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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第ハ十ニ話 あの衣装

 俺は二人に説明する。


「武器での攻撃がほとんど効かない岩や金属でできた敵や、逆に魔法防御力が高い魔法タイプなんかに問題無くダメージを与えられるな。それに基本的にどんな敵だって防御力はあるわけだから、振れ幅はあるが純粋に攻撃力がアップしたようなものだ」

「・・武器でも魔法でも常に最大のダメージを与えられるということね。いいスキルじゃない」

「でもじみなの」


 みーちゃん、確かにそうなんだけどね・・

 最近の俺は戦闘において決定打に欠ける気がしていた。

 そこに来てこのスキル。与えるダメージが増えるだろうが、やはり必殺技とはなり得ない。

 やはりプロレス技を覚えていくか?

 偉い人がプロレスは最強の格闘技だとも言ってたしな。


「とりあえず三階に降りよう。入り口だけ見て一旦ポータルで家に帰ろう」

「みじかかったけど、つかれたの」


 二階に降りてから一時間くらいしか経っていない。

 初見のフロアでこのタイムは最速だが、内容が濃すぎてとても疲れた。

 三階への突入は明日でもいいだろう。

 いつも元気なちみっこ二人も、さすがにへばっている。


「次のフロアはどんな作りかね?」

「おいしいものがあるといいの」

「・・落ち着いた場所がいいわ」


 三階への階段を降りながら俺たちはそんな話をする。

 ・・またトロッコがあったらどうしよう。


「・・とりあえず普通の広間だな」


 降りた先は特に変哲もない広間だった。

 フロアへの入り口の扉、それとポータルだけ。

 まあこれが普通なのだろうが。


「・・中は覗かないのよね?」

「ああ、楽しみはとっておこう」


 フロアの様子を覗かずに、俺たちはポータルに入った。

 本来なら様子を見るべきなのだろうが、このダンジョンはそうしない方が楽しい。

 一階のポータルに到着して俺達は家に戻った。

 時刻はまだ午前中。濃ゆい内容の割に、あっという間の出来事だった。

 地下室の棚に装備品を置いて居間まで移動する。


「やれやれなの」

「・・一休みね」


 ちみっ子たちは戻るなりソファーにダイビングした。

 俺はとりあえず喉が渇いたので、三人分のりんごジュースをグラスに入れて二人のところへ持っていく。


「とりあえず今日はもうのんびりしよう」

「じゅーすありがとうなの!」

「・・さすがゆーちゃん、気が利くわね」


 まだ暑いこの季節。よく冷えたりんごジュースが体に染み渡る。

 思ったより早く戻ってきたわけだが、お昼はどうしたものか?

 とりあえずぼーっとしながら午前中を過ごしていった。



「きょーこがんばるの!」

「・・今こそ『マジカルチェーン』よ!」


 お昼にそうめんを食べた後、ちみっこ達は『深紅の響子』のDVDを見てる。

 俺は一緒のソファーでラノベを読んでいた。

 アニメはクライマックスのようで、白い特攻服を着た響子がチェーンで怪物をシバいている。

 ただの鎖にしか見えないのに『マジカル』と付くと魔法的に見えるのは何故だろう?

 やがてアニメはエンディングを迎え、二人の興奮が一旦治まる。


「ゆーちゃん、あれんがくれたふくをきたいの」

「・・私も着たいわ」


 アレンがくれた服ってあの魔法少女のコスプレか?

 そういえばあの後まだ一度も着てなかったな。

 俺は衣装がしまってある部屋に行き、タンスから二人分引っ張り出す。


「ありがとうなの!」

「・・じゃあ着替えてくるわ」


 衣装を受け取った二人は、別の部屋へ着替えに行く。

 その間俺は再度ソファーでラノベを読むことにした。

 そして数分後。


「まほうしょうじょせいれい、みーちゃんなの!」

「・・魔法少女精霊ちーちゃんよ!」


 ステッキまで装備した二人が俺の前でポーズをとっている。

 この姿を見るのは二度目だが、アレンにはグッジョブと言うしかない。


「二人とも可愛いぞ」

「ありがとうなの!」

「・・当然よね」


 二人は次々にポーズを決めていく。実際にこんな魔法少女がいてもおかしくないぐらい様になっている。

 うちの子達はきっと世界一可愛いに違いない。


「ゆーちゃん、せっかくだからだんじょんにいくの!」

「え、また?」


 ノリノリになっているみーちゃんがそんなことを提案してきた。

 午前中にあんなヘロヘロになってたのに、休んでからこの服を着たらまたテンションがあがってきたようだ。


「・・魔法少女精霊の力を見せてあげるわ」


 そしてこっちにもテンションアゲアゲな子がいた。

 ちみっこなだけあって、二人ともとても元気だ。


「じゃあ地下一階で狩りでもするか。俺の新しいスキルも試してみたいしな」

「おにくがりなの!」


 肉狩りもできるとあって、みーちゃんのテンションはもはやマックスだ。

 夕飯のメニューは肉以外になさそうだな。


「じゃあ遅くなる前にさっさと行くか」


 俺達三人は再び階段を降りて地下室へと向かう。

 棚に置いておいた装備品をつけて『ガーデン』に入っていく。

 地下一階の扉を開くと、草原には今日も青空が広がっていた。


「きょうもいっぱいかるの!」

「程々にしときなさい。お肉のストックはいっぱいあるんだから」

「・・みーちゃんにそんなこと言ったって無駄よ」


 ちーちゃんが諦め顔でそんなことを言う。

 とはいえちーちゃんもやる気は満々である。コスプレ効果のようだ。

 二人の気迫のせいなのか、魔物たちはこっちに寄ってこない。

 ・・もしかすると本能的にヤバいと感じ取ってるのかもしれない。

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