表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/75

41.夏休み:オス友†無双~ドキッ☆漢だらけの1泊2日③

そこまででSDカードに入っていたビデオレターは途切れていた。

「これは・・・村正くんへの懺悔ですか」

「もしくは、藤島なりの----けじめと落とし前といったところか」

テツくんと村雨がそれぞれに感想をこぼしていた。

ほのか、俺は・・・・

「村正君・・・?!」

別に、今更ほのかに未練なんてない。

やったことは許されないし、許すつもりもない。

ただ、これで全てが終わったのだと、

本当に、これでほのかが居なくなったのだと、そう、実感することが出来た。

ほのかはこれから先俺がいない人生を生きてくと、改めてここで俺に、宣言した。

だから俺もほのかももう、道が交わることは無い。

このまま互いの事を思い出さなくなって、

10年、20年たってもしどこかですれ違っても、

気づかないまま終わるようになっていくのかもしれない。

そう思っていると、頬を温かいものが流れていくのを感じる。

「・・・ありがとう、ほのか。さようなら」

改めて口に出す。

なぜか、涙が流れていた。

これはいつか明日菜に抱きしめられた時の悲しみの涙じゃない、

決別と、これまでの感謝の涙だ。

------唐突に、誰かに抱きしめられる。

この分厚い胸板、雄々しさの中に微かに漂うフレグランスの香りは・・・

「・・・なんだよ村雨」

「今は泣け。俺の胸を貸そう」

「なんだよそれ・・・はは・・・はっ・・・ぐっ、ううう、うぐっ、うあっ」

色々な感情が滝のようになってあふれてくる。

楽しかった日々も、裏切られてからの日々も、すべて、これで本当に、終わりなんだ。

今の今まで、心の奥底に蓋をしていた感情が。

激情になった思いが涙になって零れていく。

うしろからは、誰かが優しく背中をさすってくれている。

この暖かさと優しさは、テツくんだ。

どれくらいの時間泣いただろうか、5分?10分?それ以上だろうか?

よくわからない。

顔を上げて、目尻をこすると、気恥しさに顔が赤くなる。

「村雨ェ」

「なんだ?」

「お前胸板あついよな」

俺の言葉に、フッ・・・と笑う村雨。

「友の涙を受け止めるためにな」

「なんだよそれ・・・こういうことは女子にしろよな」

村雨らしい応答に、苦笑しながら涙をぬぐう。

明日菜の言葉を借りるなら、そういう所だぞ村雨ェ!だぞ。まったく、まったく!

・・・まったく、俺が女子だったら惚れちまうじゃねえか、バーカ。

「テツくんもありがとうな」

「いえ・・・胸板があつい村雨君が、ちょっとうらやましいですね」

いえ・・・の後にボソッと何かをいっていたようだけどうまく聞き取れなかった。


それからなんともいえない空気になったところでピンポーンとチャイムがなったので玄関に行くと、アホ・・・もといアクセルがいた。

「兄貴ィ、明日菜の姐さんから聞きましたよ!

仲間はずれなんて寂しいじゃないですか!俺も呼んでくださいよ!!」

たまにスパーリングに付き合うと大喜びなのででかい犬みたいなイメージが沸いている。

忠犬アク公だ。

しかし明日菜がわざわざアクセルくんに教えたのか、珍しいな。

「なんかよくわかんないんですけどアクマサとかマサアクもアリねとかいって連絡がきました!

あ、これうちのじいさんからの差し入れで刺身っす」

そう言いつつ一目でいいものだとわかるものを渡してくれる。

「ああ、ありがとう。そうだな、お前も混ざって行けよ」

---------なんだろう。俺の言葉を察知した明日菜が、なんだか変な声をあげながら女の友達に超高速でメッセージを送っているような悪寒がしたぞ。あいつニュータイプ的なものをかんじるときがあるんだよなぁ。

そんな流れでアクセルが乱入してきたが村雨もテツくんも二つ返事で賛成し、

アクセルの差し入れも追加された豪華な夕飯になった。

「---------------ってわけで俺が女だったら絶対兄貴に惚れてますね!!!!」

おうアクセル変な事を言うんじゃない。

テンション上がって立ち上がるのはお行儀悪いのでしっかり座って食べなさい、いいわね?

「わかります」

「・・・・む」

テツくんも村雨もノらない。

「また変な事を言い出してお前は。・・・ちなみにお前に双子の姉か妹がいてとかそういうオチはないよな?」

「いや、いないっすよ」

そうだよな、そんなラブコメみたいなオチはつかないよな

「でも、あんまり仲良くないけどうちの学校の1年に、同じ歳の従姉妹ならいますね。

ハーフでちょっと妙な日本語喋りをするんですけど、薄緑の長髪をしたすごいボインちゃんで名前は、相無あいなしラ----」

「相無・・・あぁ、あの弓道部の新人か!いい腕をしていたな・・・桃色と白色の胴着が目立っていた記憶がある」

アクセルくんの会話の途中で村雨が思い出したあの生徒か、という様子で頷いている。

「・・・うちの学校は濃い生徒ばっかりだからなぁ」

「村正くんも大分かなり濃いと思いますよ」

何かテツくんが辛辣なツッコミいれてるけどアーアーアーきこえない

まぁ俺がその相無なにがしさんと出会うことはないだろうけれども・・・

まだ見ぬ濃いキャラをした生徒があの学校にいるのかという驚きと、

そんな連中がいる学校でのこれからの楽しい毎日を願って、

今日の日は----乾杯!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ