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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第百六話 ボトルフリップ

 いよいよ今日『水神社』に向けて出発となる。

 

 着替えや日用品はカバンに入れたし、食事は向こうのダンジョンに行った時に出せばいい。

 宿での食事もダンジョン帰りに出して持っていくか、外食でもかまわない。

 後はいつもの装備品くらいでいいだろう。


「みーちゃんたちのいしょうももったの?」

「ああ、一応入れておいたよ」


 使うかどうかはわからないが、三人の魔法少女の衣装も持っていくことにした。

 いざちみっこ達が着たいと言い出した時に無いと拗ねられそうだし‥

 ちなみにちみっこ達の普段着の着替えも持っている。

 ただ三人とも浄化魔法が使えるので洗濯の必要はないし、最初から着ている精霊用(?)の服を気に入っているのであまり着替えることはない。

 むしろ着替えたがるあの魔法少女の衣装が不思議なのだ。


「じゃあ車に乗り込めー」


 ガスの元栓や戸締りを確認してちみっこ達を乗車させた。

 ふーちゃんの席はちーちゃんの時に設置した二列目が横長なので問題なく座れる。

 子供なら三人は余裕だろう。


「じゃあみーちゃんが()()()()()()にすわるの」

「・・待ちなさい。いつもみーちゃんがそっちなのだから、今日は私よ」

「僕もゆーちゃんの隣がいい!」


 いざ出発と思ったら、ちみっこ達の席決め戦争が始まってしまった。

 交代で座ればいいだろうに・・


「ジャンケンでもして早いとこ決めてくれよ」

「いつもじゃんけんであきたの」

「・・そうね。たまには別の方法で決めたいわ」


 ・・殴り合いでもしますか?

 さすがにそんな提案は出来ないのでコイントスか何か・・

 そんな時、ふと昨日見た動画を思い出した。


「ちょっと待っててな」


 俺はそう言うと、キッチンに向かい空っぽのペットボトルを手にした。

 中に少し水を入れてフタを締める。


「おまたせ。ボトルフリップ対決で決めよう」

「ゆーちゃん、ボトルフリップって何?」


 ふーちゃんが俺の手からペットボトルを受け取ってそう聞いてきた。

 ちみっこの手にはペットボトルは大きいが、投げることくらいはできるだろう。


「クルっと投げて、地面に立たせるゲームだよ」

「んーお、こんな感じ?」


 ふーちゃんがペットボトルをポイっと投げる。

 どう見てもただ投げただけで回転してないが・・ありえない動きでボトルが回転してそっと地面に立った。


「・・いやふーちゃん、魔法は無しね」

「そうなの? 僕の得意なゲームだと思ったのに」


 さすがにズルすぎだろ・・

 一度ふーちゃんからペットボトルをもらい、デモンストレーションをしてみせる事にした。

 初めてやってみたが、何とか五回目には成功できた。


「こんな感じで先に立たせた人が勝ちね」

「おもしろそうなの! みーちゃんがいちばんにやるの」


 やる気を見せたみーちゃんがペットボトルを持ちクルっと投げてみたが、立つどころか側面から落ちた。


「むずかしいの」

「上手な人は簡単に成功させるんだけどね」


 地面に転がっているペットボトルを、今度はちーちゃんが拾って投げる態勢に入る。


「・・あまり前じゃなくて、手前側に落とす感じかしら」


 そうつぶやきながらちーちゃんが投げた。

 あまり勢いのないペットボトルは、すぐに水の入っている底面を下に向けて落下して来る。

 が、地面にぶつかった衝撃で傾いて倒れてしまった。


「惜しかったね」

「・・難しいわ」


 次はふーちゃんの番か。

 ふーちゃんはわざわざ拾いに行かずに、風魔法でペットボトルを手元に運んだ。

 便利だなぁ・・


「二人が投げたのを参考に勢いはなく、ちょうど一回転するだけの力で・・」


 意外と頭脳派な事をつぶやくふーちゃん。

 その一投は思い描いた一回転ではなく、斜めに落ちて倒れてしまった。


「難しいよー!」


 みんな揃って難しいというが、まだ一回目だ。

 特にちーちゃんとふーちゃんは2、3回で決められそうに思う。


「えいっ!」

「・・それっ!」

「成功してー!」


 ・・そして始まった泥仕合。すでに九巡目だ。

 やっぱりジャンケンにさせればよかった。

 これではもはやボトルフリップで遊んでるだけの休日だ・・


「そろそろ成功させてくれよぉ」

「しんけんしょうぶなの! ゆーちゃんはだまってるの!」


 みーちゃんが、いやちーちゃんとふーちゃんも目がマジだ。ギラついていて、ちみっこがしていい目ではない・・

 そして失敗するたびにそれぞれ無念の言葉を叫ぶ。

 なんだろう、三人が競馬場やパチンコ屋にいそうな人たちに見える・・

 そして何巡目だろうか? いよいよ決着の時が来た。


「必殺、マジカル火炎瓶!」


 ふーちゃんが物騒な技名を口にして投げたボトルはその技名とは違い、割れることなくピタッと地面に立った。

 それを見たみーちゃんとちーちゃんはリアルにorzとなる。


「僕の響子が最強だー!」


 いつから深紅の響子の勝負になってたの?

 勝負の行方を見るのに飽きていた俺は後部座席のドアを開け、いまだに崩れ落ちているみーちゃんとちーちゃんを放り込んだ。

 助手席のドアを開けると、宙に浮かんだふーちゃんが勝者の貫録を纏わせながら乗り込んできた。

 これが勝者と敗者の図だ。てか、さっさと出発したかったので、みーちゃんとちーちゃんの扱いがぞんざいになっただけでもある。


「では出発しまーす」

「レッツゴー!」


 ふーちゃんの号令により、車は北へ向けて発進した。

 負け犬二人はしばらくの間、後部座席でオレンジジュースを飲みながらやさぐれるのであった。

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