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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第百二十八話 会いに行けるアイドル

 ・・あれから一時間。

 アンダーソンの口から滾々(こんこん)と精霊の素晴らしさと精霊をたたえるデスメタを聞かされて、俺のライフはもうゼロよ・・

 その間ちみっ子達はギルマスの代わりに来た女性職員と楽しくお話をしていました。

 あの職員さん、この男の歌声迷惑だから追い出してくれないですかね? ちみっ子達にメロメロになってないでさ・・


「お力になれずに申し訳ない」


 結局、アンダーソンは情報を持っていなかった。時間と精神力を無駄にしただけだった・・

 こいつは吟遊詩人として旅をしてるくせに、役に立たないどころかもはや害でしかない。

 とりあえず裏切り者のちみっ子達をとっ捕まえて俺達はギルドを出た。

 解体が終わるまであと一時間くらいあるので、村の中を散歩する事にした。



「君ら今日の夕飯は味付けなしの食パンな」

「ゆーちゃん、ごめんねなの!」

「・・ちょっとゆーちゃん、心が狭いわよ」

「大人は子供を守らないと!」


 助けるどころかあいつに売り飛ばしたくせに、酷いのはどっちだい?

 私の心はとても傷つきました・・


「ゆーちゃん、あたまをなでなでしてあげるの」

「・・今日は一緒に寝てあげてもいいわよ」

「洗濯物も分けないでいっしょに洗ってもいいよ」


 みーちゃんありがとう。ちーちゃん、それはむしろ君がそうしたいだけだよね。そしてふーちゃん、マジで傷つくからそういうことを言わないで! そもそも君たちの服を洗濯したことなんてないだろ。

 みーちゃん以外謝る気があるのか疑問だがまあいいか。

 俺だって本気で怒ってるわけではない。ってかこの子達に本気で怒るなんて出来ないさ!

 親バカ上等だ。ウチのかわいい娘達を泣かせたりするものか!


「しかしやはりちみっ子(精霊)達を連れていると、村人の視線が集まるな」

「にんきものなの!」


 まぁ人気者であることは間違いないな。

 エルフからすれば推しのアイドルのような存在だろうか?

 これならこっちを見てる人たちに積極的に聞き込みをしてもよさそうだな。


「じゃあどんどん聞いて回りますか」

「僕たちは客寄せパンダだね!」


 自分でそれを言うのか・・

 そうして俺達は一時間ほど聞き込みを続けるのだった。



「うむ、収穫なし」

「・・ただの握手会だったわね」


 最初に声をかけた井戸端会議をしてたおばちゃんエルフたちの顔が広かったのか、あれよあれよと周りの人たちを集めて精霊結晶の事を聞いてくれたが情報は無し。

 しかしその集まった人たちがちみっ子達に握手を求め、さらにその人たちの列に関係ないエルフたちも並んで握手会が始まってしまったのだ。

 一応列に並んだ人たちにも聞いてはみたが、有力な情報はなかった。


「ただの村人じゃ精霊結晶を見る事なんてまず無いよな。やはり旅人や冒険者の方が知ってる可能性は高そうだ」

「そろそろぎるどにもどるの」

「・・そうね、解体も終わってる頃じゃないかしら」

「アイツも帰ってればいいが・・」


 もうあのエセ吟遊詩人には会いたくない。

 大きい街にでも行ってデスメタでシャウトして警備隊に捕まらないかな。

 アンダーソンの出身の村よ、あんなの外に出しちゃだめだよ。

 俺達はUターンしてギルドへと引き返した。



 冒険者ギルドに忍び寄る影。音も立てずにすっと窓に近づく。

 気配を悟られぬように建物の中を覗き見る。


『ぶらぼーよりあるふぁへ。もくひょうかくにんできませんなの』

『・・対象はすでにギルドを後にした模様』

『ギルマスがカウンターに戻ってるから解体も終わってるみたいだよ』

『了解。各員は速やかに本部へ帰投せよ』


 ふよふよ浮きながらギルドの中を覗く三人。

 そこから十メートルほど離れてしゃがんでいる俺。

 小声でひそひそやり取りをする姿を道行く人たちに見られているが、気にしたら負けだ。

 俺からの指令に従って三人が足音を立てないよう浮かんだままこちらに戻ってきた。


「みっしょんこんぷりーとなの」

「うむ、よくやったみーちゃん三等兵よ」

「・・随分階級が低いわね」

「僕、大佐で総帥がいい!」


 ふーちゃんは地球にアク〇ズでも落とすつもりかな?

 とりあえずギルド内の脅威は去ったようなので、さっそくあがりを回収しに行こう。

 代金を受け取って情報収集をしたら、いよいよ行動することが出来る。

 俺達は再びギルドの扉をくぐった。


「おう兄ちゃん、解体終わってるぜ」


 建物に入ってきた俺達を見てギルマスが声をかけてきた。

 俺達はそのままギルマスのいるカウンターに向かう。


「じゃあこれが買い取り代金で――」

「いや、まずこれを渡してからだろ」


 いきなり代金を渡そうとするギルマスに割符を差し出した。

 それを見たギルマスがしまったといった顔をする。


「すまんすまん、使い慣れてなくてすっかり忘れてたわ。慣れないことはするもんじゃないな」

「マジで意味のない札だったな・・」


 普段ここがどれだけ暇なのかがわかるやり取りになった。

 平和な村だね。

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