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転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
最終章 救世編

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239、謁見

 ダスティンさんから話を聞いて、数日が経過した。私はついに王宮へと呼ばれ、お養父様と共に陛下に謁見をしている。


 今回の謁見は他の貴族たちに現状を知らせるという役割も兼ねているようで、大きな謁見室に、たくさんの貴族がいる中で行われた。


 挨拶もそこそこに、陛下によって大陸会議の結果が伝えられる。それはダスティンさんから聞いた内容と同じもので、最後に意思確認をされた。


「レーナ・オードラン。我が国を含めた世界中を救うため、大聖堂に赴いてくれるだろうか」


 陛下の問いかけに、私ははっきりと告げる。


「かしこまりました。そのお役目、謹んでお受けいたします」


 この返答は事前に決まっていたものだ。ダスティンさんによって私が受け入れたことは陛下に伝えられ、ちゃんと前もって謁見をする上での打ち合わせをした。


 なんとなく謁見って、その場で初めて聞く話が多いのかなと思っていたけど、少なくともこの国の謁見は一種のパフォーマンスだ。

 内容は事前に知らされたり、返答さえも事前に打ち合わせをすることが多い。


 だから今回もダスティンさんが私に話をしなかったら、多分謁見の前に陛下に話を聞かされて、それから謁見になったんだろう。


 だからこそ、私はダスティンさんが事前に話をしてくれたことに感謝している。やっぱりダスティンさんと比べたら陛下と話す方が緊張するし、冷静に話を受け入れられなかったと思うから。


 その場で謁見の打ち合わせを、となっても、自分の答えを決められなかったかもしれない。そして決めたとしても、後で後悔した可能性もある。


 私がちゃんと覚悟を決められたのは、ダスティンさんのおかげだ。


「アレンドール王国の国王として、さらに脅威に晒されている人類を代表して、深い感謝を述べさせてほしい。本当にありがとう。そして国王として約束する。レーナは我が国の一員であり、他の何者でもないと」


 その言葉には、私を教会に渡すつもりはないという決意が込められていた。謁見という場でそこまで言ってくれることが本当にありがたく、私は深い感謝を込めて丁寧な礼をする。


「感謝申し上げます」


 そうして謁見は恙無く終わりとなり、私はずっと隣にいてくれたお養父様と共に謁見室を後にした。



 謁見が終わった後は、すぐに出発日などを決める話し合いになると事前に聞かされていたので、お養父様と共に案内に従って王宮内の会議室に向かった。


 そこには一緒にシーヴォルディス聖国に向かう主要なメンバーが揃っているそうだ。


「レーナ、疲れていないか?」

「はい、大丈夫です。……お養父様、大変なことに巻き込んでしまってごめんなさい」


 今まで機会を逃して言えなかった言葉が、突然ポロリと溢れた。それに自分で驚いていると、お養父様は少しだけ目を見開いてから、優しい笑みを向けてくれる。


「気にする必要はない。今回の訪問が世界を救うことになるのならば、その一員であることはとても名誉なことだ」


 その言葉に、私は心から驚いた。


 そういう捉え方もあるんだね……さすがお養父様だ。人望の厚い貴族だというのが、少し話しただけでも理解できる。

 オードラン公爵家の養子になれて、本当に良かったな。


「ただアリアンヌとエルヴィールは、しばらく会えないことに泣いてしまうかもしれないな。二人にはレーナから話をしてやって欲しい」

「それはもちろんです」


 オードラン公爵家の皆、そして家族の皆、さらに友達たち。全員にしばらく国を離れることを伝えないといけない。


 離れるのは寂しいけど、お養父様の言うように希望もある大聖堂への訪問だから、皆とは笑顔で「またね」と別れたいな。


 そんなことを考えていたら、会議室に着いたようだ。案内してくれた人が扉をノックして、中に声を掛ける。


「レーナ様とオードラン公爵がお越しです」


 すると中からすぐに許可が出て、扉が開かれた。お養父様と一緒に中に入ると、そこにはすでにたくさんの人が集まっている。


 パメラとレジーヌ、ヴァネッサの三人がまず目に入った。それに安心していると、その近くにはオードラン公爵家に仕える人たちが何人もいるのが分かる。多分お養父様に付いていく人たちだろう。


 さらに少し視線を動かすと、カディオ団長とシュゼットの姿もあった。二人がいるということは、第一騎士団が一緒に来てくれるということだ。

 顔見知りである騎士たちが同行してくれることに、さらに安心感が高まった。


 その他にはメイドや従僕、御者、料理人などの格好をした人たちが何人もいて……あっ、あっちにクレールさんがいるから、その周りにいるのはダスティンさんに付いていく人かな。


 そして向こうにいる祭司服を着た人たちと、それと同じ色合いの鎧を身に纏った人たち。あの人たちがティモテ大司教に付いていく、教会の人だね。


 そうして会議室内にいる人たちを観察しながら席に着くと、またすぐに扉が開いた。そして姿を見せたのは……ティモテ大司教だ。

本日から最終章の投稿を始めます。最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします!

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