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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第七十六話 肉食系女子

「すごいの! みんなかっこよかったの!」

「・・そうね。良い編集だわ」

「あはは、ありがとう」


 ちーちゃんのお褒めの言葉に甲斐さんがお礼を言う。

 ちーちゃん、何故そんな上から目線なんだ?


「これDVDは焼き増しして貰えるのか?」

「ええ、とりあえず十枚持ってきてますので皆さんどうぞ」


 龍二さんの言葉に甲斐さんはバックからDVDを取り出しながらそう言った。

 用意してあるということは元々配る気だったのだろう。

 全員一枚ずつ受け取った。うちは三人で一枚だ。


「高倉さん、すぐにこれをアップしてもらいましょう! みんなに見てもらうべきです!」

「わ、わかったから落ち着きたまえアレン君。では甲斐君、予定通りアップを進めてください」

「わかりました」


 興奮しっぱなしのアレンを宥めて、高倉さんはアップの指示を出した。

 今日にもネット上で見れるようになるだろう。


「あと、窓口近くの電子掲示板でも放送しよう。あそこなら画面も大きくてたくさんの人の目に付くしね」

「豊とちみっこ達もどんどん有名になってくな」

「恥ずかしい・・」


 素材の買い取りで窓口に来るたびに、近くであれが流れるんだぞ。晒し者じゃねーか。


「恥ずかしがることなんてありませんよ! ユタカさんはかっこいいですし、みーちゃんとちーちゃんはとても可愛いですから」


 アレン、お前は少し自分の姿を恥ずかしがれ。

 俺はお前みたいに周囲の視線を気にせずに生きてはいけないんだ。


「アップ作業があるけど、とりあえずこれでPVに関しては終わりだね。みんなお疲れ様」

「こんな経験なかなかできないからな。楽しかったぜ」

「みーちゃんとちーちゃんに衣装を着てもらえて大満足です」


 各々感想を言いながら席を立つ。

 俺とちみっこ達も部屋を出るために立ち上がる。


「本城君、講師の件お願いしますね」

「わかりました。やれるだけやってみます」


 進路説明会当日は直接学校に行けばいいそうなので、この件に関して次にここに来るのは、説明会が終わった後の報告だけでいいだろう。

 俺たちは全員部屋を出て一階のエントランスに向かった。


「豊はこの後どうするんだ?」

「俺たちは買い物に行きます。ちょっと見たいものもあるんで」

「わかったじゃあここで解散だな」


 時刻は昼前。

 龍二さんは食堂で昼食をとるらしい。

 アレンと甲斐さんは帰るようなのでこれでお開きだ。


「みんなばいばいなの!」

「・・またね」

「お疲れ様でした」


 俺たちは三人に挨拶をして駐車場に向かう。

 とりあえずどっかで昼飯でも食べよう。


「二人はお昼ご飯は何食べたい?」

「おにく!」

「・・そうね。私もお肉がいいわ」


 肉食系ちみっこ達はお昼から攻める気満々だ。

 まあそれであれば御茶ノ水に向かおう。


「じゃあお昼は豚丼にしよう」


 御茶ノ水にはたまに食べに行く豚丼の店がある。

 二人はまだ豚丼を食べたことがないから、ちょうどいい機会だ。

 上野を出発して車を走らせること十五分ほどで目的の店に到着する。

 御茶ノ水駅のそばにあるその豚丼屋は店は狭いながらも俺の好みの味付けで、ちょくちょく食べに来るのだ。

 狭い階段を二階まで上がってくと店の入り口が現れる。


「ラッキーだ。今日は並ばずに入れる」

「すぐにたべれるの!」

「・・お腹がすいたわ。早く入りましょう」


 自動ドアをくぐると中には小さな券売機が設置されている。


『いらっしゃいませ!』


 数人の店員が一斉に挨拶をしてきた。

 今いるお客は四人だけで、俺達三人は問題なく座れそうだ。

 とりあえず券売機でチケットを買おう。


「二人は並盛りでいいかな? ここは並盛でも結構量があるからね」

「それでいいの」


 ちーちゃんもそれで良いそうなので、並盛を二枚と特盛を一枚購入する。

 さらにここは豚丼に出汁をかけて食べる豚茶漬けがある。

 追加で出汁のチケットを買えばいいので、それも三人分購入した。

 席は一番奥に三人分空いてるのでそこに座った。

 この席は目の前がガラス貼りになっており、キッチン側では豚肉を焼いている。

 チケットを店員に渡し、しばし三人で豚肉を焼く作業を見ることにした。


「・・いい匂いね」

「やいてるのをみてると、おなかがなるの」


 確かに炭火で焼かれている豚肉を見ていると、ひどく腹が減ってくる。

 それにこうして見てるとキャンプのバーベキューも思い出す。

 焼かれた豚はこの店の特製のタレにくぐらせて、丼へと盛り付けられる。

 そして俺達のもとへ・・ではなく、先に席に着いたお姉さんの方に出される。


「これはなまごろしなの」

「・・おあずけを喰らう犬の気持ちね」


 ・・大げさじゃね?

 そのお姉さんも含め席に着いてる人たちは全員食べているので、次は俺たちの分になるだろう。

 読み通り数分後には俺達三人の豚丼が目の前に置かれた。


「いたたきますなの!」

「・・いただきます」


 待ちきれなかった二人は早速食べ始めている。


「半分ぐらい食べたら、この出汁や薬味を入れてお茶漬けにするとまた美味しいぞ」


 二人にそう言って俺も丼を食べ始める。

 ちょっと厚めの豚肉に甘じょっぱいタレが絡んで、それをご飯と一緒にかき込む。

 ご飯の方にもタレがしみていて豚肉との一体感が生まれ、もはや口の中はお祭り騒ぎだ。

 三人とも黙々と食べ進めていく。


「さて、そろそろ・・」


 やはり俺が一番最初に半分ぐらい食べ終わったので、二人の前でお茶漬けを作ってみせる。

 ご飯と豚肉をダシでほぐして薬味類を乗っけてからまた一気にかき込む。

 ガツンとした味わいだった豚丼はタレが出汁に溶け込み、旨味を残したままあっさりな味になる。

 こうして最後まで飽きずに食べることができる。

 夢中でお茶漬けを食べる俺を見た二人は、これは美味しそうだと思ったのか急いで半分ぐらいまで食べ進めた。


「みーちゃんもおちゃづけにするの!」

「・・私もよ」


 焦らなくても二人の分の出汁もちゃんとあるから。

 お客さんも店員もそんな二人の姿を微笑ましく見ている。


「ごちそうさま」


 とても良い昼飯だった。

 この後は買い物だ。満足したのでとても昼寝をしたいが、さすがにぐうたらすぎる。

 PVや講師の件もまとまったので、明日は『ガーデン』に潜る予定だ。

 無心にお茶漬けを食べる二人を見ながら、この後の行動を考える俺だった。

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