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我が家の地下にレアダンジョンができたんですが・・  作者: エクスボーン


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第百四話 『水神社』

 残りの高校での講師の仕事は滞りなく終わった。

 3件目の学校で頭の悪そうなヤンキーが講義中に絡んできたが、未開封の缶ジュースを片手で潰して見せたら、顔を青くして講堂から出て行った。

 トラブルらしいものはそのくらいだ。

 これでいよいよ他県のダンジョンに遊びに行ける。


「ゆーちゃん、どこのだんじょんにいくの?」


 朝食後にソファーでまったりしているとみーちゃんにそう聞かれた。

 本来ならとっくに決めていて当然だなのだが、実は迷っている。


「最初は大分にある民間所有のダンジョンに行こうかと思ったんだけどね・・」

「・・何か問題でもあったの?」

「僕は風が気持ちいいダンジョンに行きたい!」


 ふーちゃん、さらっと自分の要望を入れないで・・

 大分と島根のダンジョンは個人所有のダンジョンだ。うちにもダンジョンが出来たこともあり、一度見に行ってみたかったのだが・・


「問題というよりも他に気になるダンジョンが出てきたんだ」


 そう言って俺はソファーの端に置いといた新聞を取って、みんなに見えるようにテーブルに広げた。

 そこにはうちの『ガーデン』を除けば日本で一番最近に見つかったダンジョンの記事が載っていた。

 そのダンジョンが見つかったのは2011年の4月。場所は宮城県石巻市。

 そう、東日本大震災の直後の事だ。

 地震・津波・原発事故と畳みかけるように起きた大災害。

 当然、津波の影響で東北各県の漁港は壊滅的な被害を受けた。

 途方に暮れる人々だったが、そんな折に石巻漁港の東側にダンジョンが忽然と現れた。

 いろいろと規格外なダンジョンだったが調査の結果、第一層には広大な海と巨大な港、そして数多くの漁船が停泊していた。

 そして何より、このフロアにはモンスターが全く現れなかった。

 国はこの事を県に、そして漁師たちに伝え、東北各県から集まった漁師たちに特例で冒険者資格なしでの一層での漁を許可した。

 水揚げされた魚は輸送が困難ながらも、何とか各避難所に配られ多くの人々は新鮮な魚を食べることができた。

 復興中もこのダンジョンでの漁は続けられて、売り上げは震災被害の復興資金として使われてきた。

 現在では新たに建てられた巨大な魚市場や復旧した港と共にこのダンジョンでの水揚げも加わり、日本屈指の漁港となっている。

 もちろん今ではダンジョンに入るには冒険者資格が必要だが、長らく復興のために手助けしてくれたこのダンジョンに漁師たちは『水神社(すいじんしゃ)』と名付け、今ではそれが正式な名前として定着した。


「この記事なんだが・・」


 俺が広げた新聞にはその『水神社』の第一層で撮られた写真が載ってた。

 見出しはこうだ。


『巨大なクラゲの魔物が現れる』


 そう書かれた記事の写真は、まんま巨大なクラゲが海の真ん中に鎮座している画だった。

 漁船よりも大きく、頭の高さだけでも推定20mはあるとのことだ。

 しかしこのクラゲは漁船に向かっては来るものの特に攻撃をしてこないそうで、船を港に押し返そうとしてくるらしい。

 そのため現在ダンジョンでの漁が出来なくなっているそうだ。


「あ、くらーげんなの!」

「クラーケン? こいつはイカじゃないぞ?」

「・・クラ―ゲン(・・・・・)よ。見ての通りクラゲの魔物で、とても強いのよ」

「この子は海にいるから倒すのも大変なんだよ」


 ギャグみたいな名前の魔物だが、厄介な事には変わりないだろう。

 クラゲであるなら触手には毒がある可能性が高い。なんならデカいイカなだけのクラーケンよりも強いのではないか?

 接近戦主体の俺とは相性が最悪だろう。貫通攻撃だってほとんど意味をなさない相手だし・・


「でもこいつ攻撃してこないらしいぞ」

「・・多分、大精霊様がそう命令してるのよ。そもそも一番最初の階層にいてはおかしい魔物だし」

「大精霊様がって・・それってかなり大事(おおごと)なんじゃないか?」

「ここまで直接的に関与するのは何か大きな問題が起きたんだと思うよ」


 そんな何か危険なことが起きそうな場所に行くのもなぁ・・

 興味本位、野次馬根性で首を突っ込むにはダンジョンは危険な場所だ。


「いってみたほうがいいの。みーちゃんたちなら、だいせいれいさまとおはなしできるの」

「僕も行ってみたほうがいいと思うよ」

「でも危険じゃないか?」

「・・ダンジョンに入ってすぐに私たちが聞きに行くから、奥まで行かなくても大丈夫よ」


 うーん、それなら行ってもいいか?

 その結果危険だとわかったのなら帰ればいいし。

 このままだと向こうのダンジョンの関係者たちもお手上げだろうしな。


「じゃあ『水神社』に行くとするか。それとせっかくだから新鮮な魚介類を堪能してこよう」

「それがだいじなの!」

「・・そうね、いっぱい買いこんでアイテムボックスに入れておきましょう」

「僕ね、牡蠣が食べたい!」


 ふーちゃん、あんまり贅沢は覚えないでね・・

 けどせっかくだから牡蠣小屋には行ってみたいな。その時くらいはみんなで食べまくろう。


 ダンジョンの調査<食欲だが、そのくらいのノリでいいだろう。

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