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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第百六十七話 ダメな大人

「やはり女の子は甘いものが一番なのではないですかな?」

「確かに三人とも甘味は大好きだな」

「では朝食後に何か果物かお菓子を用意しましょう」


 枢機卿の提案はナイスだと思ったが、俺はそこで一瞬考えてしまう。

 そしてアイテムボックスから豆大福とリンゴを取り出した。


「枢機卿、失礼ですがこの二つを食べてみてもらえますか?」

「これは果物と・・餅ですか?」


 さすがにリンゴを丸ごとは大変なので、ナイフで食べやすい大きさに切る。


「白い方はお菓子です。ちみっ子達の好物ですね」

「何と、精霊様の好きなお菓子ですか!? いただきましょう」


 ちみっ子達の好物と聞いた爺さんは喜び勇んで豆大福を一口食べる。

 その瞬間、にこにこしていた眼がクワっと見開かれた。


「こ、これは何という美味しさか! こんな美味しい菓子は食べたことがない!」


 ああ、やはりか。

 この世界じゃ料理はともかく甘味に関しては日本にとても劣る。

 せっかく好意で出してもらってもそんなに喜ばないだろう。

 唯一喜ぶのは先日もらったドライフルーツだ。あれなら美味しい。

 しかし果物も地球の物は品種改良を重ねた末に今の美味しさになっている。なので・・


「この果物もとても甘いですな! 精霊様は良い物を召し上がっていらっしゃる」


 スーパーで売ってる一個百円くらいのリンゴです。

 ちなみにガルベラも物欲しそうな顔をしていたので、リンゴの残りと豆大福をあげておいた。

 ジャイアント〇田よりもデカいガルベラはそれぞれ一口で食べきる。片方食べるたびに目を輝かせていたのはちょっと面白かった。


「しかし困りましたな。これより甘くて美味しいものをお出しできません。別のものを考えなくては」

「あの皆様、朝食が・・」


 甘い物作戦も頓挫してみんなで頭を捻っていると、シスターさんに再び朝食のことを告げられた。

 みーちゃんのおこ宣言ですっかり忘れてた。


「マズイマズイ。ちみっ子達を待たせたら余計に怒られちまう」

「そうですな。急いで食堂に行きましょう」

「あ、俺は騎士団の方でメシを食うからまた後でな」

「ずりぃ! 一緒にメシにしようぜ」

「ガルベラ君の分も用意させますから、ご一緒しましょう」

「巻き込む気満々かよ! あんなちっちゃい子達に怒られるなんて勘弁だぜ」


 他の連中はともかく団長なのだから、一緒に責任を取って怒られてもらおう。

 一人だけ逃げるなんてユルスモノカ。

 とりあえずこれ以上遅くならないよう小走りで食堂に向かった。

 食堂入口に待機していたシスターさんが何故か憐れむような目で俺達を見ながらドアを開けてくれる。

 慌てて中に入ろうとする俺達だが、一歩踏み出したところで足を止めた。


「おはようなのゆーちゃん」

「・・昨晩はずいぶんお楽しみだったようね」

「とりあえず三人とも正座しようか?」


 ドアの向こうで待ち構えていたちみっ子達に行く手を遮られてしまった。

 ちなみに三人とも並べた椅子の上に立って腕を組んでいるが、それでもまだこちらで一番小柄な枢機卿よりも低い。

 ちみっ子達は怒っているようだが、どうにも微笑ましく感じてしまう。だがそれがマズかった。


「・・三人とも何をニヤニヤしてるのかしら? 早く正座しなさい」

「まだよっぱらってるなら、あたまからみずをかけるの」


 ばしゃっ!


『冷たっ!』


 怒ったみーちゃんが俺達の頭に魔法で冷水をかけてきた。

 さすがに場所に配慮はしたのかコップ一杯分くらいであったが、それでも頭と顔は十分濡れた。

 とりあえず大人しく正座をする三人。


「あの、朝食を食べないとこちらの人達に迷惑が・・」

「ゆーちゃん達の分はないよ?」

『え?』


 ふーちゃんが発した無慈悲な言葉に、俺達は目を丸くした。

 きっと気のせいだ。ふーちゃんはそんな事を言う子じゃない。


「・・きっとゆーちゃん達は二日酔いで朝食を食べられないから、出さなくていいって言っといたわ」

「いや、薬を飲んだからだいじょ――」

「ふつかよいなの! ごはんはたべれないの!」


 どうやら俺達は朝飯抜きなようです。

 それからしばらく、ちみっ子達に説教される大人達の情けない絵が続いたのだった。




「じゃあさっさと精霊結晶を回収しに行こう」

「そうだな。お前らをさっさと帰らせて俺は飯を食う」

「くそっ、俺はちみっ子達の目があるからマジで飯抜きなのに」


 もはや大事な目的がおざなり気味になっているが、朝飯抜きでは仕方のないことだろう。

 一日の活力となる朝食は大切なのだ。

 ガルベラは王墓から帰ったらガッツリ食べるのだろう。いいなぁ。


「朝から大変ですね」

「まあ自業自得ではありますが・・」


 ライオード王子が気の毒そうに俺に声をかけてくれた。

 朝食の席には王子もいたので、あの情けない姿は見られている。


「私を仲間外れにして宴会などするからだ」

「別に宴会をするつもりじゃなかったんだよ。勝手に人が増えただけだ」


 近衛隊長のカールトンは飲みに誘ってもらえなかった事に対してガルベラに文句を言っているが、参加してたら四人目の情けないおっさんが増えただけだぞ?


「確かに朝食のときのあの状況は勘弁だが、私もユタカ殿の持っていた酒は飲んでみたかった」

「国王にも数本渡したから、分けてもらったらどうだ?」

「なるほど。しかし代わりに何を要求されるか・・」


 ヨウの事だから城を抜け出すのに協力しろとか言いそうだな。

 そのあたりは頑張って交渉してくれ。


「みんなこりてないの」

「・・男ってこれだから」

「でもこういうのを許すのもいい奥さんじゃない?」

「・・そうね。付き合いってのもあるものね」

「みーちゃんはこころのひろいおくさまなの」


 奥様云々につっこみたいが、お許しが出そうなのでやめておこう。

 それと飲んで遅くなるときには、ちゃんとちみっ子達に言うように心に誓った。

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