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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第六十二話 お披露目

 ボス部屋の前に到着すると、すでに撮影の準備が整っていた。

 龍二さん、アレン、リユニオンのメンバーが俺たちを出迎えてくれる。


「本当に四時間で着きやがったよ」

「冗談かと思ったんですが無茶苦茶ですね」


 龍二さんと甲斐さんがそんなことを言い合っている。

 俺自身もそう思ってるから否定はできない。

 とりあえずみーちゃんとちーちゃんを降ろして一休みする。


「豊、腹減ったなら何か食っててもいいぞ? 別に急ぎはしないんだ」


 確かに腹は減った。時刻はもう昼を回っている。

 休憩がてら昼飯にさせてもらおうか。


「みんなは食べたんですか?」

「腹減ったやつは外で食べてから来たから問題はない」


 そういうことであれば遠慮なく食べさせてもらおう。

 ここはセーフエリアではないが、これだけ冒険者がいるんだから飯を食ってても問題はないだろう。

 俺はアイテムボックスの中からテーブルと椅子を出し、ちみっ子二人を座らせた。

 先に二人の飲み物を出してやり、その間に俺は何を出そうか考える。


「今のアイテムボックスか・・」

「とんでも能力ですね」

「作った衣装をいっぱいしまっておけそうで便利です」


 アイテムボックスを初めて見たみんなは、その性能に驚きを隠せないようだ。

 とりあえず昼は何にするかな?


「・・私はシチューが食べたいわ」

「みーちゃんもそれでいいの」


 大鍋で作った、カレーもシチューもまだまだいっぱいある。

 飽きてるかなと思ったが、二人はどちらも大好きでしょっちゅう食べている。

 俺はリクエストに応えてシチューの寸胴鍋を出して地面に置いた。

 シチュー用の皿を出し、二人の分をよそってテーブルに置いてやる。

 一緒にサラダと焼きたてのフランスパンを切ったものを中央に置く。

 そして俺も自分の分をよそおうとした時に、龍二さんに声をかけられた。


「豊、出来ればでいいが俺の分も貰っていいか?」

「いっぱいあるからいいですよ」


 そうせがんで来たので、取り皿にシチューを入れてスプーンを付けて龍二さんに渡した。

 後は俺の分をよそって、冷める前に鍋をしまった。


「じゃあ食べようか」

「いただきますなの!」

「・・いただきます」


 二人が挨拶をしてシチューを食べ始める。

 俺もパンをちぎってシチューにつけながら食べていく。

 ちなみに俺はご飯にシチューをかけて食べるのも好きだ。周りからは信じられないという目で見られるが・・

 ただ、このあとボス戦が控えているので今は軽めに済ませつもりだ。


「・・まさに出来たてだな。熱々だ」


 龍二さんも食べ始めたのか、そう感想を言ってくる。

 おそらくアイテムボックスの性能を確かめたくて食べてみたのだろう。

 他のみんなは驚愕の目でそれを眺めている。

 そりゃリアルに四○元ポケットを持っている人間を見ればそうなるだろう。

 龍二さんがさっき言ったように、必要な人間は外で飯を食ってきたから驚いているだけで済むが、これがダンジョン内で食事をとる状況であれば、驚愕に加えて羨望でこちらを見ることになるだろう。


「しちゅーもかれーも、いつたべてもおいしいの」

「・・ゆーちゃんは本当に料理が上手ね」


 二人は喜んでシチューを食べ進める。

 こちらとしても好き嫌いなく食べてくれるので、とても作りがいがある。

 二人のためにも料理のレパートリーをもっと増やしてみよう。


「豊、お前のアイテムボックスは容量に限界はあるのか?」

「・・限界まで試したことはないですけど、おそらくないと思います」


 龍二さんの質問に、以前流れ込んできた情報を思い出して答えた。

 すると龍二さんは苦笑いをした。


「最近ダンジョン内で壁を殴ったりしてる奴が多いらしい。間違いなくこれの影響だろうな」


 つまりみんなスキルブックを必死に探してるのだろう。

 アイテムボックスに限らず、強力なスキルが手に入れば攻略も簡単になってくる。

 当然スキルによっては売れば莫大なお金も入ってくるだろう。

 おまけに俺がスキルブックを手に入れた場所は地下八階。そんなに深い場所じゃないことも拍車をかけていると思う。

 ワンチャン一階や二階で出る可能性もあると考えられるからだ。


「もしかすると、他のダンジョンの冒険者たちも一旦こっちに探しに来るかもしれませんね」

「多分もう来てますよ」


 そう答えたのは甲斐さんだった。


「この前動画のコメント欄に、スキルブック探しついでに俺たちに会いに行きますって書かれてたことがありました」


 甲斐さんはそう言ってメンバー達と笑った。

 ついでってひどい話だ。


「まあ上野が賑わうのなら、いい事なのかもしれないがな」

「そうですね。たくさんの人に私の衣装を見てもらえます」


 スキルブックという夢を見て集まった冒険者たちが、アレンという現実を見て帰らなければいいが・・


「何にせよ今のところいい流れができてる。このPVを完成させてさらに『ファースト』のアピールができれば大成功だろう」

「他のダンジョンから反感を買いませんかね?」

「魅力のあるダンジョンに集まるのは当然の事だろう? 人が離れるということは、そのダンジョンの魅力やギルドの営業努力が足らないだけだ」


 ダンジョンの魅力については冒険者それぞれの好みによるだろう。

 フィールドの違いだったり、出現モンスターの違いだったりと好みによってみんなバラけるので、どこか一つが突出して人が集まるということは普通ないはず。

 スキルブックを探しに来る人もいるらしいが、現実的に考えればそうそう出るものじゃないとみんな分かるはずだ。そもそもどのダンジョンでも出てもおかしくないものだ。

 それでも集まるのであれば、それはギルドが頑張って人を集めてるからという事になるのかもしれない。龍二さんの言った営業努力というものだろう。

 ・・急に企業っぽさが増してきた。

 世知辛いものだとげんなりしながら、俺は残りのシチューを食べていった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] アイテムボックスの仕様変更した方が良いと思います。 ダンジョンでしか出し入れ出来ないのに、色々入れるとこ目撃されてないのに料理とか出すと確実に怪しまれますよ。 ダンジョンの外では自分の…
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