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42.夏休み:明日菜と部屋で①

夏休みもなんだかんだと賑やかにすぎていき、

夏の終わり・・・あの花火の日まで一週間を切った。

----------今年も花火と祭りをやるそうで、回覧板が回ってきていた。

ほのかに失恋した今となってはあまり思い出したくない記憶の日なんだが、

最近少しだけ変わったのはほのかからのビデオレターや、

こころちゃんの告白で俺も恋愛について改めて考えよう・・・と思うようになった。

・・・いつか俺も誰かと恋をして、

そしていつか家族になって、

子供を作ってってするのかな・・・。

それはこころちゃんなのか、誰なのかはわかんないけどさ。

今年はほのか以外の誰かと花火を見に行くのかな、

と考えたりするのだほのかを除いて一番近くにいたのって誰だろうな・・・

と考えると明日菜の顔が思い浮かんだ。

あと告白してくれたこころちゃん。

こころちゃんにも向き合わないとな、とも思う。


父さんは相変わらず仕事で忙しそうだけれど、

以前よりも家に帰ってくる頻度が増えたので、

晩御飯を食べながらいろんなしょうもないことを話すようになった。

ほのかと別れて、貯めていたプレゼント代が浮いたからゲーミングPCを新調しようと思ってると言う話をしたら新旧の2台持ちにして旧マシンはスペック底上げして、

新調する新メインをデュアルモニターにするといいと言って結構な金額をカンパしてくれた。

CGイラストを描いたりするにもマシンスペックが高いことに越したことは無いからな、

とは父さんの弁。

・・・そうだなぁ、CGイラストとかも練習したいね。

そんな感じで最近の父さんが少し優しい。


そして今、父さんのカンパとバイト代をぶっこんだ新型マシンと、旧型マシンのスペック底上げで俺の部屋は絶賛ごっちゃり足の踏み場もない・・・ご覧の有様だよ!!

外には日が昇り、ジージーと蝉が鳴いているとおり夏真昼間である。

・・・古くなったエアコンの微妙な冷房で生ぬるい。

床いっぱいにとっちらかったパソコンの部品やケーブルを前に、

やることが・・・多い!!と項垂れているとピンポーン、とチャイムが鳴った。

階段を下り、玄関を開けるとそこにはTシャツにホットパンツ姿の明日菜がいた。

お団子頭をやめたのか、今は編み込んだ髪を右肩に流している。

そういえば毎年、夏場の鬼暑いときは髪を解いてたなぁ。

今日も暑いもんな。・・・眼鏡だけは相変わらずだが。

流れる汗と暑さで上記した顔がなんかこう、ほのかにえっちだ。えっちだ・・・。

汗で張り付いたTシャツには「TOTEMO DEKAI」の文字。

そうだねとってもでかいよ!今も割とぱっつんぱっつんではちきれそうだね!!

「元気してるか村正ァ!・・・って何その疲れ切った顔」

日傘をたたみながら俺を視て怪訝そうな顔をする明日菜。

いかん、思考が変な方にトリップしていた。

「あー、いやすまんあんでもない。PC組み立てるのに脳のカロリー使いすぎて疲れてたんだ」

「おっ、話してたPCのパーツ来たんだ?へぇ~、いいじゃん見せてよ」

そういって目をキラキラさせる明日菜。そういやこいつPCとか自作してたっけな。

なんやかんやで明日菜とはほぼ毎日のようにオンラインゲームで対戦したり協力プレイをしたりしているので、実際にあってなくても接している時間はダントツに多い。

なのでPCを新調する話をしていたら凄いテンション上がっていたなぁ。

「おう、いいぜ・・・っていうかお前何しに来たんだ」

そういえば唐突に訪ねてきた理由は何だろうと聞くと、

手に提げていた袋をひょい、とこちらにわたしてきた。

「あのバカ兄貴が武者修行先から送ってきたおみやげのおすそ分け!」

そっかそっか兄貴も元気そうでよかった。

袋の中身は『下総国剣豪饅頭』・・・剣禅一如でもしてるのかな?

武者修行か・・・相変わらずだなぁ、とおもいつつ明日菜を家にあげる。

「まぁ暑いし立ち話もなんだ、上がれよ」

そういって通した明日菜は、ウキウキといった様子で一足先に階段を昇っていく。

おもわず見上げるとパツンパツンのホットパンツからのぞくおしりがセクシーである。

距離感が近いので忘れがちになるけれど、

こいつはすっごい美少女でとってもえちえちなナイスバディ(死語)なんだよな・・・明日菜・・・恐ろしい子!

冷蔵庫で冷やしていた麦茶をグラスについで、お盆に2人分のせて階段を上がっていく。

「村正ァー!足の踏み場がないぞ村正ァー!」

2階から明日菜の声が聞こえる。

うん、知ってる。

すまない。部屋が汚なくて本当にすまない・・・。

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