穏やかな一日です
最近PSO2にはまってます。
エピソード4が凄く面白くて、ひたすらやりこんでました。
次の日、魔王城のダンスホールには、アリエルとリップちゃん、そして水月の三人が居た。
現在そこでは、アリエルは正座をして水月に怒られており、リップちゃんはダンスの練習をしていた。
「ねぇころちゃん、リップちゃんを見てみなさい……あの子は私の教えた通りやろうと頑張って踊ってるわよね?」
「うん、どんどん上手くなってアイドルの風格が出てきたと思う」
そう言ったアリエルの目線の先には、動きやすい格好をして愛くるしいダンスを練習しているリップちゃんがいた。
「私もそう思うわ……だからリップちゃんはいいのよ、でもねころちゃん…貴女はどうして教えてもいないブレイクダンスをしたの? 私はいつも言ってたよね? ふざけるのは時と場所を選びなさいって」
「え? 言われたこと無いよ?」
今まで一度も言われた事の無いことを当然のように言われたアリエルは、首を傾げて困った顔をした。
「あっ、ごめん記憶は無いんだったね、でも! 今言った事は気を付けること! いい?」
「わかった、気を付けるね」
水月はアリエルの言葉を全く信用していなかった、それは前世でもそう言ってた矢先に何度もふざけていたからだ。
だからどうせまた何かやるだろうと目を光らせながら、ダンスの指導を再開した。
そしてしばらくダンスレッスンとスマイルトレーニングをして、休憩する事になり、三人は話をしながら休んでいた。
「そうじゃ水月よ、混沌大陸について教えてくれぬか? 妾達はそちらの大陸については何も知らんのでな」
「あの大陸ね…彼処は最悪な所ね、王は明らかに無能だし、空気は澱んでるし、街中に浮浪者の死体があるなんてざらだったしね、治安と環境は最悪中の最悪、私達が居た混沌城にいる兵士なんて名前だけのチンピラ集団だったし」
あーやだやだと言って水月はその場に寝転がった。
「ふーん、じゃあここにはどうやって来たの?」
「あー、それは星歌の力よ、テレポート能力なんだけどね、大雑把な位置だけ設定して飛んできて、そこからは歩いてきたのよ」
「なら星歌ちゃんがこっちにいるからあっちはもうテレポートは出来ないの?」
「出来ないわね、だから混沌大陸の人は暫く来ないわ、あっ! でも確か先行して来てるのが居た筈よ」
それを聞いたアリエルとリップちゃんは迷宮都市の魔物狩りのさいに捕まえた、柳田という男を思い出していた。
そういえば捕まえた後、拷問されて死んだ柳田とかいうのが居たなぁという程度だったが。
「それって柳田? もしそいつとそのお仲間の事ならもう死んでるよ」
「うむ、妄言をほざきながら死んだと聞いたの、俺のミツキは何処だとかセイカを返せとか騒いでたらしいのじゃ」
「あはは! 水月ちゃんと星歌ちゃんは愛されてるねぇ、あ、勿論私も愛してるよぉ」
柳田が死に際に二人の名前を呼んでいた事を聞いたアリエルは、ケラケラ笑いながら水月にまとわりついた。
「あーもう嬉しいけど、抱きつかないの! それとあんなドルオタもやしに思われてても全く嬉しくないから」
「ドルオタとは何じゃ?」
リップちゃんは言葉の意味がわからず首を傾げた。
「ドルオタって言うのは、アイドルにはまりこんでる人の事よ、地球ではね、アイドルと握手するにはお金でチケットがついた物を買わないといけないの、凄いドルオタはそのチケットがついた物を物凄く沢山買うのよ」
ドルオタの説明にリップちゃんは絶望したような顔をする。
「なんてことじゃ……妾は…妾は! チケットを買わずに水月と握手をしてしまったのじゃ! くっ…幾らじゃ、幾ら払えばいいのじゃ!」
「いや、リップちゃんならそれくらいタダでいいよ、こっちもタダでここに住ませて貰ってるしね」
「ほう! 水月は太っ腹じゃの! 流石はアイドルじゃ」
握手代をタダにして貰ったリップちゃんはにこにこしながら水月を褒めちぎった。
その水月はリップちゃんの喜びように、笑いながらまとわりつくアリエルの頭を撫でていた。
「でもアイドルは大変よ? 私なんて同級生にストーカーされたり家の前で待ち伏せされた事があるのよ、すぐ警察呼んで逮捕して貰ったけど」
「アイドルも大変だねぇ、でもここに居ればそういうことも無いから安心だね」
アリエルが水月に膝枕されながらそう言うと、リップちゃんも安心じゃと言って頷いた。
「ふふ、そうだね、もう安心なんだよね」
それから特訓を再開し、軽くダンスを合わせてこの日の特訓は終わった。
リップちゃんと水月は汗を流してくると言って大浴場に行き、アリエルは昨日行けなかったギルドに行ったが、アリエルはあろうことかギルドに来て直ぐに五つあるカウンターの内のミリアが担当する一つを占領して話をしようとしていた。
「あの…アリエルさん、何かご用ですか?」
「ううん、ミリアちゃんに会いたくなっただけだよ、あ、そうだお菓子あるけど食べる?」
ミリアは当然のようにお菓子を食べ出したアリエルに困惑した、そして周りの厄介なのに捕まったなみたいな同情の視線が痛かった。
そしてこれは相手にしないと駄目だと悟り、依頼でも振ることに決めた。
「アリエルさんは冒険者でしたよね、良かったら依頼とか受けませんか?」
「うーん、それもいいかもなんだけど、私が勝手な事するとカリーナとか水月ちゃんが怒るんだよぉ、今日もギルドに行くだけって約束させられちゃったから、ごめんね?」
アリエルが眉を下げてまで申し訳なさそうに謝るので、ミリアはもう話をするしかないと覚悟を決めた。
「そういえば来週に魔界祭がありますけど、アリエルさんは何か見に行くんですか?」
「魔界祭? 何それ? そんなのがあるの?」
「はい、この大陸にある全ての国が、主催である魔王国で色々な物を開くんです、今回は闘技大会に、ミスコンテストにミスターコンテスト、後は鍛冶や錬金などで作った物の出来を競う創作物コンテスト、それと料理大会ですね」
「へー、楽しそうだねぇ……ちょっとリップちゃんに頼み事が出来たから今日は帰るね」
アリエルはそう言うと、クッキーの袋をミリアの前に一つ置き、ギルドから出ていった。
「あっ! これ最近人気のフロックの新作じゃないですか! 予約しても2ヶ月先って話だったのに……アリエルさんはどうやってこんなに沢山買ったんだろう?」
余談だが、アリエルがこのクッキーを沢山持っているのは、アリエルが当時客の入りが少なかったお菓子屋なフロックに、アリエルの自信作、はちみつクッキーを何時でも食べれるように作って貰おうと、材料と作り方を書いたレシピと現物を渡して、買いに来るから作ってくれ頼んだのだ。
そしてフロックがそれを売り出すと、まろやかな甘味が病み付きなるとバカ売れし、あっという間に有名店になったのだ、それにフロックの店主はアリエルを店の救世主と感謝し、それからは彼女が来ると、待ちなど一切無しで店に通し、欲しいものを幾つでも無料で渡すようになったからだった。
そして、ミリアはその袋を持つと、周りにバレないように、直ぐにポケットにしまいこみ、帰ったらミリィに食べさせてあげようと、微笑みを浮かべたのだった。
それから少し経った頃の魔王城では、玉座に座るリップちゃんの前に、アリエルが仁王立ちをしていた。
「リップちゃん、来週魔界祭っていうのがあるんだってね」
「なっ! 何故それを…くっ、ミリアか…なんてことじゃ、期間中はアリエルには旅行と言ってカリーナ達と療養地に行かせようと計画しておったのに……」
計画の全ての吐きながら落ち込むリップちゃんにアリエルは拳を握りしめ、体をプルプル震わせながら睨みつけていた。
「リップちゃんのバカ! 今すぐ私を料理大会の審査員にしないと家出するから! もう帰って来ないからね!」
「わかった、特別に審査員長にするから許して欲しいのじゃ」
その言葉に、アリエルの怒りは一瞬で無くなり、にこにこ笑いだしたのを見たリップちゃんは、ほっと一息ついた。
「仕方ないから許してあげる、私の心は広いからね」
「感謝するのじゃ、それでじゃな、お主前に錬金術で色々作っておったじゃろ? 何か珍しい物とかないかの?」
「珍しい物? わかんないけど作った物は全部この袋に入ってるから、好きなの持ってっていいよ」
アリエルはそう言うと腰に着けていたアイテム袋をリップちゃんに渡した。
「助かるのじゃ、今回はうちの国が主催じゃからな、闘技はサクラに頼んだのじゃが、創作物の方は何も無かったので困っておったのじゃよ」
「そっか、それなら良かったよ、じゃあ審査員長の事忘れないでよね」
アリエルはジト目で審査員長の件を念押しした後、手を降りながら部屋から出ていった。
そしてリップちゃんは袋の中身を倉庫から持ってきた箱に全部出して、いいものが無いか探し始める。
「ふむ、この前の宝石に、ソウルキャンディー…また作りおったのか…まぁ今はいい……!? こ、これは! まさか賢者の石か!? はぁ…もうこれでいいのじゃ……むしろこれ以上の物はないのじゃ…」
リップちゃんは手の中で淡く魔力を発している白いクリスタルを見ながら疲れたように呟き、祭の後、これを見た各国から問い合わせが来るんだろうなぁと思っていた。
何故か? それはこの賢者の石は錬金術の最終目標と呼ばれており、まだ作った錬金術師は遠い過去に一人しか存在していないので、伝説と呼ばれる程の物であり、魔石として使えば、永遠の動力源になるという、どこの国も喉から手が出るほど欲しがるのは間違いない、非常に有用な代物だからだ。
リップちゃんは、そんな賢者の石を大事に持って、コンテストに登録をしに行ったのだった。
その頃星歌はアリエルと大浴場に居た。
星歌はアリエルの頭と体を洗ってやった後、自分も洗って、湯船に入った。
「ころちゃん…寝ちゃダメ…」
「ん…あっ、うん! 大丈夫起きてるよ!」
「嘘…寝てたでしょ…ほら…目を覚ましてあげる…」
「ぎゃっ! 今バキッていった! あっ…でも体が軽くなったような気がする」
星歌はアリエルの後ろに回り込むと、拳で背骨を位置を押した、するとアリエルの背中からバキッという音がし、骨の調子が良くなって体が軽くなったのだった。
「目…覚めたでしょ? 」
「うん、ありがと、もう目がぱっちりだよ」
二人は風呂にしばらく浸かってリラックスした後、軽くなった体でうきうきと部屋に戻り、皆といつも通り眠りについた。




