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魔族の街です

 あれから一晩過ぎ、私達は昨日の謁見の間まで来ていた。

 昨日も思ったけど何か不思議な感じがするなぁ、なんていうか優しくて懐かしい感じ。

 それに人嫌いの闇の精霊も多いし。


「ふん、よく来たのじゃ」


「何言ってるの魔王ちゃん、手を繋いで一緒に来たじゃない」


「うふふ、魔王ちゃんの手はぷにぷにしてて可愛かったわ」


 魔王ちゃんは見下す様な態度で言うが、私達は甘えたがりな良い子なのを知ってしまっているため腹も立たない。

 しかし魔王ちゃんは私達が怖がったりしないのが気に入らないらしく、『うぅぅ』と唸りながら私達を涙目で睨む、めっちゃ可愛い。

 

「そういえば魔王ちゃんって名前何て言うの?」


 カリーナが名前を聞くと、魔王ちゃんの目がキラッと光り、椅子の上に立ち、偉そうにふんぞり返り名乗り始めた。


「ふふ、妾の名を聞きたいとな、よいだろう…しかと聞くがよい! 妾の名は魔王リップじゃ! 」


「あら可愛い名前ね」


「それより椅子の上に立っちゃダメだよ! 危ないし行儀悪いから座りなさい!」


「ごめんなさいなのじゃ…」


 魔王ちゃんの名前はリップと言うらしい、可愛い名前だね、でも椅子の上に立つのはダメだからめっと叱ると、リップちゃんはしゅんとして椅子に座った。

 この子本当に魔王なの? 凄い聞き分け良い子なんだけど。


「それよりリップちゃん、ここって何処なのかな?」


「ここは我ら魔族の大陸、常闇大陸なのじゃ」


 常闇大陸ってあれ? 南にある凶悪な魔物が多くて、永遠に夜が続く深淵海域にあるっていう噂の?


「カリーナ常闇大陸って本当にあったの?」


「わからないわ、だって深淵海域はS級の未開領域よ、私はデタラメだと思っていたもの」


「ならそこから出て、外を見てみるといいのじゃ。」


 リップちゃんが横にある扉を指差しながらそう言う。

 私達は指がさされた扉から外に出ると、凄く幻想的な街並みが見えた。


「すご……」


「凄い、この世界にもこんな幻想的な所があったのね…」


 外に広がるのは木と石の街と言えた。

 まずここは城で大樹と繋がっており、その大樹は至る所から白く優しい光を放っていた。

 そして街並みは石で出来た家が沢山並び、至るところに全体が白く光る木や色鮮やかな光る花、クリスタルがあり、町中はとても明るかった。


「どうじゃ、人間の街とは全然違うじゃろう」


「うん、凄く綺麗でびっくりしたよ!」


「そうね、私個人の意見では人間の街なんか比べ物にならないくらい素晴らしい街並みね」


「ふふふ、そう言って貰えると嬉しいのじゃ」


 リップちゃんはとても嬉しそうににこにこしながらそう言う。

 というか私はあの街を歩きたい。

 連れてってくれないかなぁ?


「この街はとても沢山の種族が住んでいるのじゃ、魔族、エルフ、妖精、獣人がいるのう、まぁ他にもいるんじゃが、あまり細かく言うと時間がの。」


「そうなんだ、あ、そうだ、リップちゃんって魔王なんでしょ? やっぱり世界征服とか考えてるの?」


 私がそう言うと、リップちゃんは凄いめんどくさそうな顔をする。

 その顔も可愛いなぁ。


「妾はそんな事する気はないのじゃ、人間なんか征服しても何の利点もないのじゃ、あんな強欲で自分勝手な種族、妾は嫌いじゃから関わりたくもないのじゃ。」


「そっか、私達も人間なんだけど嫌い?」

 

「アリエルとカリーナは優しいから好きなのじゃ、でもエルフや獣人を亜人と言って奴隷にしようとする大陸の人間は本当に嫌なのじゃ、しかも最近はどこからか変な能力を持つ人間を召喚しているのじゃ、そやつらは特に危険なのじゃ、だから大陸のエルフや獣人を皆ここに避難させたのじゃ」


「カリーナそれって……」


「ええ、あいつらでしょうね、一人は再起不能にしたけど、あの勇者は私達では勝てないし、他にも居るならもう帰りたくないわね」


 最近さ、中々厄介な事になってきてるよね。

 勇者に狙われたり、変態日本刀野郎に襲われかけたり、全部異世界人絡みなんだよね。

 ほんと呼び出した奴誰なんだよ、見つけたら顔ぶん殴ってスキンヘッドにした後、全裸で三日間晒し者にしてやるわ!


「それでリップちゃん、私達に頼み事があるんじゃなかったっけ?」


「そうじゃった、実はこの大陸は人が来れないように精霊の結界が張ってあるのじゃ、それでここに変な能力の人間達が万が一にも来れないように強化したいので、大精霊を呼んで欲しいのじゃ、お主が呼べば来るじゃろう?」


「そんな事なら全然良いよ! その代わり私達もここに住んでいい? 私達も出来ればもう変な能力の人とは関わりたくなくてさ 」


「そうね、それは良い考えだわ、ここ最近不安事ばかりで精神的に疲れてたもの、ここで穏やかに暮らしたいわ」


「それなら構わないのじゃ、それで精霊の愛し子を此方で確保できるなら万々歳じゃ」


「じゃあ始めようか! 私達の幸せの為に!」


 私はそう言い、全力で精霊眼を発動する。

 周りに精霊が集まってきて話しかけてきたり、人の肩に乗ったり頭に乗ったりしている。


「これは凄いのう、こんな沢山の精霊が集まる所なんて見たことないのじゃ。」


 よし、これだけ精霊が集まれば大精霊にも届くだろう。


「全ての大精霊よ、私のもとへ集まれ!」


 私がそう叫ぶと精霊達が一斉に飛んでいく、これでしばらくすれば大精霊が集まってくるはず。


「終わったのじゃな、ありがとう、疲れた顔をしてるし中に入って少し休むのじゃ」

 

 リップちゃんは私とカリーナの手をつかみ引っ張る。

 ふふ、そんな引っ張らなくても着いていくよ。

 可愛いなぁと思いつつ、引っ張るリップちゃんに着いて城の中に戻っていった。



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