面倒な事は次から次へと来ます
私達は、梯子を降りて洞窟のような道を歩いていた。
それにしても随分長いな、ずっと真っ直ぐな道だったし、これ街の外に出ちゃってるんじゃないの?
「これどこまで続いてるのかな?」
「わからないけど、もう随分歩いたわよね、しかもこの道整備されてないから歩きづらい、まぁ明かりがあるのは助かったけど」
カリーナは疲れた顔をしてそう言う。
確かに明かりがなかったらまともに歩けなかったね、まぁ整備に関しては仕方ないと思う。こんな長い道だしね。
それからしばらく歩き、上から光が射し込んでいる所に着き、設置してあった梯子を登った。
外に出て周りを確認する…とりあえずここは林みたいだ、周りを見回すと非常口の出口である井戸に、遠目に街が見えた。
「あー、やっと外に出れたね、出来ればもうこの道は使いたくないよ」
「そうね、こんなに長いとは思わなかったし、街から結構遠くまで来ちゃったみたいだし」
私が疲れた感じでそう言うと、カリーナは額にしわを寄せて遠目に見える街を見ながらそう言った。
そして私達は非常口のあまりの不便さに、がっかりしたように肩を落とし、とぼとぼと街を目指し歩き始めた。
それから街道に出てしばらく歩き、疲れたので私達は道から少し外れた大きな木の下で休憩することにしたのだけど、疲れてたから油断したのか気付いたときにはいつの間にかゴブリンが三体近くまで来ていた。
「はぁ、全く気付かなかった、ゴブリンに気付かないとか私達そんなに疲れてたのかな?」
「そうね…勇者の事もあったし、知らないうちに物凄い疲れが溜まったのかもしれないわね」
私達はそう言いながらとりあえず倒そうと剣を抜こうとした時、街道の方から急接近した男が日本刀でゴブリンを斬りつけ、あっという間にゴブリンを殲滅し、格好つけて納刀した後に私達に近づいてきたので、小声でカリーナに話しかけた。
「ねぇ、あれって日本刀だよね?」
「間違いないわね、とりあえずあの男には注意しましょう、あの制服といい異世界人の可能性が高いわ」
「そうだよね、明らかに高校か何かの制服だもんね、面倒なのはごめんだし、付け入る隙を与えないで適当に対応してさっさと逃げよう」
「それがいいわね」
そして私達の作戦会議が終わったので、近くまで来ていた男を見る、歳は高校生くらいだよね、顔は下の中で髪は黒で後ろを刈り上げて、眼鏡を掛けていていかにもガリ勉みたいな感じだ、特徴はガリ勉だね、それしか表現出来ない。
「大丈夫か?」
「あ、ああ、大丈夫です」
「ふん、それならいい、それより聞きたいことがあるのだが」
「ど、どうぞ」
「あの街に冒険者ギルドはあるのか? いや、答えは後でもいい、とりあえず君達を街まで護衛するからその間に聞く、それと礼は街に着いたら案内してもらえればいい、それでは行くぞ、日が暮れるまでには着きたいのでな」
…この人なんで勝手に話進めてんだろ?
一緒に行くなんて一言も言ってないのに、それにこの人絶対硬派なキャラを無理矢理作ってるし、興味をありませんみたいな態度をとってるつもりだろうけど、明らかに私達を見てる目が下心丸出しだし。
この人は多分チートハーレム物の小説の世界か何かだと思ってるんだろうね、ピンチの所を助けて私達が惚れたとか思ってるのかも、実際は全然ピンチじゃないし余計なお世話なんだけど。
まぁ面倒だし、何か態度が腹立つからとりあえず断るか。
「冒険者ギルドは街にありますよ、それと護衛は結構です、私達は依頼があるのですみませんが門番の方に聞いてください、丁寧に教えてくれると思うので」
「それなら俺も手伝おう、それからでも構わない」
「いえ、有り難いのですがこれは私達が受けた依頼ですので私達だけで達成します、あ、それとすみませんが私達は街を案内できないので、これは先程のお礼です、それではこれで失礼します」
ふふ、どうだこの隙のない逃走は!
名前も聞かず、異世界人ということも触れずに、感謝なんか微塵もしてないけどお礼の金を渡すことで借りを無理矢理返し、何も要求出来なくして逃げ切ってみせたこの手腕、自分で言うのもなんだけど見事としか言いようがないね。
こうして私達は逃走に成功し、奴をギリギリ視認できるくらいに離れた木に隠れた。
カリーナはさっきから真っ赤になって笑っている、どうも奴のキャラの違和感がツボに入ったみたい、私はあのキャラはドン引きだったけど。
「はー、はー、あいつ絶対粘着するタイプよね、勘違いさせるとストーカー待ったなしの」
「もう、笑いながらそんな事言わないでよ、それにしてもこの世界に飛ばされてくる男ってろくなのがいないよね」
「まだ二人しか見てないけど変人率100%ですものね、そう思うのも無理ないわ」
「とりあえず監視しようよ、どんな行動に出るか面白そうだし」
こうして私達の今日の予定は奴の監視になりました。




