表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/213

第六十七話 危険な情報

 外に出ると夕方になっていた。

 桜木亭に戻った俺たちはまず高倉さんに報告に向かう。

 いつもなら受付の女の子に高倉さんに連絡を取ってもらうが、龍二さんは関係なしにニ階の部屋に向かっていく。


「俺は連絡なんか取ってもらったことなんかないぞ?」

「龍二さんは絶対に会社勤めとか無理そうですね」


 この人は冒険者じゃなかったら何になってたんだろうか?

 酒屋とか魚屋とか似合いそうだが、商売できるほどの頭があるのかな?


「豊、何か失礼なこと考えてねえか?」

「わりと。」

「この後24時間営業の居酒屋に行って、明日まで語り明かそうか?」


 冗談じゃない。今日は疲れてるんだから、さっさと帰って飯食って寝るんだ。

 きっと晩酌のビールがとても美味しいはずだ。


「アレンでも連れて行ってください」

「私は駄目ですよ。この後動画の編集に付き合うので」

「アレンさんは魔法少女のアニメに詳しいですからね。みーちゃんとちーちゃんの映像の編集の方にアドバイスをもらいます」


 今日は珍しくアレンの存在が輝いている。

 恐らくこんな日は二度と来ないだろうが・・

 だらだら話してるうちに高倉さんの部屋の前に着いた。


「ギルマス居るかい?」


 龍二さんはノックもせずに高倉さんの部屋のドアを開けた。

 社会人としてどうなのだろう?


「龍さん、いつもノックしてくれと言ってるだろう」

「悪いな、つい忘れちまう」


 部屋の中では高倉さんがデスクワークをしていた。

 そして渋い顔をして龍二さんにそう文句を言った。

 しかし当の龍二さんはどこ吹く風である。


「撮影は終わったのかい?」

「ああ、撮影も豊のボスの討伐も終わったぞ」

「おめでとう本城君。これまでの事を考えるとまさに快進撃だね」


 確かにそうだ。十四年もの間五階を攻略できなかった人間が、ほんのニ、三ヶ月で十階を攻略しているのだ。

 みーちゃんやちーちゃんの力があるのはもちろん、アイテムボックスや家のダンジョンでレベルを上げられるのも大きい。


「とはいえここいらで一息つきますよ。いろいろやりたい事もありますし」

「やりたい事?」

「ええ、とりあえず各地のダンジョンを色々回ってみたいです」


 それに家のダンジョンの方も攻略を進めたいもんな。

 恵まれた環境になったのだし、いろいろとダンジョンを楽しんでみたい。


「そうなのか。私はてっきり最前線に追いついて攻略組になるのかと思ったのだが」

「さすがにレンたちに追いつくには、まだまだかかってしまいますからね。あいつには置き土産だけしていきますよ」


 俺はそう言って高倉さんのデスクに例のアイテム袋を置く。


「これは?」

「メイジ・ウィーズルを倒したらドロップしたアイテム袋です。多分疾風の靴と同じく、ソロでの限定報酬だと思います」


 俺がそう言うと、高倉さんの眼鏡の奥の瞳がクワッと見開かれた。

 デスクに置かれたアイテム袋を手にとりまじまじと見つめ始める。


「これはまたえらい物をドロップしたね」

「だろ? 情報の扱いに困るよな」


 さっき龍二さんが言っていたことだろう。

 とは言え、俺が何か悪いことしたわけでもないしな。

 判断は高倉さんに任せるしかない。


「先ほど置き土産と言ったが、本城君はこれを小林君にあげるつもりなのだね?」

「はい。レンとの約束もありますし、一番有効活用できる方法だと思います」


 高倉さんもこの情報の危険性についてはすぐに理解したのだろう。

 俺がこのアイテム袋を死蔵するのが一番穏便な方法かもしれないが、さすがにもったいなすぎる。


「であれば情報は開示するしかあるまい。もちろん厳重に注意喚起を行なった上でね」

「まあそうなるわな。自己責任で挑んでもらうしかないだろ」


 自慢をするわけではないが俺はレベルが高い。

 前にも言ったが十階までの魔物を倒してレベルを上げていては、俺と同じ戦法を取ろうとしても基礎能力の面で負けてしまうだろう。

 よほど優秀なスキルでもない限りはボスをソロで狩るのは無理だと思う。


「十階に到達するのであればもう新人とはいえないから、無茶な事をしないと信じたいね」


 チャレンジをするが無理だと思ったらすぐに引く。

 冒険者であればこれはできて当然のことだ。

 その境界線を見誤った者から死んでいく。

 アイテム袋がなくたってレンたちのように攻略し続けることは出来るんだ。

 命をかけてまで手に入れる必要などない。


「情報は明日にでも開示しよう。みんな今日はお疲れ様。ゆっくり休んでください」


 高倉さんの言葉に俺たちは各々部屋を出ようとする。


「あ、本城君。ちょっといいかな」

「何でしょう?」


 俺も部屋を出ようとしたところ、何か思い出したかのように高倉さんに呼び止められた。

 俺は引き返して高倉さんの前まで行く。

 みーちゃんとちーちゃんも付いてきた。


「ダンジョン巡りに行く前に、一つお願いしたいことがあるんだ」


 何だろう? またイベントでも開いてくれと言うのだろうか?


「実は高校に行ってきてほしいんだ」


 ・・ちゃんと高卒ですが?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 他のダンジョンでレベルを上げてからファーストにソロチャレンジはダメなん?
2023/12/25 15:52 通りすがり
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ