入学試験前夜(2)
部屋はベッドが一つとトイレ兼シャワーが付いている。部屋自体は狭いが上等に感じた。
「ふー、直ぐにアリサを迎えにいかないと。」
誰に言うまでもなく呟くと、シャワーだけ浴びて城下町の第三門まで向かっていった。
ユウキが門に着くと丁度サウスホープに居た行商人が検閲を受けていた。
「先ほどぶりです。女の子は乗りましたか?」
すると行商人はギョッとした。
「どんな魔法を使ったんだ!?なんで徒歩が荷馬車より速いんだよ!」
「あはは、気合い入れて走っちゃいましてー」
とか言っていると、行商人も呆れていた。
すると中からアリサが出てきた。
「何ユウキは走ってきたの?相変わらず馬鹿ね。」
アリサは荷馬車から降りると、行商人に礼を言ってここで別れた。
有事の際に別々に行動する事があるので、賃金は前払いが基本となる。
その後2人で城門まで行きアリサの願書を出して、宿まで案内した。
「僕の部屋は隣だから、晩御飯の時呼んでもらえるかな。アリサはシャワーとか浴びたいだろうしね。」
「そうね・・なんかちょっと新鮮ね。分かったわ。」
それだけ言うと、2人は部屋に入った。
2時間後アリサが部屋にやってきた。
「ユウキ、入るわね。」
するとユウキは基礎鍛錬を終えてシャワーを浴びて着替えていた。2人はデジャブを感じていた。
あの時より更に肉体は研ぎ澄まされていた。アリサはそっと扉を閉めて、少ししてから再度聞いた。
「ユウキ、入るわね。」
Take1は無かったことにされた。
そして一階に降りて食堂に向かい、空いているテーブルに着くと女将が来てくれた。
「ミサが悪かったね、悪い子じゃないのだけど。明日の試験、2人とも頑張りなさい!」
女将がなぜ受験生と分かったか気になって聞いた。
「ありがとうございます。でも何で受験だと?」
すると微笑みながら女将が答える。
「この時期は受験生が多いのさ。貴方は特別な体質のようだけど、今まで頑張ってきたんだろう?
いい子だし余計に応援したくなっちゃうわ。今日は精の付くものを出しておくからね!」
それを聞いて2人とも笑顔でお礼を告げた。
出てきた料理は謎の豆のスープ(赤)やパン、看板の豚の燻製だ。美味しいがパンや野菜はサウスホープより物足りなさを感じる。
そこで女将に一言だけ告げておいた。
「美味しかったです。ただパンの麦や野菜は機会があればサウスホープの食材を使ってみてください。
肥料を改善して最近品質が格段に良くなったので。」
それを聞いた女将は、食材の品質向上は初耳との事で試してみると言っていた。
明日の試験の話をしながらご飯を食べると、明日に備えて早めに寝床についた。
2人は何故か無性にムラっとしたが、晩御飯のせいだとは気づかなかった。




