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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第百五十九話 ふるさとは遠きにありて思ふもの

「知ってるのか!?」


 確かギルド会長の如月さんの下の名前は慎一だったよな?

 とりあえず思い出せるだけの特徴を伝えてみる。

 でも宮本さんやヤスの印象が強くて、如月さんは影に隠れがちなんだよな・・


「間違いない、キサは生きてたんだな・・」

「今じゃ『水神社』の冒険者達の会長をやってるよ。まああそこのダンジョンのメインは探索じゃなくて漁だけどな」


 俺が言うのもなんだが、如月さんはギルド会長をやるならもう少しダンジョンを攻略したほうがいいとは思う。

 でないと探索組の相談に乗ったりアドバイスをするのが難しいだろう。

 今回の件で今後も探索をする人達が増えると思う。特殊なダンジョンだからこそ、彼には求められるものも多いはずだ。


「あいつが会長とはな。高校時代にキサとヤスの三人でバカをやってた頃からは想像できないな」


 ・・ヤス?


「なあ、今言ったヤスってのは・・」

「ん? ああ、さっき言った阿部安雄の事だ。ヤスって呼んで・・もしかしてヤスも生きてるのか?」


 ヤス、そうヤスだ。

 えっと・・あいつの名前知らねぇ!

 あいつの特徴は頭に手ぬぐいを巻いてて、ガッツリ日に焼けてて・・漁師はだいたい同じじゃん!


「特徴・・特徴・・あ!」


 あいつの最大の特徴を思い出した!

 むしろそれしか無い。


「バカだ!」

「間違いない、ヤスだ!」


 よかった。ヨウも共通の認識らしい。

 ヤスを表すのにこれ以上の言葉は無いだろう。


「三人とも家業が漁師で、高校を出たらそのまま船に乗るのが決まってたからな。自然と仲良くなって色々ヤンチャをしてきたんだ。そのたびに親が学校に呼ばれて、三人とも親父にしこたま殴られたもんだよ」


 さすが漁師をやってる親父は強い。鉄拳制裁がデフォなんだな。

 うちの親父がそんなタイプじゃなくてよかった。


「そうか、二人共無事だったんだな・・もう会うことは出来ないが、元気にしてるのが分かっただけでもいいか」

「・・地球に連れて行ってくれとは言わないんだな?」


 そこまでの親友が生きていたのを知ったんだ。当然会いたいと言うと思っていた。

 しかしヨウは懐かしむだけだ。一言も地球に行きたいとは言わない。


「言わねぇよ。吉村真は死んだんだ。転生して見た目も全く違う。仮にあいつらに会いに行けたとしても困惑させるだけだ」


 確かに、全く知らない人が自分の死んだはずの友人を名乗られてもホラーでしかない。

 会いたくないはずはないだろうが、ヨウはそのあたりの線引をしっかりしているのだろう。


「それに今の俺はこの国の王だ。それを投げ捨てて地球に行くことなど出来んよ」

「漢だな。ヨウの決意は尊敬に値するよ」


 転生前の記憶があるからこそこの国の発展に役立っているのだろうが、逆にその記憶があるからこそ郷愁の念に駆られたはずだ。

 それでもヨウは地球に行けるチャンスが来ても振り切った。友に会う事も故郷に帰ることも良しとしなかった。

 この国の王として、この世界の人間として生きていく事を決断したんだ。

 もし俺がヨウの立場になったとして、同じ決断が出来るかと聞かれたら怪しいだろう。

 今が幸せな人間ほどこの選択は出来なくなる。

 戻りたい、帰りたいと願ってしまう。

 だからこそヨウの決意は尊く、漢らしいのだ。


「そう言ってくれるのは嬉しいが、困ってることもあるんだ」

「困ってること?」

「ああ、食べ物だ。どうにかして日本の味を再現したいが、漁師だった俺には大した知識はないからな。調味料の作り方はもちろん料理もできない。魚を捌くならお手の物だが、内陸のこの国じゃ無駄なスキルだ」


 確かに調味料の作り方なんて普通知らないだろう。

 それこそチートなスキルでも持ってないと・・


「そういえば転生の時に神様からチートな能力をもらったりしなかったのか?」


 お決まりのアレだ。

 何かしらいい物をもらえたのではないだろうか?


「アニメの見すぎだぜユタカ。神様自体はいるかもしれないが、会ってもないし何ももらってない。死んでから次に目覚めたのはこっちで生まれた時だ」

「そうそう美味い話はないのか」


 まあ前世の記憶を持っているだけでもチートではあるか。

 この国でいろいろとやってるみたいだし。


「とりあえず手持ちの調味料でよければ渡すことは出来るぞ。作り方に関しては一度地球に戻ってから、本でも買ってそのうち持ってくるよ」

「おお! ありがとうございますユタカ様!」


 どれだけ嬉しかったのか、いきなり土下座をしてお礼を言うヨウ。

 そこには王の威厳など全くない。


「王様が土下座なんかするんじゃないよ」

「威厳で腹は膨れねぇんだよ! ギブミージャパニーズフード! それと稲やソバの種なんかもお願いします!」


 下手に出てるのか調子に乗ってるのか分からんな・・

 まあ元が宮城出身なのだから米やソバが恋しいのもわかるが。


「まあ何にせよそのあたりは次回だな。今はこいつらだ」


 俺は会談に使っていた長テーブルに、アイテムボックスにあるだけ全ての調味料を出した。

 醤油・味噌・みりん・お酢。個人で持っている分なので大した量ではないが、少しの間は楽しめるだろう。

 それと香辛料は必要ないと判断したので出さなかった。街にも充分に出回っているようだったし。

 代わりにカップ麺を箱で各種出した。お湯さえあれば私室で隠れて食べられるだろう。


「おおぅ、神器がこんなにも・・うどんはそれっぽいものが作れたが、ラーメンやソバはどうしようもなかった。これさえあれば俺はまだやっていける・・」

「しばらくは持つだろうが、考えなしに食べ続けるとすぐに無くなるぞ」

「大丈夫だ。週に一個ずつにしておく。ここで出てくる飯も美味いしな」


 王族飯だもの、そりゃ美味いだろうよ。

 それでも日本の味はまた別物なのだろう。

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