第百三十話 唐揚げ三昧
「お昼はなににするの?」
さっき散々ドライフルーツを食べたのに、昼食が楽しみなふーちゃん。
まああとの二人もしっかりと昼食の気分になってるようだが。
「そうだな。おにぎりと唐揚げでぱーてーしようか」
「ぱーりーぴーぽーなの!」
「・・外で食べるのにはいい組み合わせね」
村の広場の芝生では、読書している人や昼寝をしてる人など数人の村人たちがくつろいでいる。
俺は芝生の上にレジャーシートを広げ、みんなで靴を脱いでシートに上がった。
そこにまず取り出すのはおにぎりだ。一個ずつラップに包んだもので、今回は塩むすびだけ出した。
ちみっ子達には二つずつ、俺は四個だ。足りなければまた追加で出せばいい。
そしてメインの唐揚げ。
「これとこれとこれと・・」
俺は次々にアイテムボックスから大きなタッパーを取り出す。
合計六個のタッパーがレジャーシートの上に並んだ。
「では開封〜」
最初に蓋を開けたタッパーには生姜醤油で味付けした唐揚げが入っていた。
もちろん揚げたてアツアツ。
「ごくりなの・・」
「揚げたてを食べれるなんて贅沢だよね」
次のタッパーには塩唐揚げ。更にはニンニク味。
残りの三つは揚げたあとに甘辛いタレを絡ませたもの、油淋鶏風の甘酢味、更に甘酢タレに漬けてからタルタルソースをかけたチキン南蛮風だ。
「・・唐揚げオールスターと言った感じね」
タッパーにギチギチに詰められたそれらは、もちろん今回だけで食べきるつもりはない。
残りはアイテムボックスにしまってまた今度食べる。唐揚げはみんな大好きだしね。
ちみっ子達に取り皿とフォークを渡していただきますをした。
「おにぎりとからあげはゆうしょうなの!」
右手にフォークに刺した生姜醤油の唐揚げ、左手におにぎりを持って頭上に掲げるみーちゃん。
気持ちはわかるが、道行く人達の視線が痛いからやめなさい。
「・・塩味もシンプルで美味しいわね。飽きの来ない味だわ」
ちーちゃんは塩味が気に入ったようだ。確かに塩と醤油の唐揚げは昔からのスタンダードだもんな。
「僕はこのタルタルソースのがいい! いろんな味がして美味しい!」
ふーちゃんはチキン南蛮風か。甘くて酸っぱくて卵の味がしてまろやかでと、それらが喧嘩せずに一つにまとまっている素晴らしい調理法だと思う。
そして俺はタレ味が好みかな。ガツンと男向けで飯が進む味付けだ。
もちろん油淋鶏やにんにく味も美味い。ローテーションでおにぎりと交互に色んな味を楽しむ。
「ゆーちゃん、おにぎりもうひとつほしいの」
「・・私もお願い」
「僕も僕も!」
唐揚げの魔力か、ちみっ子達も食欲旺盛でもりもり食べ続けている。
アイテムボックスから追加のおにぎり五個を取り出し(俺の分が二個)ちみっ子達に渡した。
先程のみーちゃんではないが、ハイキングかピクニックでもしている気分だ。
青空の下で食べる弁当。最高のシチュエーションの一つだろう。
そう言えば飲み物を出していなかったので2リットルのペットボトルのお茶と紙コップを取り出し、みんなに注いであげる。
「あんまり食べすぎるなよ。後がつらくなるから」
この後はヨセ山に向かって移動するのだ。おまけに森を抜けるまでは車も使えない。
満腹の状態では道中の魔物との戦いで大変な思いをするかもしれん。
「だいじょうぶなの! ちゃんとよるごはんもたべれるの!」
そーゆー事じゃねぇよ。
成長期(?)のちみっ子達の胃袋は逞しく出来てるようだ。
「さて、そろそろ出発するか」
今はお昼も食べ終えて、みんなでレジャーシートに横になっている状態。
天気の良い昼下がり。お昼寝案件だが、そろそろ出発しないとマズイと思う。
「誰かが僕を押さえつけてるみたいで起きれないなぁ・・」
「・・ぽかぽかのお日様の誘惑が強いわ」
「このままおひるねなの」
・・そりゃちみっ子だもの。満腹になれば眠くなるよね。
しかしここに一泊するつもりもない。出来れば森を抜けてからキャンピングカーで一泊したい。
ここは心を鬼にしてちみっ子達を叩き起こそう。
「食後のアイスでも食べながら歩くとしよう」
「すぐにいくの」
「・・急ぎましょう」
「アイスアイス〜♫」
よし、鬼になった甲斐があった。
ただの甘やかしだなんて言うやつは誰だ? 本来ならちみっ子達にお昼寝は必要なこと。そこをアイスで釣るという鬼畜の所業なのd
「みーちゃんいちごがいいの」
「・・私はパイナップル」
「僕はソーダがいい」
アイテムボックスから出したのは袋に十本入りになっているチュー◯ット。
それを見てちみっ子達が好きな味をリクエストしてくる。
それぞれに一本ずつ渡して、俺はメロン味を出した。
「せーの!」
パキッ
俺の掛け声でみんなでアイスを二つに割って、歩きながら食べ始めた。
口の中に残ってた唐揚げの油っぽさが中和されていく。
ちみっ子達を釣るためだったけど、暖かい日のアイスはやめられないな。




