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転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
2章 貴族編

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238、聖国についてと大切にしたい時間

 シーヴォルディス聖国に行っても、教会には入りたくないし、聖国に長い間拘束されるのも避けたい。そんな私のわがままを叶えるとダスティンさんが言ってくれた事で、私は少し心が軽くなった。


「ダスティンさん、シーヴォルディス聖国ってどんな国なのですか? 大聖堂がある宗教国ってことぐらいしか知らなくて」


 不安が和らいだ事で、自分が行くことになる国のことが気になって、そう聞いてみる。するとダスティンさんは顎に手を当て、考え込むようにしながら答えてくれた。


「そうだな……あの国は一言でいうと、教会の本部というような位置付けだろうか。ただとても小さな国で、他国からの寄付などで成り立っているため、一国として数えて良いのかは疑問が残る」


 ということは、ほぼ大聖堂がある場所ってだけなのかな。多数の国は寄付をすることで自国に司祭や司教を派遣してもらって、逆に聖国は教会運営の代わりに寄付を得ているってことか。


 結構良いバランスで成り立ってる関係性なのかな。


「シーヴォルディス聖国が大陸会議に背いて勝手をするとか、その可能性はありますか?」

「ないとは言えないが、可能性は低いはずだ。ただ何をするか分からない存在がいることも確かだろう」


 確かにね……宗教を熱心に信じてる人って、それが第一になっちゃったりすることがあるから。そんな人がその人にとっては理論的に、私にとっては突拍子もない行動をする可能性は否定できないだろう。


「分かりました。用心するに越したことはないですね」

「そうだな。ただそこはレーナ本人にも気をつけてもらうが、周りも十分に気をつける。あまり心配はいらないはずだ」

「そっか、一緒に行ってくれる人がいるんですもんね。シーヴォルディス聖国への訪問となると、どのぐらいの人数と規模になりますか?」


 なんとなく他国を訪問するとなると、大所帯のイメージだ。


「まずレーナはまだ成人していないため、保護者としてオードラン公爵が同行することになるだろう。さらにレーナの侍女と護衛、そして国からも騎士が多く出されるはずだ。その騎士の世話をするメイドや従僕、また御者や料理人も連れて行くことになる。また今回はレーナがアレンドール王国に所属していることを強く示すため、王族の同行も決定されるだろう。したがって兄上か私だが……多分私になるはずだ。そのため私の侍従や護衛も同行するな」


 ダスティンさんのその話を聞いて、私の中に残っていた不安の大部分がなくなった。そこまで身近な人たちが同行してくれるなら、酷い事態に陥る可能性はかなり低いはずだ。


 私が教会に取り込まれそうになったり、そうじゃなくても何か面倒な事態に巻き込まれそうになった時、助けてくれると信じられる人たちがいるというのは大きい。


「安心しました。ダスティンさんが行くのなら、クレールさんもでしょうか」

「……ああ、確実に付いてくるな」


 そう言ったダスティンさんが嫌そうに顔を顰めていて、私は笑ってしまった。

 この場に満たされていた緊張感が霧散した瞬間だ。


「これからいろいろと大変になりそうですが、私なりにできることを頑張りますね」



 そうしてダスティンさんとの話は終わりとなり、私は教室へと戻った。


 すぐに次の講義が始まり、私が皆から質問攻めを受けたのはお昼の時間だ。

 食堂の席で昼食を食べながら、まずはアンジェリーヌが口を開く。


「レーナ様、殿下からはどのようなお話だったのですか?」

「私も気になっていました。明かせるような内容でしょうか」


 続けてメロディも心配そうに眉を下げてくれて、オレリア、リオネル、テオドールにも同様の眼差しを向けられる。


 そんな皆の心遣いに嬉しくなりながら、同時に寂しさも感じた。


「大切なお話だったけれど、内容はまだ話すことができないの。でもそこまで悪い事じゃないわ」


 そう伝えると皆は少し表情を緩めたけど、まだ不安そうだ。


 大聖堂に行くことになったら、皆とはしばらく会えないことになる。いつ頃の出発になるのか分からないけど、皆との時間を大切にしたい。


 そう考えたら皆には不安にならず、いつも通りの笑みを浮かべて欲しかった。


 そこで私は努めて明るく、話を変えるために別の話題を口にする。


「そんな話よりも、久しぶりの食堂のご飯を楽しみましょう。なんだか美味しくなっている気がしない?」

「確かに分かります!」


 話に乗ってくれたのはテオドールだ。ハルーツをカラッと揚げた唐揚げのような料理を頬張りながら、満面の笑みを浮かべた。


「やっぱり皆さんと食べてるからですね!」


 その言葉に皆が笑顔になった。アンジェリーヌでさえ、満更でもない様子だ。


「学院が再開して良かったわ」

「私もそう思います……!」


 メロディ、オレリアの言葉を聞いて、この平和を守りたいと思った。私が役に立てるのかは分からないけど、可能性があるのなら頑張ろう。


「レーナ様、こちらの果物がとても美味しいですわ」

「本当? 食べてみるわ」


 それからも私たちは、とても穏やかで楽しい時間を過ごし、久しぶりの学生生活を満喫した。

次話からは最終章になります。まだ完結は少し先ですが、最後までレーナの物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。


最終章は来週か再来週には投稿を開始しますので、よろしくお願いいたします!


また本作は書籍が現在2巻まで発売されており、コミカライズも連載が始まっていますので、こちらもぜひ!

(コミカライズめっちゃ良いので、読んでいただけたら嬉しいです……! ガンマぷらす様にて連載されております)


これからもよろしくお願いいたします。


蒼井美紗

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