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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第九十話 市場

「お待ち! 熱いから気をつけて食えよ」

「サンクス。じゃあこれな」


 焼きあがった串焼きを受け取り、引き換えに俺は代金は支払った。

 すぐに食べたいがおっちゃんが言った通りだいぶ熱そうなので、ついでに近くで売っている果実水も買いに行った。


「お姉さん、三つくださいな」

「はーい、じゃあ今冷やすんでちょっと待ってね」


 果実水の屋台のお姉さんに注文すると、お姉さんは木のコップに果実水を注いで魔法で冷やし始めた。

 冷蔵庫がなくてもこうして魔法が使えるので、冷たいものも飲めるみたいだ。

 最悪、アイテムボックスから氷を出して冷やそうと思っていたので助かった。

 俺たちは各々コップを受け取って、自由に使って良いテーブル席へと移動した。


「じゃあ食べようか」

「いただきますなの!」

「・・いただきます」


 席について二人に串焼きを渡して早速食べ始める。

 一口サイズの肉が四つ刺さっている串の、一番先頭を豪快にがじりとって口にする。


「ん、結構旨いな」


 先ほど焼く工程を見ていた時に気付いたが、焼き鳥のようにタレの入った瓶に何度か肉をつけて焼いてを繰り返していた。

 タレの味は焼き鳥ほど甘くはなく、ステーキソースのような感じの味だった。

 こちらの世界には思ったよりも調味料があるようだ。

 さらには胡椒の味もした。屋台で使うということはそこまで香辛料は高いものではないのかもしれない。


「ゆーちゃんのほどじゃないけど、おいしいの」

「・・そうね。買い食いするのには悪くないわね」


 二人にもそれなりに好評なようだ。

 そしてみーちゃん、俺の料理をそんなにヨイショしないでくれ。所詮独身男のしがない料理なんだから。

 作り方が分からないものはクッ○パッド先生に協力してもらってるし。


「しかし思ったほどひどい食文化ではないんだな」

「・・この国は割としっかりしてるのよ。人が生きるために必要なものが分かってるの」

「立派な国じゃないか」


 人があってこその国だ。衣食住は人の生活の基本なのだから蔑ろにしてはならない。

 作物の品種改良は進んでなくとも、人が飢えずに済むような政策ならば文化だって自ずと発展していくだろう。


「じゃあそろそろ色んな店を見て回るか」


 ちみっこ達が串焼きを食べ終わったところで、早速お買い物に出かけることにする。


「まずは八百屋かな」


 周りを見渡して目についた露店の八百屋に向かうことにした。

 野菜も果物もそれなりに種類が揃ってるようだ。


「ちょっと見せてもらってもいいか?」

「らっしゃい! ゆっくり見ていってくれ」


 威勢のいいおっちゃんに許可をもらって、三人で買うものを物色することにする。


「これは白いリンゴか?」

「『すのーあっぷる』なの。でも()はおれんじいろなの」


 皮が白くて実がオレンジ色のリンゴか。面白いんでこれは買いだな。

 他にもスイカぐらいの大きさの真緑の果物や、赤い大根のような野菜など、少なくとも日本で見たことないような物をピックアップしていく。


「あとはこっちでもありそうな野菜だからいいか。おっちゃん、とりあえず――」


俺は先ほど目を付けた野菜や果物を次々におっちゃんに注文して揃えてもらう。

 量的にはダンボール一箱分ぐらいだろうか? たくさん購入する俺におっちゃんもホクホク顔だ。


「全部で銀貨4枚と銅貨13枚だな。たくさん買ってくれたから端数は切り捨てて、銀貨4枚でいいぜ」

「じゃあこれな」


 おっちゃんに銀貨を渡して、商品をアイテムボックスに入れた。

 どんな味をしてるのか、食べるのが楽しみだ。


「つぎはどこにいくの?」

「香辛料を見ようかと思ったけど、どうせ俺には使いこなせないからなぁ」


 香辛料の世界はとても奥が深い。

 素人の俺には日本にある香辛料でさえよく分かっていないんだ。

 インドカレーを食べに行っても『コレオイシイ』と言うのが精一杯です。


「・・魔導具を売ってるお店とかは?」

「魔導具・・いいね。手持ちの金で買えるものがあるか分からないけど行ってみるか」


 魔導具・・何とも男心をくすぐるワードじゃないか。

 お土産に地球に持って帰って自慢できないのが悔しいぐらいだ。

 ・・いや、ダンジョン産とでも言えばいいのかな?

 ともかく歩きながらちーちゃんにそんな感じの店を探してもらう事にする。


「・・あそこで売ってそうね」


 ちーちゃんの視線の先には、他の店同様に露店で商品を並べて販売している店があった。

 そこには見慣れない変わった道具が色々置いてある。


「いらっしゃい。何かお探しかい?」


 魔女・・ではないのだろうが、そんな感じのおばあさんが店主の店だ。

 いや、魔法が使える女性ならみんな魔女になるのだろうか?


「俺魔導具に詳しくなくて、ちょっといろいろ見せてもらっていいですか」

「構わないよ。まあうちはほとんど日用品ばかりだけどね」


 オッケーが出たので、またも三人で色々物色していく。


「これはひがでるの」


 みーちゃんが手に取った魔導具は、手のひらサイズの長細い筒のようなものだった。


「ライターってことか?」

「そんなかんじなの」


 確かに日用品だ。

 もっとこうイナズマを発生させたり、竜巻が出たり、幻獣を召喚できたりするような魔導具はないのだろうか?


「・・無いことはないけど、露店では売れないわよ」

「ごもっとも」


 ちーちゃんの言うとおり、そんな危険なブツを露店で取り扱ってるわけがない。

 むしろそんなものが日用品として扱われるといったら恐怖でしかない。

 だがせっかくなので、何かお土産を探してみようと思う。

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