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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第百二十七話 吟遊詩人アンダーソン

「今回は全部買い取りで頼む」

「わかった。じゃあだいたい二時間くらいで終わると思うから、適当に時間を潰しててくれ」


 そう言ってギルマスが木製の割符のようなものを渡してきた。


「うちなんかじゃあんまり使わないが、解体後にこれを渡してくれれば引き換えに買取金を渡す。大きなギルドだとひっきりなしに解体・買い取りをする場合があるから、こんなのが必要なんだ」

「なるほどな。でも今こんなのいるか?」

「たまには使ってみたいし、このあとカウンターは別の職員に任せることにもなるしな」


 そう聞いて割符を見てみると確かに全然使われてないようで、ヤスリをかけた後のようにすべすべで手垢で汚れた跡もなく真っ白だ。

 ただしちょっとホコリが積もっていたいようで指が汚れたが・・

 ギルマスが奥に引っ込んでいくのを見届けてから、俺達はどう時間を潰すかを考える。


「あの、ちょっとよろしいでしょうか」


 四人で角を突き合わせて相談していると、突如声をかけられた。

 そこには例の吟遊詩人が。


「どうかしましたか?」

「お話し中にすいません。そちらの三人は精霊様ですよね?」


 透き通るような声とキラキラした顔でそう尋ねてきた。

 さっきのギルマスとの話を聞かれたか? それとも・・


「あなたもエルフですか?」

「はい、アンダーソンと申します。この村の出身ではないですが、吟遊詩人として旅をしながらエルフの村を廻っています」


 やはり吟遊詩人だったか。

 確かにエルフには竪琴なんかを持って、森の動物達に歌を聞かせてるイメージが有るな。

 この人もいい声をしてるし、天職なのかもしれないな。


「この村に到着した時に門番の方から以前貴方がたが来た時の話を聞きましてね、私も一目お会いしたいと思っていたんです」

「だとすると素晴らしいタイミングでこの村に来たもんだな」


 他の村であってもちみっ子達のように目に見える精霊はそうそういないのだな。

 この子達はだいぶ特別なようだ。


「・・ゆーちゃん、自分でこんな事言うのも何だけど、私達これでもエリートなのよ」

「魔力が高くて次期大精霊様の候補でもあるんだから」

「みーちゃんはすごいの!」


 はい爆弾発言をいただきました。

 エリートはともかく次期大精霊様候補だって!?

 特にみーちゃんが!?


「なんかすごいぶじょくをされたきがするの」


 ・・気のせいだとは言わないよ。ちーちゃんとふーちゃんならともかくさ。

 そしてちみっ子達の話を聞いていたアンダーソンもこれには驚きを隠せないようで・・


「大精霊様候補!? えっと、あの、ビンタして下さい」

「何でだよ!」


 パニックになって持っていたギターのようなものをジャカジャカ鳴らしながら、イカれたことを言ってきた。


「びんたはしないけどあくしゅならいいの」

「おお、ありがとうございます! もう一生手を洗いません!」


 あれ、こいつなんかヤバイ奴臭がする。

 具体的にはアレンのような、いい奴なんだがヤバイ奴的な。


「この感動を(うた)にしましょう! タイトルは『ああ精霊様』です。聞いて下さい」


 さらに暴走したアンダーソンは楽器をかき鳴らしながら即興で歌い始めた。

 音もギターのような音色なので、なんだかロックのようなイントロだ。


「私は本日出会いました

 かわいいかわいい精霊様に

 道行くお前らは精霊様に土下座しろ

 このかわいさが目に入らぬか

 私は精霊様の豚になりたい

 世界は今日も精霊びより

 お前も豚にしてやろうか!」


 色々アウトだよ。

 シャウト系の吟遊詩人なうえに内容はデスメタか?

 竪琴で森の動物達に聞かせる? こんなの人相手にだって聞かせられないぞ。

 またエルフにいらぬ期待をしてしまった・・俺のバカッ!

 ちなみにちみっ子達はさっぱり意味が分からないのか、目が点になっている。


「ハアッ、ハアッ・・どうでしたか私の魂の叫びは?」

「天に召した方がいいよ、おたくの魂」

「確かに昇天しそうなほどのエクスタシーを感じました!」


 だめだコイツ。

 これに比べればアレンの方が100倍マシだ。この人を見たらお母さんに『そっちを見ちゃダメ!』って怒られるやつだ。

 てか、吟遊詩人を名乗るな!


「いやぁ、今日は人生最良の日だ。精霊様に会えて、すばらしい曲まで出来たのだから」

「その曲、他の人には聞かせるなよ」

「そうですね。今日という日の記念に、我が家だけで代々受け継ぐことにしましょう」


 こいつの頭の中はどうなっているんだろう?

 黄色い救急車でも来てくれないかな・・


「じゃあ俺達はこれで・・」

「・・ゆーちゃん、気持ちはわかるけど情報収集しなさい」


 そそくさと撤収しようかと思ったが、俺の気持ちをわかってて止めてくるちーちゃん。

 もうほんと関わりあいたくないんだけど・・

 あ、ちょっと、三人がかりでアイツの方に押さないで! そしてカウンターの中に逃げないで!

 こいつの相手するのはドラゴンを相手にするより嫌だぁぁ!

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