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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第八十八話 お茶にしよう

 冒険者登録を終えてギルドカードを受け取ると、ちみっこ達がこちらにやってきた。


「ゆーちゃん、さっきたおしたまものをうるといいの」

「あーなるほど。そのために回収させたのか」


 こちらでどれほどお金が必要になるかわからないが、少しは手持ちがあった方がいいだろう。

 俺は再度ギルマスのカイエンの方を向いた。


「ということで、魔物の買取も頼む」

「いいぜ。じゃあそっちのカウンターに出してくれ」


 カイエンが示した一番入り口側のカウンターは俺の足のすねぐらいまでの高さで、魔物が乗せれるように広くなっている。


「けどお前さん、獲物はどこに置いてあるんだ? 外か?」


 荷物を持っていない俺たちを見たギルマスがそう聞いてきた。

 ・・あんな重いもの馬鹿正直に担いでくるわけがないだろう。


「アイテムボックスの中に入ってるよ。ほら」


 とりあえず俺はカウンターの上にワイルドディアーを一体置いた。

 血が流れることを考えたが、カウンターは緩やかに内側に向かって傾斜がついてるようで、こちら側に血は流れてこない。


「アイテムボックスを持ってる奴なんて久しぶりに見たよ」

「たまには見かけるのか?」


 地球(こちら)ではまだ俺しかアイテムボックスを持っていない。

 ギルマスの口ぶりだと、珍しくはあってもそれなりに持ってる奴はいるっぽいが。


「年に一度ぐらいは見かけるぞ。ただそういう奴は大体、商人か貴族のお抱えなことが多いな」

「そっちの方が稼げるってことか?」

「アイテムボックスの容量にもよるが、高待遇だろうよ」


 やはりこっちでも有用なスキルなのだな。

 そして俺以外が持ってることもこの際は助かる。悪目立ちせずに済むし。


「アイテムボックスがあるって事は、他にも獲物はあるのか?」

「ワイルドディアーがあと二匹、コカトリスが二羽、シルバーボアが一体だ」

「大漁じゃねえか! おいミリス、裏からドリーを呼んでこい!」

「わかりました」


 カイエンがミリスと呼んだ女性職員に声をかけると、その女性はいそいそとカウンター内の扉をあけてどっかに行った。

 ほどなくして女性と共に、いかつい大男が室内にやって来た。


「ドリー、ディアー3コカ2ボア1だ。裏に運ぶぞ。ユタカは台が空いたらどんどん次の獲物を出してくれ」

「こんな小さな村にしちゃ大量の獲物だな。あんたが狩ったのか? 子連れの上にあんまり強くも見えないが」

「馬鹿野郎! あの子達は聖霊様だ。失礼なこと言うな」


 ドリーがナメたことを言ってくれると、カイエンがそう注意した。

 さすがに目を剥いてこちらを見るドリー。


「そういえばここにはエルフはいないのか? エルフだと二人の事は一発で見分けられるらしいが」

「ギルド職員は協会からの派遣だからな。全くいないって事もないが、少なくともここにはいない」


 やはりエルフでないと見分けはつかないらしい。

 普通に考えればドリーの反応の方が正しいんだ。

 とりあえずカイエンとドリーが次々に獲物を裏に運んでいく。


「ゆーちゃん、おにくはかえしてもらうの!」

「そうだな。コカトリスはともかく他の肉は食べたことないもんな」


 とはいえ全ての肉をもらっても量が多すぎる。

 少しだけ返してもらえばいいだろう。

 俺は最後のシルバーボアを二人がかりで運びに来たカイエンを捕まえて、肉の一部をこちらで引き取ることを伝える。


「じゃあディアーとボアを半分ずつぐらいでいいか?」

「十分だ。それで頼む」


 俺がオッケーを出すと、二人はボアを裏に持って行って解体を始めた。

 大体三十分ほどかかるそうだ。

 しばらく時間潰しに買い物にでも行きたいが、こちらのお金はこれから手に入る予定なのでどうしようもない。

 仕方ないのでギルド内のベンチでお茶にすることにした。


「せっかくだし、みんなも一緒にどうだ?」


 俺はついでに『虚空』の面々も誘うことにした。

 こっちのことについて色々聞いてみたかったので、ちょうどいい機会だ。


「さんせー! みーちゃんとちーちゃんとお茶するの!」


 シェリルがあっという間に食いついてきた。

 他の三人はそんなシェリルを見てやれやれといった感じだったが、お茶には参加してくれるようだ。

 アイテムボックスから人数分のカップと紅茶の入ったポットを取り出してどんどん注いでいく。

 ついでにお茶請けでチョコチップクッキーも出した。

 ちみっこ二人には『虚空』のメンバーに、紅茶とクッキーを次々渡してもらう。


「なんだこれすごい美味しいぞ⁉」


 不思議そうにクッキーを見ながらひと齧りしたトーマスが、不意にそう叫んだ。

 ちなみにこのクッキーは100円ショップで売ってる安いやつだ。


「このお茶もすごい美味しい!」


 続いてシェリルや他のメンバーたちもお茶やクッキーを口にして次々に叫び出した。

 やはりこういう世界では嗜好品は貴重なものなんだろうか?


「おかわりもあるから欲しかったら言ってくれ」

「いやいや、こんな高級品これ以上もらえないぞ!」


 トーマスは齧りかけのクッキーを手にしながら青い顔でそう言った。

 他の面々もこれ以上口にしていいのかどうか迷ってるようだ。


「高級品なんて事はない。子供のお小遣いでも買えるようなもんだぞ」


 ・・こっちではな。

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[良い点] 面白くて一気に読んじゃいました 続き待っています
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