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14.ワガママ王子は、校則違反をする

日々、順調にカリーナ・ピエール・ロベール嬢こと電波少女は、ほとんどの生徒たちと先生たちに警戒されていきます。

「モブのくせに!」とか「メインキャラに話しかけられてるんだから、情報よこしなさいよ!」とか。

ここで、突っ込むべきところはゲームの情報係兼サポートキャラなのに実際は、情報収集能力が全くないところでしょう。

いくら乙女ゲーム世界といっても、電波少女はゲーム世界補正を受けなかったようです。

ここは現実だから、『ゲーム補正』なんて存在しないかもしれないけれど。


電波少女の襲撃を受けてからは、電波少女が近づいて来なくて平和です。

合法ロリ先生から呼び出されて、教室に戻る途中の廊下でクリス様を怒鳴って呼びとめるスヴァリウス様を見ました。

「おい、そこの女!」

女の子より女の子らしいクリス様を呼びとめる方法としては、間違っています。馬鹿だから気付かないのでしょうか?

クリス様は気丈に振舞い戸惑いながら、

「ぼくのこと?」

「他に誰がいる。俺の女になれ!」

「いや」

と弱々しくクリス様が返事をしました。

「なんだと!俺が、ヴァルッテリーナ・カゼーラ公爵家の者と知って言ってるのか!断れば、お前の家を潰してやるからな!」

ここで私が思ったことは、「馬鹿ですか。コイツ」です。

スヴァリウス様は、電波少女と同類で校則を理解すらしない残念な人でした。

校則ぐらい理解しろよと思う。

これで、スヴァリウス様がヴァルッテリーナ・カゼーラ公爵家当主になった暁には、没落一直線ですね!

「スヴァリウス様」

クリス様を背に庇いつつ、スヴァリウス様に話しかけます。

「リズか。俺の専属侍女になればよかったものを」

「そんなことになんるなら、死んだ方がましですね。それよりも、さっそく校則違反をされていますので今のお言葉を取り消されることをお勧めします」

「何を言ってるんだ?校則違反なんてしてないぞ」

「されています。今、クリス様に『自分の女にならないと、家を潰してやる』とおっしゃていたではありませんか。これは、校則の中の『身分をかさに、権力を使わない』『学校内は、身分は関係ない』の違反にあたります。ご理解いただけましたでしょうか?」

「そんなこと、俺には関係ないだろ」

「大ありです。学園で過ごす以上、学生として守るべきルールがあります。馬鹿ですか?一度死んでみたら治るのでしょうか?つまり何が言いたいかと言いますと、スヴァリウス様の今の行為は、ご自分の家に泥を塗る行為だとご自覚ください」

「そんなはずないだろ!」

「ご実家ではないのですから、我が儘放題しないでください。スヴァリウス様の我が儘が通っていたのは、旦那様の権力があったからこそですよ。ここは学園なのですから、それができないことぐらい分かるのは当然のことかと」

「俺がしたいことをするのが当然だ!お前が指図するな!お前ごときが俺に命令していいと思っているのか!」

「命令ではありません。苦言です」

「命令とか苦言とかはどうでもいい。俺にそんなこと言っていいと思っているのか!レイチェルも大変だな。こんな奴が専属侍女だなんて」

ひょっとして、ワガママ王子の専属侍女って『使えないまま』?使えない専属侍女なんて、私はいらない。

何でもかんでもイエスマンされているから、ここまで横暴に育つのですね。

電波少女もですが、このワガママ王子もうっかり殺らないように気をつけないと。

遺体が残らないように処理するぐらい簡単ですけどね。

私が黙りこんだことで、勝利を確信し得意顔になるワガママ王子。

その態度を見て、興醒めてしまいこれ以上無駄だと悟る私。

そこに、こちらに向かって廊下の音を立てて走るのが聞こえました。

来たのは、合法ロリ先生です。

「スヴァリウス・ヴァルッテリーナ・カゼーラ!お前、校則を破った上に上級生を脅したな!お仕置き部屋行きだ!」

この学園には、『お仕置き部屋』があります。

内容は、合法ロリ先生に校則違反が見つかり次第、残りの授業時間すべてを専用部屋で『正座』するというシンプルなものです。

はっきり言って正座は、前世から苦手なものでした。

なので、私は絶対に校則違反をしません。

合法ロリ先生は、私の方に振り返り

「おお、魔王様の御前であったな。失礼した」

「いえ、一生徒の前ですのでお気になさらず」

「そうもいかんだろう。魔王様、この校則違反者を連れて行ってもいいな?」

「もちろんです」

「何を言っているんだ、リズ。めろ!」

「スヴァリウス様は、校則違反をしました。学園の校則にのっとり、罰を受けて下さい」

「なに言っているか分かっているんだろうな!」

「このことは、おじい様のジムディクト様にすでにご連絡が言っているので、ご了承ください」

私がいい笑顔で言っているのは言うまでもないでしょう。

「ウソだろ!それだけはめてくれ」

「私がしたのではありません。学園のシステム上すでに行われています。諦めて下さいませ」

さらに笑顔で続けるのは、仕方のないことです。

これからもワガママ王子は、校則違反を何度もするでしょう。

期待してもいいでしょうか?

期待するしかないですよね?

これからも、どんどん校則違反して行って下さい、ワガママ王子様。

そのせいで、ヴァルッテリーナ・カゼーラ公爵家に迷惑がいっても私は痛くもかゆくもありませんし。

私のために、そうしてくれるのが筋というものでしょう。

だって、私のあるじレイチェル様に一番迷惑をかける人物なのですから。

それに攻略対象者様なのだから、たまにはヒロインのために役に立たないといけないと思うのですよ?

普段から、役に立ちすらしないのですから...



そんな時に、こんな噂が聞こえてきました。

電波少女が、ワガママ王子とロベルト・ゴルゴンゾーラマスカルポーネ様とグッリェルモ・チェダーと仲良くしていると。

その様子を呆れて見ている人によれば、電波少女に恋するようだとも言っていました。

これは、『同類相哀れむ同盟』?

ヒロイン補正「この世界には、『ゲーム補正』も存在するよ。でもでも、努力すらしない人に、補正力を与えるわけじゃないんだからね」

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