アクエスリーネの出会いです
わたくしはアクエスリーネ、人間や魔族達からは始祖精霊、もしくは原初の精霊と呼ばれている。
そしてその偉大な私は、約二百年ぶりに愛し子に呼ばれ、常闇大陸に来ている。
『ふふ、今回の愛し子はどんなのかしらねぇ、楽しみだわ』
本当に楽しみ、前回のは火のイグニトスが殺しちゃったからねぇ、最初は精霊様とか言ってたのに、わたくし達が言うこと聞くと解った途端に態度が大きくなるのはどうかと思うけど、わたくし達は暇だから付き合ってやってただけなのにね。
てか女型の精霊に欲情するとか、バカとしか言いようが無いわよね。
そのくせ男型には強気に当たるんだから殺されて当然だったか……大した力も無かった無能で卑小な雑魚野郎だったし。
あー楽しみ、今回のはどうなるかしらねぇ。
まぁ愛し子と言っても所詮人間か魔族だし、格下が格上言うこと聞かせるなんて無理だって話よね。
取り敢えず彼等には二百年ぶりに精霊の恐ろしさを思い知らせるのもいいわねぇ。
ま、精々わたくし達が飽きないように楽しませて欲しいわ、飽きたときが愛し子の最後なのだからね。
あら、呼ばれたみたいね、それにしてもこの呼び方……。
『わたくしに向かって何て雑な呼び方するのかしら、はぁ、これじゃ今回のも楽しめそうにないわねぇ』
取り敢えず行こうかしら、どうせ会った瞬間殺すだけだけどね……。
……あ、駄目だ、これは無理だわ。
とにかく取り入らなきゃ、機嫌を損ねたら終わりだわ。
わたくしは確か、無礼な愛し子を殺しに来た筈、でもあの子に殺すなんてわたくしは絶対に言えないし、実行なんて無理。
力の差がありすぎて嫌でも理解してしまう。
あの愛し子より、わたくしは格下なのだと……。
『あらぁ、今回の愛し子ちゃんは随分凄いわねぇ、わたくし達を呼んだみたいたけど、何かあったのかしらぁ?』
わたくしは愛し子を後ろから抱きしめる。
こんな身体は小さいのにこれ程の力……近くに来たからより解る、今までの愛し子はゴミだったのだと、これが真の愛し子、わたくし達精霊が従うべき存在なのだと。
「な!? 精霊が具現化じゃと!?」
ん? この子は魔王?
まぁ取り敢えずそれなりに返答しながら考える。
この魔王、もう愛し子を手に入れたのか……。
ふーん、成る程ね、今回の終焉は随分面白くなりそうね。
人間である愛し子が魔族に付くなんて初めての事だわ。
そして今までとは比較にならない力を持つ愛し子……本当に何もかもが予想外、このままいけば終焉は魔族の勝利、世界の精霊は魔族のもとに集い、人間には最低限の加護のみ、そうなればこの大陸と違い、精霊の力に依存している人間は間違いなく衰退する、その結果、ちょっと見てみたいわね。
「ねぇ青い精霊さん、私はアリエル、これからよろしくね」
し…しまった! 先に名乗らせてしまうなんて!
わたくしとしたことが何て失態なの! 不味いわ、これで機嫌を損ねられたら洒落にならない……。
ここは腰を低く、誠心誠意挨拶をするしかない。
『あら! わたくしとしたことが、先に名乗らせてしまう何て失礼な事を! もうしわけありませんわ、わたくしは水の始祖精霊、アクエスリーネと申します、貴女様が天に召されるまで、末永くお願い致しますわ』
わたくしがそう名乗ると、その場に居た全員が驚いた顔をしている。
何かおかしな事を言ってしまったかしら…。
不味いわね…機嫌を損ねたかもしれないと思うと体の底から恐怖心が沸き上がる。
わたくしがそうビクついていたら、魔王ちゃんがアリエルちゃんの態度が悪いから、殺されても文句言えないと言い出した。
いや、それは逆なのよ、わたくしの態度次第ではアリエルちゃんに殺されても文句言えないの。
だからわたくしは彼女達に懇切丁寧にアリエルちゃんがわたくし達より格上だから逆らえないと言う事と、力の強さ、彼女を手にいれると言うことがどういうことか等をこと細かく話した。
まぁそのお蔭か、彼女達が察しがいいのかは分からないけど、理解してくれたようだ。
アリエルちゃんは話の最中ずっとぼーっとしてたけど大丈夫だろうか?
てかちゃんと聞いてくれてた? 貴女の事を話してたんだけど…そして内容もかなり重要な事だったんだけど…大丈夫だよね? 信じてるからね?
『ああん!』
あ、あ、ちょっと! あ、駄目だもう契約完了しちゃった。
てか全く抵抗出来なかったんだけど、なにこの理不尽なまでの早さと力。
はぁ…ま、いいかぁ、契約してくれるなら此方としても安心できるから有り難いし。
他の3人にも自慢できるしねぇ。
ふふ、これからよろしくねアリエルちゃん。
貴女と進む道が面白く楽しい道のりになるようわたくしは全力で力を貸すからね。




