第55話 『虹の蝶』対ロックトレント
グオオオオ!!!!
ロックトレントの咆哮と共に、地面から木の根がマキナ達に襲いかかる。
4人はそれを咄嗟に躱す。
「随分な歓迎だな!」
ベローネは木の根を斬り伏せながら言った。
「あの岩、そのままだと厄介だ」
マキナが呟く。
ロックトレントの身体中には、岩が至る所に張り付いている。それによって防御力が通常の個体よりもずっと高い。
近距離武器を持つアリア、ステラ、ベローネにとって、この木の根を掻い潜り、岩の無い部分に刃を立てるのは至難の業だ。
「まずは俺があの岩を剥がす!」
マキナは全員に呼びかけると、海竜砲リバイアスを装備した。2丁が連結した状態でロックトレント目掛け射撃する。
ドンッ!!
ドンッ!!
2発共ロックトレントに命中。
岩が砕け、破片が舞い散る。
グオオオオ!?!?
リバイアスの威力を岩越しに受けたロックトレントは、身体を後ろにのけぞらせた。
「あの巨体を怯ませちゃうなんて……」
「もうアンタ1人で良いんじゃないの?」
「寂しい事言わないでくれ」
マキナはリバイアスをリロードする。
「このまま岩を剥がしていく、それまで3人は攻撃を凌いでくれ。ある程度減ったら全員で畳み掛けよう」
マキナは指示を出すと、再び射撃を開始する。
頭、肩、腹部、腕……。
各部位の岩を冷静に撃ち抜いていく。
このままリバイアスで押し切る手段も無くはないが、より確実に倒す為にアリア達にも倒せる状況を作ることが大事なのだ。
生身の部分を露出させ、斬り込める箇所を増やす。
ここでロックトレントの攻撃に変化が起きた。
木の根が引っ込むと、代わりにロックトレントの左右に2つの巨大な花が生え、そこから岩石、種が発射される。
それは全て、マキナに向けられていた。
「リバイアスを真似したのか……?」
連結を解除し、2丁になったリバイアスで飛来物を撃ち落とす。
このまま花による攻撃を続けられたら防戦一方だ。
「流石に一筋縄ではいかないな」
「マー兄大丈夫!?」
「問題ない」
マキナは舞い散る砂を払い、視界を確保する。
「俺はこのまま遠距離で右側の花は何とかする、3人は左側を頼んだ」
「オッケー!」
「任せなさい!」
「無理はするなよ、マキナ!」
3人は左側の花に向かって駆け出す。
マキナはリバイアスを連結させ、更に炎岩砲バハムートを追加装備する。
「俺は囮だ、目立つ様にしないとな」
リバイアスとバハムート、2つの魔導銃を同時に構える。
再度、花の遠距離攻撃が繰り出される。
マキナは回避を主体にし、避けきれない物はリバイアスで対処していく。
左側の花の攻撃はあくまで防ぐのみに徹し、右側の花はバハムートの高火力で仕留める。
撃ち出される岩石に種、それは決して無尽蔵ではない。マキナが待つのは、弾が尽きる瞬間だった。
「今だ」
攻撃が止んだその時、マキナはバハムートの引き金を引く。
炎塊は右の花に命中する。
巨大な花全体が爆炎に包まれ、ボロボロに崩れ落ちた。
「もう倒したんだ、流石マー兄!」
「アタシらもやるわよ!」
「我々が左側を仕留めれば、その分マキナが楽になるんだからな!」
マキナが囮を務めている間に3人は距離を詰める。
「やああああ!」
左側の花の太い茎に、ステラのリンドヴルムの一撃が入る。
食い破った痕が出来たが、花は依然として繋がったままだ。
「流石に硬いわね……!」
「大丈夫だよステラちゃん、私がカバーする!」
アリアは飛び上がり、花の真上に浮かび上がる。
「これだけ硬いんじゃ、同じ所は2回切った方が良さそうだね!」
オルトロスの【疾風の加護】を得たアリアは、落下と同時に瞬く間に巨大な花を切り刻む。
「ナイスだアリア、後は私に任せてくれ」
ベローネはストームブリンガーを握り、強く振り上げる。
「随分倒しやすくなった、だが慢心はしないさ」
黒き大剣によるトドメの一撃、
巨大な花は真っ二つに両断された。
後は本体を倒すだけだ。
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