直接繋がり効果は増して
「硬くならんでよい、少し質問するだけだ」
それが緊張するのだが……
「タカヤ、なぜお前はキミアから錬金薬学を学んでいる? キミアに拾われたから成り行きではあるまい」
頷いてボル様をまっすぐと見る。
「俺は……恋人を助けたいんです」
*
「ふむ……なるほど。ならば目標は錬金術、直接処方になるのだな」
ちょうどいい単語が出てきた。
「その直接処方っていうのはどういうものなのですか?」
「……? そういう事はお前を分かっているキミアに聞いた方が良いのではないか?」
「いや、その……その言葉はアルスから聞いたものだったので……」
「今回は聞いても問題無い言葉だが……よろしい、少し講義を始めるとしよう。
通常の錬金薬学は投薬治療となる。しかし直接処方はその限りではない」
「手術的な感じでしょうか?」
頷いたボル様は髭を撫でて口を開く
「手術との違いは繋がりだな。タカヤよ、錬金石はどういうものか知っているか?」
「えっと……体力とか生命力をモノに込めるための石ですよね?」
俺が言うと同時に本を読んでいたケイタが立ち上がった。
「少し違う。錬金石はお互いを繋げあうモノ、術者と素材が繋がっているからから体力を込められる」
俺が声を挟む暇もなくケイタ様は口を開く。
「その繋がりは人と人でもできる。繋がっていると相手の身体の中に直接効能を与える事ができる。投薬の何倍も効果がある」
簡単な睡眠薬でコカナシが一瞬で眠ったのはそのせいか。
「もちろん副作用も数倍。だから一番いいとは言えない。でも……その人、トモノの状態なら錬金術かつ直接処方じゃないとダメだと思う」
さっきからロボットみたいな話し方なのはなぜだろう。説明になれていないのだろうか。
「まあ、やってみるのが一番良い。少しだけ稽古をつけてやろう」
そう言ってボル様は大きく伸びをした。
「しかし眠い。明日の昼、キミア達と共に来るが良い」




