闘技大会が始まりました。
「アリエル起きて…起きなさい!」
「ふぇ?」
んーせっかく気持ちよく寝てたのにー。
私は目をくしくしと擦りながら体を起き上がらせる。
「今何時ー?」
「四時よ」
「はぁ? 何でそんな変な時間に起こすの?」
「お風呂に行くのよ。その後1度ギルドに寄って、闘技場に席を取りに行きましょう。」
カリーナ……そんなに闘技大会が楽しみだったんだ。
まぁどうせ変なやつを見たいだけだろうけど。
浴場は朝早すぎて誰も居なかったから貸しきりだった。
てか朝風呂が予想以上に気持ちよかったから、また早起きしたら絶対に来ようと心に決めた 。
お風呂から上がりギルドに向かうと、顔を会わせるなり受付のお姉さんが『正体不明の魔物が出たかも』と言い出した。
「何かあったのですか?」
「ええ、昨日冒険者が街の外で右腕を切り落とされた人を見つけたのよ」
まさかと、私はカリーナにもしかして奴かなと目線を向けると、カリーナは軽く頷いた。
「そうなんですか……被害にあったのはどんな方なんですか? それと怪我はどんな感じでしたか?」
「えーっと、被害にあったのは男の人でよくわからない黒い服を着ていたわ、それとうわ言でハーレムがどうこう言ってたわね。 怪我の方はかなり酷いわね、右腕が肩から吹き飛ばされてて、飛ばされた腕もないから再生は無理、恐らくもう戦闘は不可能でしょうね」
「そうですか……私達も時間を見て少し探してみますね」
そう言って私達はギルドを出て闘技場に向かった。
「ほらカリーナ、私を褒め称えてよ」
「素晴らしいわアリエル、貴女は超一流の魔術師で世界で最高の女性よ。」
カリーナは満面の笑顔で私を褒める、日本刀野郎が再起不能になり私達の安全が確保出来たことが相当嬉しかったらしい。
その後もカリーナの機嫌はかなり良く、パンを買ってにこにこしながら軽い足取りで闘技場へと歩いた。
私達が闘技場の観客エリアに到着し、周りを看るとまだ早いからか観客席はガラガラだったので一番前に座って私は寝ることにした。
「ほらアリエル! 始まるわよ!」
「ん、うーん、最初誰ー?」
私はあくびをしてカリーナに聞く。
するとカリーナはキラキラした目で私を見ながら教えてくれた。
「最初は光の騎士ジェイコブと貴公子ゲイリー・トイレットよ」
え? 最初からそんなキワモノ同士の試合でいいの?
もうカリーナのテンションが最初からクライマックス状態なんだけど。
本当に大丈夫? 尻すぼみになっちゃったりしない?
「それでは第一試合、光の騎士ジェイコブ対貴公子ゲイリー・トイレットの試合を始めます! まずはウエストゲート! ゲイリィィィ・トイレーーット!、」
審判の声と同時に赤の西門が開き、人が出てきた。
「ぶふぅ!!」
「……………」
これは酷い、知ってか知らずなのかは分からない、だけど常識的にあり得ない。
だって、何故か背中に水洗トイレのタンクらしきもの背負ってるんだもん。ちなみに武器は槍。
それ正面からの防御力皆無だよ?
本当に大丈夫?
「お次はイーストゲート!光の騎士! ジェーイコォォォブ!」
私は飲み物を口に含みごくりと飲み込む。
カリーナの目は真剣だ、どんなものが来ても笑わないという強い意思を感じる。
そして一人の男が出てきた……。
「ヒャッッッハァァァァ!!」
「あーはっはっはっはっ!!はぁ…ひぃ……」
「ふふふ…」
カリーナ大爆笑、無理もない、光の騎士なのに世紀末だもん。
某漫画のモヒカンの雑魚キャラ、それのスキンヘッドだと思っていい、というかそのままだ。
武器も四角いトゲの金棒だし。
「それではいいですか? 先に戦闘不能になるかギブアップをした方の敗けです。 それでは……始め!!」
「ヒャッッッハァァァァ!!」
「ぬおぉぉぉぉ!!」
審判の開始の合図と同時に二人は武器を構え突っ込む。
それからはもうすごい。
何度も何度もガンガン打ち合い、フェイントを……かけてんのかな?良くわかんないや。
「ヒャッッッフゥゥゥゥ!!」
そして何度も何度も打ち合ってるうち、突然ジェイコブが大声を出し、ゲイリーの槍に向け金棒振るうと、槍がバキッと折れた。
私は武器が折れたから終わりかなぁと思ったけど、どうやら続けるらしい。
武器無いけど本当に大丈夫なのかと思いながら見ていたら、ジェイコブが金棒を構えゲイリーに突っ込んでいった。
ゲイリーは現状絶対不利の状態なはずなのに、何故か不敵な笑みを浮かべている。
何でだろ? 何か奥の手みたいなのがあるのかな?
すると突然ゲイリーは何故か後ろを向いた。
あ……まさか! ダメダメ!そんなんじゃガードにならないって! やめろゲイリー! その考えは捨てて、今すぐギブアップした方がいいって!
そしてガシャァァンという凄まじい音と共に、第一試合は幕を閉じた。
カリーナはその時死にそうなくらい笑っていた。




