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見た目がチャラい井上四季は、なぜか皆に誤解されてる  作者: 北森青乃
第2章 ボランティア部、始動編
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39話 初活動に勤しむチャラ男

 


 何処からか元気の良い声が聞こえる中、俺はせっせと校舎周りのゴミを拾っている。

 もちろん先日の七夕からの依頼を実施しているなのだが、今更ながら校舎周りとは結構な広さだ。

 ただ、折角の活動となれば手を抜く訳にはいかない。下を眺めながら、デレッキで細々したゴミを拾っていく。


(とはいっても、あんま落ちてないな。この辺は京南高校の生徒らを褒めるべきか)


 七夕からの依頼はその言葉通り校舎周りのゴミ拾い。ボランティアという名称が付く部活の活動としては、なんともお似合いなものだ。

 しかしながら今回の1件で、依頼がなければ動かないというのもどうかと思ってしまったのも事実。逆にこちらから提案して活動するという方法もありなのではないかと、1つ今後の活動に向けて良い勉強になった気もする。


 ともあれ、依頼を受けてからは直ぐに部員の皆へ連絡し、さっそく翌日から清掃活動を行っている素早さは過去のシミュレーションの賜物だろう。

 まぁ本日部活に参加できたのは俺と春葉と下塚さんだけではあるが、そもそも何日かは掛かると想定していただけに、2人の参加でも嬉しい限りだ。


(春葉達は順調かな?)


 ゴミ拾いの方法としては、大きく4つブロックに分けて行うことにしていた。

 旧校舎とD棟、グラウンドとC棟周り、B棟周り、そして中庭。正門に関しては最後に皆ということでブロックに入れてない為、基本は4つ。


 その中でも、早めに1ブロックを終わらせた方が良いということで、春葉と下塚さんには中庭をお願いしている。

 一方で俺はと言うと、C棟周りを掃除中だ。最終的には部室に戻ることを考え、奥から正門方面へ向かているのだが……グラウンドも近いせいか、運動部の面々がチラチラこちらを見ている気がしなくもない。


「おっ、井上じゃん。なにやってんだ?」


(うおっ。さっそく来やがった)


「えっと、ゴミ拾いですよ」

「ん? もしかしてお前が部長のボランティア部の活動か?」

「マジでボランティアじゃんか! にしてもお前がゴミ拾いねぇ……なんかおもしれぇな」


 ネット越しに声を掛けてきたのは、サッカー部の3年。顔を見る限り確か加藤と佐々木という名前の先輩だったはず。紙コップを手にしているところを見るに休憩中なのだろう。とはいえ、他の部員はすでに次の練習の準備をしているだけに、こんな様子だからスタメンではないのだと納得する。


「いやぁ、こういう活動がボランティア部の本懐ですから」

「いやいや、そうだとしても、なんか雑用係みたいじゃね?」

「確かに! いっそのことサッカー部の部室も掃除してくれよ」


(部室ならサッカー部で何とかして欲しいものだけどな)


「さすがに生徒皆が使う場所じゃないと無理ですね。ははっ」

「ちっ。なんだ使えねぇな」

「じゃあこれでも拾ってくれ!」


 持っていた紙コップを丁寧に潰して、ネット隙間からこちらへ飛ばしてくる屑先輩。何かと言いたいことはあるが、下手に騒動を起こしてしまえばボランティア部の名前に傷がつく。それだけは避けなければと思い、


「いやぁ、止めてくださいよ」


 必死に笑顔を作りながら、袋の中へと放り込んだ。


(この野郎……こんなんだからスタメンじゃねぇんだよ。早く行こう)


 ここに居てはロクなことにならないと思い、早々に立ち去ろうとしたものの、よほど練習がしたくないのか屑先輩らの話は終わらない。


「てか、誰だよ! こんな掃除なんて依頼した奴はよ?」

「確かに! それにそれを引き受けるボランティア部もやばいな。流石チャラ男には誰もまともな依頼なんて出さないってか」


 流石に苛立ちを隠せず、一言話してさっさと退散しようと口早に答える。


「生徒会長ですよ」

「はっ?」


「だから生徒会長の七夕さんからの依頼です」

「なっ……」

「まじかよ……」


(ん? なんだ様子が……)


「そっ、それじゃあ頑張ってくれ! おい行くぞ」

「おっ、俺達も応援してるからさ! じゃあな!」


 生徒会の名前を口にした瞬間、表情を変え顔を見合した屑先輩達。分かりやすい変わり身の早さに、性格の悪さと七夕の影響力の強さを改めて感じる。


(……まぁ、とりあえず続けますか)


 少し清々しさを感じながら、俺はゴミ拾いの作業へと戻って行った。


 途中ちょっとしたことはあったものの、それ以降は至ってスムーズにゴミ拾いが出来た。

 正門まで到着したものの、思いの他時間は掛かっていない。

 それならばと、少し正門前のゴミでも拾おうかと外に出た時だった。正門の前に女の子が立っているのに気が付いた。


 二つ結いで亜麻色の軽いパーマがかかった髪の毛。

 その姿にはどこか見覚えがある。


「あれ?」


 俺の姿に気が付いたのか、ふと俺の方へ視線を向ける女の子。

 くっきりとした目と全体的に整った顔立ち。

 その顔にもどこか見覚えがある。というより、色んな意味で記憶に残っていた。


(まっ、まさか! 岩田先輩の妹っ!? これはやばい!)


「あっ! いっ、井上さん!?」


(あぁ……)


 この女の子は岩田先輩の妹でもある桃さんで間違いないだろう。上手い具合に退散しようとした瞬間、声を掛けられてしまった。


 どうしてもその後ろにあの太眉シスコン野郎の影がちらついてしまうものの、岩田桃さん自体には悪い印象はない。嫌な予感はするが、とりあえず少しでも話はしないとダメだろう。


「えっと、あぁ! 岩田先輩の……」

「はい! その節は大変ありがとうございました!」


 元気な声と共に深々とお辞儀をする桃さん。その礼儀正しさは全くもって兄とは似ても似つかない。

 ただ、お礼に関しては言葉だけで十分と笹竹に伝えた。それに菖蒲に言われて、彩夏のついでという感じで連絡先は教えたはず。


(そもそも、一体どうして京南に?)


「いやいや。って、もしかしてそれをちゃんと伝える為に?」

「はい! 薫から連絡先は聞いてたのですが、こういうことはちゃんと対面で伝えたかったので、待たせていただいてました」


(おいおい……マジかよ)


「そこまでしてくれなくても……」

「めっ、迷惑でしたか?」

「全然! むしろわざわざありがとう」


(って言うのは本心なんだけど。なんだろう、マジで嫌な予感が……)


「いえ。当然の……」

「ん? 桃じゃないか! ここで何を……」


 その瞬間聞こえてきたのは、もはや嫌々する声。思わず視線を向けると、そこには……


「って、お前! 井上ぇ!」


 丁度走り込み中と思われる柔道着姿の太眉シスコン野郎が、物凄い勢いで俺達の前に立ち塞がった。


「おい! お前ら先に道場行ってろ! 俺もここを片付けたら……すぐに行くからよぉ」


(あぁ……なんでこうなるんだ? フラグ回収早すぎだっての!)



次話もよろしくお願いします<(_ _)>

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