表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女は救世を望まれる〜平穏を目指した私は世界の重要人物だったようです〜  作者: 蒼井美紗
2章 貴族編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

234/304

231、レシピとロペス商会

 お兄ちゃんにぐしゃぐしゃと頭を撫でられると視界が揺れて、手首をガシッと掴んで止めたところで、笑顔のお兄ちゃんに顔を覗き込まれた。


「レーナは本当に凄いな! よくいろんなレシピを思い付けるし、このソースにここまで合った料理を考えられるのはマジで凄い」


 そう言ったお兄ちゃんの瞳には尊敬の色が浮かんでいて、私は少しだけ照れてしまう。


「たまたまだよ。……そうだお兄ちゃん、このレシピは料理人さんに渡しても良いと思う? 貴族向けの料理じゃないかなーとは思ってるんだけど」


 話を逸らすためにもそう問いかけると、お兄ちゃんは私の頭から手を離して少し考え込んだ。


「レーナが嫌じゃなければ、渡してみてもいいと思うぞ。

先輩たちならこのキャレー焼きを、貴族向けの料理にしてくれるかもしれないしな!」


 確かに……そうかもしれない。私はどうしてもお好み焼きという完成系に引っ張られるけど、その先入観がない料理人さんたちなら、この世界での最適解を見つけてくれる可能性がある。


「じゃあ渡してみるよ。使用人向けの食事なら、このままでもありだろうし」

「俺たち向けのやつならありどころか、めっちゃ人気メニューになると思うぜ。父さんと母さんもそう思うよな?」


 お兄ちゃんの問いかけに、二人はすぐに頷いた。


「レーナが考えたレシピだ。当たり前だな」

「ふふっ、アクセルはちょっと極端だけど、私も確実になると思うわ。作るのが簡単だし、料理人さんたちの負担軽減にもなるんじゃないかしら」

「確かにそうだな。焼くのに少し時間がかかるのは並行してやればいいし、もっと大きく作ってオーブンで焼くのもありか?」


 すでに改良を考え始めたお兄ちゃんに、私は楽しみになる。


「ソースを譲ってくれた料理人さんにレシピを渡しておくから、お兄ちゃんからも説明してね」

「ああ、もちろんだ」


 そうしてキャレー焼きの今後は料理人さんたちに委ねることにして、楽しくて美味しい昼食は終わりとなった。



 昼食後にのんびりと休憩していると、離れのドアがノックされてパメラの声が聞こえてきた。


「レーナお嬢様、ロペス商会の皆さんが来ております。応接室でお待ちいただいておりますが、いかがいたしますか?」


 その声に答える前にドアを開け、パメラの顔を見ながら返事をする。


「パメラ、わざわざ伝えにきてくれてありがとう。さっそく離れに呼んでもらえるかな」

「かしこまりました。では少々お待ちくださいませ」


 パメラを見送ってから室内に戻り、ロペス商会の皆が来ても大丈夫なように、急いで片付けを開始した。飲んでいたお茶を飲み干してカップを洗い、窓を開けて換気もする。


 多分部屋の中には、キャレー焼きの匂いが充満してるだろうから。


「レーナ、皆さんにお茶をお出しする?」

「そうだね……一応準備しておこうか。お菓子とかはあるんだっけ」

「クッキーがあるわ」

「じゃあ、それを準備しよう」


 お母さんと私でお茶とお茶菓子の準備をして、お父さんとお兄ちゃんには、持ってきてもらう商品が並べられるよう、テーブルとソファーを少し動かしてもらう。


「こんな感じでいいか?」

「そうだね。あっ、そういえば椅子が全然足りなかった」


 そこまで気が回っていなかった。この離れには基本的には二人掛けのソファーが二つしかないのだ。頑張って詰めて座っても、六人しか座れない。


「俺が椅子を借りてこようか? 使用人用の休憩室に、スツールならいくつもあるぞ」


 お兄ちゃんのその提案に、私はすぐ頷いた。スツールなら場所を取らないし、そこまで広くないこの離れに運び込んでも、邪魔にはならないだろう。


「じゃあ行ってくるな」

「うん、ありがとう」


 そうして急いで準備を整えて一息ついたところで、外に続く離れの玄関ドアがノックされた。私が扉を開いて、さっそくロペス商会の皆さんには中に入ってもらう。


「ギャスパー様、突然のお願いを聞いてくださって、ありがとうございました。あっ、ここではただのレーナとして接してください」


 その言葉にギャスパー様は少しだけ間を置いてから、親しげな笑みを浮かべてくれた。


「分かった。レーナ、久しぶりだね」

「はい!」


 普通に話せることが嬉しくて、私の頬は緩んでしまう。


「あっ、どうぞ座ってください。ジャックさん、ニナさん、ポールさんも」


 たくさんの荷物を持っている三人にも声をかけると、三人とも明るい表情で頷いてくれた。


「ありがとな。荷物はどこに置けばいい?」

「その辺の床で良いよ。ソファーは二人掛けだから、座れない人はスツールを使ってね」

「分かったわ」

「ここに置かせてもらうよ」


 そうして私が四人を誘導していると、お母さんたちも四人に声を掛けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ