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婚約破棄の後は自由に生きます  作者: もも
婚約破棄編
25/67

勇者の脅威はヤバいです。

「はー、はー、凄い終わり方だったわね……」


「そうだね……トイレのタンクの欠片に埋もれるように気絶してたもんね。」


 普通分かるよね、金棒の振り下ろしをトイレのタンクで防ぐとどうなるかなんてさ。


 ……割れるに決まってんじゃん。

 割れたとき凄かったよ? ガシャァァン!っさ、見事に砕け散ったんだよ。

 しかも金棒の勢いは止まらずそのまま背中に叩き付けられて終わったんだよ。 あの不敵な笑みは一体何だったのかって話だよね。


「次は誰なの?」


「えっと…勇者タケシと影騎士ジャムって人」


「遂になんだね……」


 やっと勇者がどれくらいの強さなのかが分かるね。

 弱かったらいいんだけどなぁ。


「それでは第二試合、勇者タケシ対影騎士ジャムの試合を始めます! まずはウエストゲート! 影騎士ー!ジャァァァム!!」


 審判の声と同時に赤いゲートが開く……。

 そして中から黒の全身鎧を着て、禍々しい大剣を背負った大男が出てきた。

 めっちゃ強そうなんだけど。

 私にはもう第一試合の奴らがおふざけにしか見えない。


「次はイーストゲート! 勇者タケーシ!!」


 青のゲートが開き、太っているため青のミニスカートにしか見えないシャツ、黄色のピッチピチのタイツみたいなズボン、頭はサークレットに締め付けられていて、髪の毛は無惨にハゲ散らかしている見た目40代の男。

 間違いない……変態勇者だ。


「それではいいですか? ……始め!」


 審判の合図と同時に影騎士が勇者を攻撃するが、勇者は余裕で剣で止め、片手て弾き返し影騎士に袈裟斬りに切ろうとするが、影騎士は大剣を盾にして待ち構える。

 しかし影騎士はガードしたのに後ろに吹き飛ばされた。


「何あれ強くない? 」


「ええ、すごいパワーね、力押しであんな大男吹き飛ばすなんて、あの勇者……予想以上に厄介な奴みたいね」


「くくく、これで終わりだ……スキル、パージ!!」


 勇者が技名を叫ぶ、するとパァーン!と音がし、勇者の服が弾け飛び、ブーメランパンツ一丁になった。

 そして会場に女性の悲鳴が響き渡り、現在闘技場にいる女性は私達二人だけになってしまった。


「うっ……おぇぇぇ……」


「カリーナ大丈夫?」


 私は今吐いてしまったカリーナの背中をさすっている。

 胃液を少し戻しただけだったみたいなので大きな被害は無かった。


「うぅ…観客に攻撃するなんて反則でしょ……」


 カリーナの背中を撫でながら私が試合に目を戻すと、勇者が構えている剣に電気が溜めていてチャージが終わり、そして技を放った。


「ウォォォォ!! 雷王剛列波!!」


 勇者が振るった剣からは、大きな雷の斬撃が飛び、それをくらった影騎士は吹き飛ばされ、壁に叩き付けられて意識を失った。


「勝者、勇者タケシ!!」


「なにあれ……ヤバすぎじゃんか」


「うぅ…正面から戦うのは無理ね」


 私達があの技の余りの威力に青ざめながら呆然としていると、突然、横から紫のロングツインテールのゴスロリ幼女に抱きつかれた。


「つかまえたのじゃ」


「え、なに?」


 幼女は私に抱きつきながらニヤッと笑う。


「精霊の愛し子、お主には妾と来てもらう」


「な、何でそれを…」


「貴女、誰なの?」


 カリーナの殺気が半端じゃない。

 凄い目で睨み付けてるし、声も低く感情が籠ってない。


「おぉ凄い殺気なのじゃ、そんなに怒らないで欲しいのじゃ、別に危害を加えようとしてる訳ではないのじゃ、ただ急がなくてはならないから無理矢理にでも連れていかせて貰うのじゃ」


「ほら困ってるなら力を貸すから、ちょっと離れて」


 私がそう言うと、カリーナが幼女の脇に手を入れ持ち上げる。


「ほらほら、何して欲しいのか教えてよぉ」


 カリーナは幼女を高い高いしながら子供をあやすように聞いている、幼女のぼけっとした顔を見て、まぁ能力が分かる魔法でも使えるんだろ位に考えることにし、まぁ知った所で幼女に何ができるんだと考え、警戒心が完全に無くなったらしい。


「やめてなのじゃー! 早くしないと勇者が来てしまうのじゃー!」


「ほら急いで! ぐずぐずしてる暇なんかないよ!」


「早く行くわよ、貴女は私が抱えるから素早く迅速に道案内をしなさい、さぁ早く!」


 私達は勇者と聞いてすぐに態度を豹変させる。

 ここに来てしまうなら遭遇する前に逃げたかったからだ。


「妾は転移魔法を使えるのじゃ、だから早く妾に触れて欲しいのじゃ、もうそこの入口付近に来ているから急いで欲しいのじゃ」


「早く! 早く使って! 」


「わかったのじゃ、転移!」


 幼女が転移と言った瞬間目の前が真っ白になり、次の瞬間には、私達は謁見の間のような場所に立っていた。


「幼女ちゃん、ここどこ?」


「ふふふ、のこのこ連れて来られるなんて馬鹿な奴らなのじゃ」


 そう言うと幼女は、玉座までてけてけ歩いていき、よじ登って座った。


「妾は魔王なのじゃ! これからお主らは、我ら魔族の捕虜になるのじゃ!」


「ふーん騙したんだ」


「なんて子なの…」


 私はジト目で、カリーナは悲しそうな顔をして魔王を見る。


「ふん! そんな顔をしてもダメなのじゃ! 者共、捕虜を連れていくのじゃ! 妾は転移を使って消耗したのでな、明日までふさわしい場所にでも閉じ込めておくのじゃ!」


「はっ!」


「幼女ちゃん……」


「はぁ…諦めるしかないわね」


 私達はもうダメかと絶望しながら兵に連れられていく。


「ここで明日まで待て」


「え? ここでいいんですか?」


「ああ、まぁ寝る場所は一つしかないがな、お前達のような捕虜にはお似合いだろう」


 そう言うと兵は部屋から出ていった。


「これって捕虜の使う部屋じゃないよね?」


「まぁいいじゃない? 連れてきたのは向こうなのだし」


 私達が連れてこられた部屋は物凄く大きなベッドが一つあり、横の部屋に風呂、トイレもついている部屋だった。


「とりあえず寝よっか、体力は大丈夫だけど、精神的に物凄く疲れた」


「そうね…私も疲れたわ…」


 この待遇に、まぁ何かされることはないかと私達は安心したので、ひとまず寝ることに決め私達がベッドに横になると、ガチャっとドアが開き、パジャマの魔王が入ってきて、てててと助走をつけてベッドに飛び乗り、私とカリーナの間に寝転んだ。


「妾も一緒に寝るのじゃ」


「ふふ、そうだね一緒に寝ようね」


「ほらちゃんと布団かけて」


 魔王は私が頭を撫でて、カリーナがお腹を撫でていたらあっという間に寝てしまった。

 私達はそれを見て少し笑い、眠りに落ちた。


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