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最終回.現実ですから、ゲームのようにリセットできません

本日は、晴れやかな晴天。

お洗濯日和です。

国王様と城に勤めるお役人たちは、今日この日を今か今かと待ち構えていました。

城にある『断罪の間』で、電波少女とおバカな仲間たちを断罪するためです。

そして、私はなぜかその場に連行されました。招待ではありません、『連行』です。

これには海より浅く山より低い理由がありまして、ちょっと脅されただけです。「この場に、お前が行くかレイチェルが行くか?」とジムディクト様に。いや、こんなこと言われたら私が行くという選択肢しか存在しないのですよ。天使なレイチェル様が、やっと彼らに関わらず済むことになったのですから。こんなところで関わらせてなるものかとなるのが、普通でしょう。

私は、電波少女とおバカな仲間たちの罪状を読み上げ終わったところで『断罪の間』に入りました。

私が彼らの罪状に全く興味を持たなかったことと、『断罪の間』にいる間の不死鳥フェニックスのおやつを作っていたからです。

おやつは、チーズを入れすぎたパンケーキです。

私はチーズを入れすぎたパンケーキが好きなので、不死鳥フェニックスにあげたところ、以外に好評だったのです。味覚は私と一緒のようでした。

これは、私にとってかなり便利です。

電波少女とおバカな仲間たちの断罪前に、「不死鳥フェニックスのおやつを作りたい」とジムディクト様に言ったところ、「どうせ奴らの罪状など予想できる範囲だからな」と言ってあっさり許可してくれました。

現在の不死鳥フェニックスの大きさは、私の方に乗るくらいの大きさに変化へんげ中です。


私と不死鳥フェニックスが『断罪の間』に入ると、電波少女は場違いな服装をしていて髪には『血を吸ったような濃い赤色の宝石』をあしらったバレッタをしていました。

この世界ではあのような赤色の宝石は、存在しないはず。

電波少女は、どうやってあの宝石を手に入れたのでしょう?

電波少女は突然、喜劇役者のように「私が『真実の愛』をみんなに教えてあげるわ!」と言って、天に向かって両手を上げたのが何かの魔法をかけているように感じました。

その時に、『不快な何か』が電波少女から霧状で飛び散っているように見えました。

あの『血を吸ったような濃い赤色の宝石』が、さらに生き血を吸いこんだように濃い赤色に変化へんかしたみたいです。あの宝石は何かがおかしい。自己主張しすぎていて、違和感しか感じない。

私が電波少女のバレッタについている宝石を壊そうと駆けだした瞬間、不死鳥フェニックスが宝石を壊し、おやつのパンケーキを電波少女が驚いて口をあけっぱなしにしている口の中に突っ込みました。

電波少女は、

「なに、このまっずいパンケーキ!チーズ入れすぎじゃない!人間の食べ物じゃないわ!」

それを聞いた瞬間、不死鳥フェニックスは目にもとまらぬ速さで、電波少女を体全体で殴りつけ顔から壁にめり込ませました。

電波少女はピクピク動いているように見えますが、壁から抜け出せません。

慌てて、おバカな仲間たちは電波少女を壁から救出しました。

壁には、電波少女のかたが残りました。

この場にいる、電波少女とおバカな仲間たち以外はそれを見なかったことにしました。

電波少女は壁から救出された後、自分のバレッタが壊れたことに気づきました。

「私のバレッタが壊れてるわ!これじゃあ、みんなに私の『真実の愛』を教えてあげられないわ!なんでこんなことになってるの!?」

動揺する電波少女。

私は再び「『真実の愛』ってなんやねん」とツッコミそうになりました。

人を騙し、魅了の魔法で人の心を奪い、自分の思い通りにすること?

やはり、彼女は電波なだけに理解不能の生き物でした。

電波少女が持っていた宝石に化けた魔石が壊れても、おバカな仲間たちは魅了の魔法が解けません。魅了の魔法の影響を受けすぎて、麻薬のように体を蝕み抜け出せないのでしょう。

そんなことをふと思った時に、スヴァリウス様の服の袖についているカフスが電波少女のバレッタについていた宝石と全く同じことに気づきました。

通りで、ヴァルッテリーナ・カゼーラ公爵家の屋敷の者のほとんどが、スヴァリウス様至上主義だったはずです。

これで長年の疑問が解けました。

私は、肩に乗っている不死鳥フェニックスにスヴァリウス様を壁にめり込ませることをお願いしました。

不死鳥フェニックスはスヴァリウス様にあっという間に距離を詰めて全力で壁にめり込ませ、ついでにカフスについている宝石を壊しました。

顔面蒼白になるスヴァリウス様。

やはり彼は、あの魔石の効力を知っていたようです。

国王様は、電波少女とおバカな仲間たちに、

「これより、処刑場で自害を命ずる」

それに思わず私は、

「軽すぎ」

と呟いてしまいました。しっかり、国王様に聞こえてました。

「レイチェル嬢の専属侍女か。お前なら、どのような処罰をする?」

「身分を剥奪の上、私の行動範囲外の国外追放です」

「...そうか、それもありだな。警備兵!こやつらを直ちに国外追放しろ!」

警備兵に連れ出される時に電波少女は、

「やっぱり私がヒロインだから、お咎めなしなのね!ありがとう、私がヒロインなこの世界!」

と言って退場していきました。

電波少女は、やっぱり電波なようです。

「ところで、レイチェル嬢の専属侍女。このような軽い処罰であやつらがしたことが許せるはずないのだが?」

国王様は怒ったように私に問われました。

「確かに、一般人なら軽い処罰になるでしょう。

ですが、権力と我が儘を使い放題している者たちがいきなりそれらを取りあげられた上、身一つで放り出されてこの先耐えられるでしょうか?

私はともかく、彼らはそれができないと思います」

と私は答えました。

ジムディクト様の専属侍女としていた私のお祖母様は、

「さすがは我が孫!ずいぶん、えげつない策ね!」

と満足げに言いました。

それを聞いて、この場にいる周りの者たちは何とも言えない表情になりました。

この先、彼らはその状況に耐えられるのでしょうか?

私には関係ないし、レイチェル様に迷惑をかけることがないのでどうでもいいことですね。



学園卒業後は、レイチェル様の専属侍女をこなしつつ、ついでにギルドの依頼をこなす。

そして、私はおやつに私と不死鳥フェニックスの分のチーズを入れすぎたパンケーキを焼く。

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