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城下町の様子

 レナードとは大切な話を終えた後も、たわいの無い会話に久しぶりの休息を楽しんだ。


 午後3時になろうとしていた時、扉のノックする音が部屋に響き渡る。


 コンコン


「寮長です。

 ユウキ・ブレイク並びにレナード・ドールに面会希望者が来ております」


 2人は顔を見合わせると扉を開けた。

 そこには寮長と1人の初老の男性が待っていた。2人は彼に見覚えはなく、誰であるか見当も付かなかった。


 すると男性が礼儀正しくお辞儀をして、学園長より言伝を賜ったと告げた。


(くだん)の出立は各自に任せる。

 物資を用意したので次のホームルームにて担任より受理すること。

 また、地下ダンジョンの利用は各自の責任において使用を許可する」


 ユウキとレナードは姿勢を正して「承知」と言うと、男性は再度お辞儀をして寮長に用件は済んだから帰任すると告げて去っていった。



 寮長は男性が見えなくなると、2人に向き直った。


「こんなに早く出て行く子は初めてです。

 寮の規則は破る事が多かったし本当に世話が焼ける子達でした」


 思い返せば授業で魔法を行使して罰則を受けたせいで寮の門限に遅れたり、修練で庭にある森の一部を切断したりと、事ある毎に寮長が鬼の形相で叱ってくれた。


 それを思い返した2人は寮長の言葉は刺さる物があり、俯いてしまった。


「でも罰則はしっかりと受け入れ、性根から悪かった訳では無い事も知っています。

 良いですか?

 卒業はまだだと聞いていますので、部屋の心配はしないで気を付けて行ってくるのですよ」


 俯いた顔を今度は上げて、しっかりと寮長の目を見た。

 そして2人はある言葉を口にした。


「「よろしくお願いします!」」



 それは寮に初めて来たときに寮長へ言った言葉である。

 まだまだお世話になる寮長へ、でき得る限りの最大の言葉を言わせてもらった。


 寮長はそれだけ聞いて自室に向かって行ったが、彼女が見えなくなるまで2人は頭を上げなかった。




 部屋に戻った2人はとりあえずソファに腰かけると、どうするかを相談した。


 地下ダンジョンの事である。


「今から入っても良いけど、アリサ達にも相談しておくか」


『ルイン、アリサ?聞こえるか?』


 暫くしてアリサから返答があった。

 あまり元気そうで無いところを見ると、あちらも恐らく大変なのであろう。


『聞こえるわ。あまり大きな声を出さないで頂戴』


『あぁ、ダンジョンの使用許可が出たけどどうする?』


『今日は無理ね。後日なら喜んで』


 そこでユウキはレナードを見たが、やはり彼も同じ考えであったようだ。


 フッと笑うと、アリサに優しく答えた。


『俺達も無理だ。当分は飲みたく無い気分だよ。

 明日学校で話そう。』


『えぇそれが良いわ。また明日』



 そこで通信を切った。

 レナードも優しく微笑んでいるが、やはり疲れた顔をしている。


「ルインは完全に伸びてるな」


 通信に入って来なかった所を見ると、ルインの相方は大変な思いをしているかもしれない。

 だが介抱をしてくれる優しい人と相部屋なら問題はない。


「僕達は獣士達がどうしたのかを一応確認しに行く?」


 レナードの言う通り、彼等の行方が気になるところではあったので、一度城下町のポークバーグへと足を運ぶ事にした。



 城下町の宿屋通りを通り過ぎて違和感を感じた。

 いつもなら客引きがあり、真っ先にポークバーグの娘ミサが声をかけてくる。


 しかし、それが無いのだ。


 少し不安になりつつもポークバーグへと足を運ぶと、その理由がわかった。


『貸切中』


 よく見ると周りの宿屋は全て貸切中や満席であった。

 その看板を見て2人は目を合わせると、扉を開いて中に入った。


 するとカウンターに居たミサがすぐに反応してきた。


「ごめんなさい!今日は貸切なの!」


 そう言いつつも相手に気がついたミサが、喜んだ顔をして駆け寄ってきた。



「ユウキさん、レナードさん!昨日はありがとうございました。今お母さんを呼んできますね」


 まだ若干酒の匂いがするポークバーグのロビーで2人は女将が来るのを待つ事にした。


 暫くして女将が来ると、ユウキに抱きついてきた。


「お帰り!あんた達のおかげで過去最高売上を記録したわ!

 サウスホープ食材の時もリピーターを呼ぶし、貴方はうちにとっての神様よ!」



 その売上の20%以上は神様が出したと言いたいが、ここではそれを抑えた。


「ただいま。それは何よりですが、獣士達は帰りましたか?」


 すると女将がクイッと親指で二階を指した。


 どうやら泊まる事になったらしい。


「みんな疲れていたのよ。来た時は気を張っているし終われば皆友達でしょ。

 あの時そうなって欲しかったけど、ユウキは本当に頑張ったわね」


「「あの時?」」


 レナードと言葉が重なってしまった。しかし女将の言うあの時って何だ?


 女将は「しまった」と言う様な表情をしてすぐに答えた。


「それはもちろんサウスホープの事よ。仲良くやれたら悲しみなんてないものね!」


 しかしユウキは首を傾げていた。


 彼女はいつ何処で誰にサウスホープ森林の戦いを聞いたんだ?


 王の演説でも特に告知は無かったはずであり、獣士がダルメシアに来る目的は和平会談、更には冒険者ギルドより情報統制が敷かれていたはずだ。



 しかしギルド長から直接依頼を受けるあたり、それなりの人物であるため情報がきたのであろうと推測した。


「彼等が安心して休息をとっているならば良いです。それでは後をよろしくお願いします」



 そう言うと女将は笑顔で任せてと言うと、2人は商業ギルドへと赴いた。




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