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10.「魔王様」呼びされました

クリス様の『男の計画』が順調に進んでいたある日のこと。

クリス様がクリス様の従兄クロヴィス・パルメザンに連れられて、どこかに行くのを見かけました。

まさか、イジメや制裁を食らわせる定番の校舎裏じゃないですよね?


堂々とつけていくと、着いたのは校舎裏でした。

そこには、ある程度戦えそうな上級生たちが揃っています。私より、弱いけど。

クロヴィス・パルメザンは、この国の第一王子エーレンフリート・ゴルゴンゾーラマスカルポーネ様の専属執事です。

困りましたね。第一王子様の専属執事とあろうものが、か弱き男のを寄ってたかって私的制裁を加えようなんて。後で、第一王子様にチクッて上げましょう。

クロヴィス・パルメザンは、クリス様に女の格好をして恥ずかしくないのかとか女装をして俺に恥をかかせるつもりかとか頭のおかしなことを言っています。

クリス様は、女の格好とか女装をしているのではありません。

由緒正しき『男のの格好』をしているだけです。

あれほど、完璧で可憐な男のはこの世界が生み出した奇跡ですよ!

信じられないことです。

これでは、私の超重大計画『クリス様の男の計画』が失敗するじゃないですか。

私が、少しイラついていると向こうの上級生たちは私に気づいてしまいました。

クリス様が私に気づくと走ってきて、抱きついてきました。

「リズ!」

「クリス様、私、この方たちと『お話』しないといけないので、先に戻ってもらえますか?」

「で、でも...」

「よーく、『お話』しないといけないことがあるんです」

「わかった、気をつけてね」

この場から、クリス様を逃しました。

「第一王子エーレンフリート・ゴルゴンゾーラマスカルポーネ様の専属執事クロヴィス・パルメザン様とあろうものが、こんなとこに大勢で寄ってたかってか弱き美少女を呼び出して恥ずかしくありませんか?」

私が笑顔で言うと、その場にいる上級生たちの半分以上が尻もちをついて顔色を青くして『ヒッ』と言って息をのみました。

「リズ・チェダーか。チェダー家だからって、調子に乗らないでください。どうせ、あのグッリェルモ・チェダーと同じでしょう?」

「あの出来そこないと同じにしないでください。虫唾が走ります」

「へぇ」

同時に攻撃を仕掛け始める私たち。



【ヒロイン補正からのお知らせ】

ヒロインが、クロヴィス・パルメザンと仲間たちに乙女ゲームのヒロインとしては、やってはいけない酷い攻撃をして叩きのめしています。

なので、ここはヒロイン補正の特権。

『描写をすっ飛ばすを発動します♪』

うぅっ~、こんなことでヒロイン補正力を発揮したくなかったよ~。



数分後、クロヴィス・パルメザンとその他の上級生たちが地面に付して地面と仲良くしていました。

クロヴィス・パルメザンは地面と仲良くしたまま、「この悪魔め!」と私に言い放ちました。

だから、私はクロヴィスの頭を足で踏みつけ、

「悪魔なんかの三下と同じにしないでください。せめて、魔王で」

彼の返事を聞かずに、私はそのまま去りました。


翌日、私は彼らから「魔王様」と呼ばれることになりました。

昨日の上級生たちに、「おはようございます。魔王様」と挨拶されているとエーレンフリート様から声をかけられました。

私にエーレンフリート様が近づくと他の生徒は気を使って遠くに離れていきます。

「昨日は、俺の専属執事が失礼なことをした。すまない、リズ嬢」

「お気になさらないでください。『お話』しただけですから」

「そうか。なら、コイツの罰則を決めていいぞ」

「では、遠慮なく。『チェダー家の出来そこないと一緒にしてごめんなさい』『クリス様の格好を女の子の格好とか女装と言ってごめんなさい』というのを羊皮紙10枚づつ、表裏書いてください」

「さすが、魔王様。血も涙もない」

「そんなことでいいのか?」

「はい」

「納得しないでください、エーレンフリート様。どれだけ時間がかかると思っているのですか!?」

「自業自得だ」

「それに、クリス様顔と男のでいるのは障害を除く意味で重要なんですよ。国王様と王妃様に約束した『第四王子の件・計画』のために」

「なんですか?そのネーミングセンスもない計画は?」

私とエーレンフリート様は、クロヴィス・パルメザンにこれから起こることへの同情的な目を向けました。

「他人に聞かれても大丈夫なように、重要な部分をぼかした言い方で計画を分かりやすくした言い方です」

「それは、母上が考えた計画名だ。とにかく、その暴言は母上に即刻伝わるぞ」

「どうしてですか?」

「コイツ以外に俺には護衛が常にいてな。なにかあれば、その護衛が母上たちに報告する。王城に帰れば、コイツ母は上から罰則を言い渡される。母上は、ネーミングセンスのなさをものすごく気にしているからな」

「そのことを知っていて暴言を吐くとは専属執事としては失態ですね。仕方ありません。謝罪の書き取りは、『クリス様の格好を女の子の格好とか女装と言ってごめんなさい』だけにしてあげます」

「明日から休みで、地獄の罰則が俺に始まるのになしにしてくれはしないんですね!?」

「計画に重要なことを邪魔されたくないので、心に刻む意味でもしてください」

「悪魔なんて生易しいものじゃない。本当に、魔王様...」

「じゃあな」

「はい、失礼します」



教室に戻ると、レイチェル様とクリス様とメリッサ様が「なぜ、上級生たちに魔王様と呼ばれているのか?」と訊かれました。

クラスの人たちも聞き耳立てているようです。

なので正直に答えました。

「昨日の『お話』の結果、魔王様と呼ばれることになった」と。

それを聞いたクリス様は、この会話を無理に打ち切ってくれました。

詳しく話すと、みんなからドン引きされること請け合いなので助かりました。

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