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転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
2章 貴族編

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232、楽しい時間と買い物

 私がロペス商会の四人を離れの中に案内していると、お母さんとお父さん、そしてお兄ちゃんが四人に笑顔で声を掛けた。


「本日は来ていただき、ありがとうございます。すぐにお茶を淹れますね」

「家族全員で買い物を楽しめることを、楽しみにしていたんです」

「今日はありがとうございます!」


 もう公爵家で働き始めてしばらく経っている皆は、ロペス商会の皆と会話をするのにも苦労はない。


「こちらこそ、呼んでいただきありがとうございます」

「本日はよろしくお願いします」


 こうして昔は敬語でのコミュニケーションに苦労していた人たちと話してるのを聞くと、お母さんとお父さん、そしてお兄ちゃんは凄く頑張ったんだね。


 その事実に改めて気づき、感謝の気持ちが湧いてきた。私に合わせて生活環境が何度も変わるのは大変だったはずなのに、なんの文句も言われたことはなく、逆に感謝されてるなんて……本当に家族には恵まれている。


「レーナはお嬢様してる時と今とで、結構雰囲気が変わるんだな」


 家族への感謝の気持ちを改めて抱いていると、荷物を置いてスツールに腰掛けたジャックさんにそう言われた。


 私はほぼ無意識に、自分の頬に手を伸ばしてしまう。


「そんなに違う?」

「ああ、いつものレーナを見てると完全に高位貴族の令嬢なのに、今は普通の平民街にいる女の子って感じだ」

「それ……喜んで良いのか微妙なんだけど」


 少しだけ唇を尖らせてしまうと、ジャックさんは楽しそうに声を上げて笑った。


 確かに自分でも分かってるんだけどね。やっぱり私にお嬢様は向かないのだ。気を抜くと、すぐ庶民のレーナになってしまう。


 まあ……仕方ないよね。なにせずっと庶民だった瀬名風香の記憶が二十年以上に、庶民どころかスラムの子供だったレーナの記憶が十年ほどあるのだ。

 そこに平民としての生活は一年を超えていて、貴族としての生活はまだ一年にも満たない。


「今のが素なら、いつもはちゃんとお嬢様をやれてるってことだから、いいことじゃないか?」


 ジャックさんにそう言われ、なんだか納得してしまった。


「確かにそうかも。いつもの私って、ちゃんとオードラン公爵家のお嬢様してる?」

「ああ、誰も疑わないほどにな。いつも本当の兄妹みたいに見えてるぞ」


 それってリオネル、アリアンヌ、エルヴィールとだよね。それは凄く嬉しいかもしれない。


 ジャックさんの言葉に頬を緩めていると、ニナさんが自分の頬に手を当てて叫んだ。


「やっぱりレーナちゃんは可愛いわ……! お嬢様なレーナちゃんも素敵だけど、素のレーナちゃんはまた違った良さがあるわね」

「ニナさん、ありがとう」


 久しぶりにテンションが高いニナさんを見て、なんだか嬉しくなった。


 そうして話をしていると、お母さんとお兄ちゃんがお茶とお茶菓子を運んできてくれる。


「どうぞ、召し上がってください」

「ありがとうございます。皆、いただこう」


 ギャスパー様がそう言って受け取ると、すぐに反応したのはポールさんだ。


「ありがとうございます! とても美味しそうですね!」


 その目はクッキーに釘付けで、変わっていないポールさんに嬉しくなった。


「ポール、今は一応仕事中だからね」

「もちろんです!」


 ギャスパー様の指摘にしっかりと頷いているけど、視線はクッキーに向いたままだ。


「おかわりもありますから、好きなだけどうぞ」


 笑顔でそう告げたお母さんに、ポールさんは晴れやかな笑みで感謝を述べた。


「ありがとうございますっ」


 それからお茶を飲みながらしばらく雑談をして、やっと持ってきてもらった商品を見せてもらうことになった。私たちが好むような商品をたくさん準備してくれたようで、本当にありがたい。


 ここで買わなかった商品分も、後でお金を渡そう。今回は無理言って平民向けの商品を持ってきてもらったから、ロペス商会では売れないだろうし。


 そんなことを考えていたら、ジャックさんが抱え持った木箱の中身をテーブルの上に並べてくれた。


「これは身嗜みを整えるものです。特に消耗品である整髪料や保湿液などを多く準備しました」


 その商品を見て喜んだのはお母さんだ。


「まあ、こんなにたくさん!」


 整髪料は効果や香り別に五種類ほど、肌の保湿に使う保湿液は三種類あるらしい。

 今のお母さんならもっと効果が高いもの、もしくは私たちからのお下がり品が手に入ると思うけど、やっぱり手頃な値段のものが嬉しいのだろう。


 その気持ちは凄く分かる。高いものってどうしても使う時に値段が頭をよぎって、罪悪感を覚えるとともに、使用量をケチってしまうのだ。


 瀬名風花時代に、デパコスを買ったは良いけど使う量を少なくしすぎて、安い化粧品を惜しみなく使った方が肌の調子が良かったりしてたよね……。


「蓋を開けて匂いなど嗅いでみてください。保湿液は試しに付けていただいても大丈夫です」

「ありがとうございます。じゃあ、さっそく整髪料から」


 そうしてお母さんが整髪料を選び始めた横で、お父さんはニナさんが広げた食器類に、お兄ちゃんはポールさんが並べた雑貨類に目を向けた。

本日はガンマぷらす様にて、コミカライズも更新されています!

そちらもぜひお読みください。レーナが可愛くて、ジャックさんがカッコいいです!

よろしくお願いいたします。

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