紗

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