商業ギルド
朝食を終えた3人は満足そうに受付へ行った。
特にサウスホープ出身の2人は離れた故郷の味に嬉しかった。
満足気にアリサは告げた。
「女将さんすごく美味しかったです。また来ますね!」
それを聞いて女将も嬉しそうに「またおいで。」と言い、3人を見送った。
外に出て街中東側、商店街の方へと足を運んだ。
食材や調理した露天などが目立つ中、薬品屋や防具屋など数々の商店が軒を連ねていた。
露天を見て回りながら歩いていると、一際大きい建屋が目に入った。看板を見ると『商業ギルド』と書いてあるのが見える。
3人は顔を見合わせると頷きあった。
ユウキが扉を開けると正面にカウンターがあり、若い女性が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ、商業ギルドへようこそお越しくださいました。私はサニーと申します。本日のご用件は如何致しましたか?」
事務的に聞いてきた事がわかると3人はカウンターへ赴き、女将から聞いた話をした。
「おはようございます、ユウキと申します。宿屋ポークバーグの女将から、サウスホープの食材についてギルドの方が話が聞きたいと伺いました。」
すると後ろの書棚から分厚い本を出すと、色々と調べ始めた。
「うーん、名前は分からないのよね?サウスホープと取引しているのはそんなに多くないはずだけど、アルバスさんかしら記録がないわね。」
すると後ろからアリサを乗せてサウスホープの荷馬車を出していた男が声をかけてきた。
「やぁ君達合格したんだね。おめでとう。
先ほどの話が聞こえたけど、小麦をポークバーグに降ろしたのは僕だよ。だけど用事がある人は上。」
そう言ってカウンターの後ろ上方を指差した。
サニーはそれを二度見して、慌てて階段を駆け上って行った。
少しすると、金髪の40代前半の男がサニーと一緒に降りてきた。服は豪華で宝石類は煌びやかに反射している。
「初めましてユウキさん、少しの時間お茶をどうですか?」
ユウキは2人を一瞥し、ギルド長はそれを見て付け加えた。
「もちろんお二方も同席して頂いて構いませんよ。3人の特待生など初めて見ましたしね。」
ユウキは商業ギルドのギルド長はやはり抜け目ない。
よく観察しているし恐らく情報も半端ではない。この優しい感じは恐らく営業トークだと思った。
それはサウスホープの協定関係が漏れる危険性があり、迂闊な発言は危険だと判断したが断るのも変だ。
「構いませんよ。では3人で話を伺います。」
そう言って4人は2階に上がって行った。
客間に通されると驚いた。豪華絢爛とはこのことである。
絨毯は靴の上からでも柔らかさがわかり、壁にはたくさんの絵画が飾られている。
3人はソファーに座るように促された。
「私はここのギルド長であるガルドです。よろしくお願いします。」
そう言って手を差し出してきた。
ユウキは手を取ると、自分も自己紹介をした。
「改めて、サウスホープ出身のユウキ・ブレイクです。隣が同郷のアリサ、そしてレナードです。」
2人は握手を交わし、アリサとレナードに続いて握手して行く。
「レナードさんはどちらの出身で?」
レナードは少し考えて素直に答えた。
「ドールガルス城塞都市から来ました。レナード・ドールです。」
和かな顔でガルドが「そうでしたか。」とだけ答えて4人は座り直すと、本題に入った。
「サウスホープの農作物品質が他の農村を圧倒しています。
女将さんが言うにはユウキさんから聞いたと伺いました。あの村で何か変わった農法などをご存知ですか?」
ユウキは直球の質問に対して簡潔に述べた。
「村人の努力です。それ以上は答えられません。」
ガルドはその回答に嬉しそうにした。
「大事なところは守るべきですので、おいそれと言いふらすのは愚か者です。
私が本当に聞きたいのは、生産量を増やせないかと言うところです。」
流石は商業ギルドを束ねるだけはある。ユウキは少し安心した。
「それなら木の根の腐蝕液はありませんか?
俺の修行で木が結構折れているのですが、根が邪魔で農地として整備するのは難儀していたんです。」
やはり品質向上はこの青年が鍵を握っていると、ガルドは直感した。
問題に対して対策がすぐに出たが、あっても実行する手段や繋がりがなかったのだ。
懇意にすべきだとガルドは決断した。
「根の腐蝕液ならありますので送りますよ?」
それを聞いてユウキは即答した。
「まずは試供品を送ってみて下さい。木の種類で有効かどうか試す必要があると思います。俺の手紙を添えて出して下さい。」
そう言いながらポケットから手帳を出すと、村長とガラス宛の手紙を一筆書いて破るとガルドに渡した。
「ありがとうございます。サンプルは三種類ほど送る事にします。」
そう言ってガルドは再度手を出してきたので、ユウキはそれを受けた。
「ガルドさんサウスホープは小さな農村です。ですが皆で村の成長を望んでいますので、よろしくお願いします。」
これはサウスホープが新たな一歩を踏み出すステップだった。




