何だこの空気…
つなぎです(キリッ
次回は動きます
「てゐ。さすがに酷いぞ?」
「うるさい!」
てゐが楽冶に突進した後、鈴仙から呼ばれたので、二人で朝食に向かっていた。
「大体女性に対して、あんなこと言うからだよ」
「どこが?」
「……何が?」
「いや。すまん」
女性 の部分に楽冶が反応したが、てゐは流すことにした。
楽冶に女心は分からない。と諦めたのか、溜め息をついて
「はあ……とりあえず。皆は元に戻ってると知らないだろうから」
「だろうな」
「色々言われるかもしれないから気をつけて」
「あいよ」
楽冶からの軽い返事に。てゐはもう一回、心の中で溜め息をついた。
「(はあ……あの素直な楽冶はどこにいっちゃったんだろうね……)」
鈴仙は待っていた。
最初にてゐを呼んで、次に輝夜。そして永琳の順で呼べば、てゐと楽冶が一番最初にここに来る。
そうすれば、小さい楽冶と一緒にいれる時間が、長くなるのではないかと。
鈴仙は、耳を澄ませて、二人分の足音を待っていた。
「……来たっ!」
部屋に戻ってから少しして、間違いなく二人分の足音を聞き取った鈴仙は、動きやすい体制に変える。
足音が襖の前で止まり、少しずつ襖が開きだした。
最初に見えたのはてゐ。
自分が通れる分だけ開けて入ってくる。つまり次に入ってくるのは、間違いなく楽冶である。
そして、楽冶の姿が見えた瞬間
「楽冶さーん!」
鈴仙が楽冶に飛び
パンッ
「きゃふっ!」
つけなかった。
「いたたたた……てゐ!何するのよ!」
てゐが一瞬で閉めた襖にぶつかった鈴仙は、鼻を押さえながら、てゐに文句を言った。
「いや。私は正しい事をしたと思う」
「どこがよ!人の邪魔をして!折角楽冶さんを抱きしめて、なでなでしようと思ったのに!」
「すんな!!!」
「きゃあっ!?」
鈴仙。今日二回目の悲鳴。
「人に何しようとしてんだ!」
「え!?あれ!?楽冶さん戻ってる!!!」
「はあ?何言ってんだ鈴仙」
「あれ?小さくなったの覚えてないんですか?」
「全然。てゐに聞いても教えてくれなかったし」
「楽冶何言っフガッ」
楽冶はてゐの口を押さえて、耳元で言った。
「覚えてないって事にしよう」
「……何で」
「楽しそうじゃん」
「……分かったウサ」
お話終了。
「どうしたんですか?」
「いや。何でもない。それより二人は?」
「先ほど呼んだので、すぐ来ると思います」
「じゃあ、待つか」
楽冶もてゐも席に着き、二人を待つ事にした。
心なしか、兎コンビは元気がないように見えるが……
その後、永琳、輝夜と来たが、そこでも同じような反応だった。
元に戻ってる!とか。記憶はあるの?とか。
答えを聞くたびに皆がショボーンとしていく。
「いや……何でそんなに凹んでるんだ?」
「私の楽しみが……」
「せっかく色々しようと……」
今日の朝食は、何か気まずく、味気ないものになってしまった。
「さて……どうしようかね」
楽冶は思った。
もうでていっていんじゃね?筍持って。
「帰ろっかな」
だが、そう呟いてしまったのはヤバかった。
ガチャン!
ガラッ!
パリーン!
と、変な音が聞こえたかと思うと、永遠亭の四人が目の前に並んでいた。
「……どした?」
ガッ
楽冶が言うと、輝夜が楽冶の胸倉を掴んで
「今なんて言ったの?」
「いや……帰ろうかなって」
「患者でしょ?許されるわけないじゃない」
「いや、もう大丈夫かなって……」
その時、輝夜の目が光ったのを、楽冶は見逃さなかった。
だが、見逃さなかったからといって、今の輝夜の握力からは抜け出せず、ただジタバタするだけ。
「ちょっ!輝夜離せ!」
「ふふふ」
「おいこら!てるよ!」
「あ゛?」
「スイマセン……」
「じゃあ永琳。今、時間開いてるわよね?診察しましょう」
「そうですね……結果は見えていると思いますが」
「どういうことだ!」
「うるさいわね。鈴仙。てゐ。お願い」
「はい!」
「分かったウサ」
「離せ!お前ら!」
楽冶の叫び虚しく、永琳の診察室へ、担がれていった楽冶だった。
入院決定おめでとうございます!
くそう…楽冶め…




