闘技王国につきました。
アクエスを出て2日、私達は雨の中白いカッパを来て歩いている。
最悪だ、顔は濡れるし、地面は水溜まりが沢山ある。
あー、早く着かないかなー。
ん? 後ろから馬車が来た、端に避けないと。
「カリーナ、馬車来たから端に避けよう」
「そうね」
私達は端に避けた、しかし馬車は私達の横を結構なスピードで通り、水溜まりの泥水が私にかかった。
あー! やりやがった!
「くそ! やられた! あーもうカッパが泥だらけじゃん!」
私がふざけやがってと思いながら馬車を睨んでると、急に馬車が凄い音を立てて横転した。
え? いや精霊じゃない。別に私は泥水かけられた位で復讐を考えたりしないからね、じゃあやっぱ滑ったか? まあ、あんなスピード出してれば当然か、ふっ、全く間抜けな馬車だな。
私は鼻で笑ってやった。
……ん? 私の視界の端にドヤ顔してる女がいたような気がするな?
え……違うよね? あれは事故だよね? まさかとは思うけど、やったりしてないよね?
「か……カリーナ、何かやった? 」
私が恐る恐る聞くと、カリーナはドヤ顔でこう言った。
「ええ、私の風魔法よ、あの馬車の側面に物凄い突風をぶつけて、転ばせてやったのよ。どう? この証拠の残らない完璧な魔法は! 」
「いや、何でそんなことしたわけ?」
ドヤ顔してる場合じゃないんだよ? 私は今、さっさと逃げるか、何事か? って感じで近づくかのどちらがベストかって真剣に考えてるんだよ?
「アリエルに泥水かけたからよ」
「え!? そんだけの理由で!?」
「いいえ、重大な事よ、もしこれでアリエルが風邪引いたりしたらどうするの? 今の馬車の連中は責任はとれるの?」
何言ってるの? 風邪なんか引いたとこで休めば良いだけじゃん、なのにどうしてそんな深刻そうな顔で責任とか言ってるの?
仮に責任があったとしよう、この場合、私はただの風邪だけど、ほら、馬車を見てみなよ、横転の仕方が悪かったのか、ボッロボロなんだけど、これが責任料なら、私達はかなりのお釣りを出さなきゃいけなくなるよ?
「とにかく、馬車の件は気づかなかったことにしよう、もう取り返しがつかないからね。 でも、もうこんなことしちゃダメだよ? ちゃんと私の許可を取ること、わかった?」
「わかったわ、とりあえず街道から離れて進みましょう、見つからないように、カッパの色を変えるわ」
私達はカッパの色を緑にして、草原に紛れるように通りすぎて、しばらく進んだ街道から結構離れたところでテントを張り、この日は休んだ。
そして、次の日、ようやく闘技王国の王都にたどりついた。
凄い立派な街門だな、作りがごつくてまさに堅牢って感じ。
私とカリーナは門の順番待ちをしている、といっても順番は次なんだけどね。
あ、前の人が終わった、次は私達だね。
「よし、次の者荷物を見せろ」
「はい、どうぞ」
どうせ見られても恥ずかしいもの何て、下着くらいしかないもんね。
この変態共め! ありがたく見ろよ!
「ちょっと聞きたいんだがな、君達はここに来るとき、白い服を着た二人組を見なかったか?」
門番が私達の荷物を漁りながら聞いてきた。
白い服か、見てないなあ。
なんかあったのかな? 犯罪か?
「いえ、見てないですね。何かあったのですか?」
「ああ、昨日、公爵家の馬車が横転したらしくてな、その馬車には公爵家の子息が乗っていたんだが、両手を粉砕骨折したんだ。それでその子息がな、白い服を着た二人組が何かやったって言い始めてな、だからこうして聞いてるって訳さ」
「へー、そんなことがあったのですね」
マジかよ……何て事をしてくれたんだカリーナ。
これで私達は追われる身だよ?
あの時カッパを緑にしてなかったら終わってたよ?
とにかく徹底して知らぬ存ぜぬを通さなくては!
「ああ、今日はパレードでな、もうすぐ王家と公爵家を乗せたパレード用のオープン馬車が通るからな、見てみるといい。 よし、荷物もOKだ、ガルディア王都にようこそ、滞在中楽しんでいってくれ」
「ええ、ありがとうございます」
私達は足早にその場を後にした。
あー面倒だなー。
「とりあえずその辺歩こっか」
「そうしましょう」
アクエスとは全然違うなあ、大通りも凄い広いし、建物も頑丈そうに出来てる、活気もアクエスの数倍はあるし。
これが大規模都市か、日本で言う東京って感じかな?
そんなことを考えてると、道の周りに物凄い人が集まってる、さっき言ってたパレードかな?
私達もしばらく見てようと、その場で待っていると、馬6頭で引いた、大きなオープン馬車が来た。
あ、両手に包帯巻いた男がいる。
あれが公爵家の子息かな、イケメンだけど、両手に巻いてる包帯で全て台無しだ。
「両手にバスター付けたロッ○マンみたい」
「ぶふっ!」
あ、声に出ちゃったか。
てかカリーナ大丈夫かな? 顔真っ赤にして笑い堪えてるんだけど。
「ちょっと! いきなり何を言うの! 油断してて笑っちゃったじゃない!」
ちなみにカリーナには私が前世の記憶を持ってることを言ってある。
そしてカリーナも前世の記憶を持ってることを聞いたから私も知ってる。
「ごめんごめん、でも形がそっくりじゃない?」
「止めてよ! また笑っちゃうから!」
こうして、私達は公爵家の子息、通称ロッ○マンを見て笑いそうになり、逃げるようにその場を後にした。




