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【第67話:だけに?】

「教えても問題ない、よ? 僕のスキルは『闇魔法』? 能力的には、殺し屋とかに向いたスキルだよ?」


 こ、殺し屋に向いた能力!? 普段のヨセミテの雰囲気からあまりにもかけ離れたスキルだったので、正直かなり驚きました。


 でも、殺し屋(それ)よりも……私の周りでは初の魔法系スキルです!


「魔法!? ヨセミテ、魔法が使えるの!!」


「え? 使える、よ?」


 ヨセミテはそう言うと、自身の周りに一瞬で闇を発生させ、姿を消してみせました。


「うわっ!? 消えたわ! 魔法って凄い!!」


「たしかに魔法系のスキルって珍しいし凄いとは思うけど……キュッテさぁ、召喚とか色々な能力を使いこなす、あなたがそこまで驚く?」


 う、うるさわねぇ……だって魔法よ? 魔法!


「私の召喚は羊飼いとしての嗜みよ! 魔法っぽい事はいろいろ出来るけど、魔法じゃないもの!」


「羊飼いにそんな嗜みないわよ!? と言うか、魔法(そこ)、そんなに重要?」


「だって魔法なのよ!? マジカルよ!? 魔女っ子よ!? って、ヨセミテは女の子じゃなかったわね。……ん?」


 ん? 誰かしら?

 レミオロッコに持論を展開させていると、突然背中をつんつんと突かれました。


 すると、そこには……。


「ね?」


「「がぅ?」」


 首を傾げるヨセミテの姿と……なぜか同じように首を傾げるコーギーモード(フィナンシェ)の姿が。


 うん。フィナンシェはともかく、これはたしかに殺し屋に向いている能力かもしれないわね。

 さっきまでヨセミテが立っていた場所からここまで遮蔽物はほとんどないというのに、後ろに回り込まれたのが全然わからなかったわ。


 それにしても、ちびっ子用の制服を着たヨセミテの破壊力は凄いわね……。

 見た目の可愛さは殺し屋の対極だわ。

 つんつん突いて「ね?」って何ヨ? そういう属性の人が見たら憤死するわよ?


 でも……重要なのはそこじゃないわ!

 だって魔法なのよ! 異世界と言ったら魔法でしょ!


「魔法が使えるなんて、ヨセミテ凄いじゃない!!」


「そぉぅ?」


「うん! 魔法には夢がいっぱい詰まってるもの!」


「「がぅがぅ」」


 どうして、さっきからうちの牧羊犬はヨセミテと競っているのかしら……?

 隣で何だか「わかるわかる」って感じで頷いています。


 カワイイ枠を争ってる? 確かに良い勝負かもしれないけど。


「ははははは。やっぱりキュッテさんらしい反応ですね! そうこなくちゃ!」


 なにが「そうこなくちゃ!」なのかわからないけれど、なんだかゴメスさんが嬉しそうです。


「キュッテさん。最近、ヨセミテくんは大活躍だったのよ?」


「ヨセミテくん、あの変なお爺さんたちから、工房や工房のみんなを守ってくれていたんですよ!」


 私が魔法に興奮していると、アンジュとセイナがそんな話をし始めました。


「え!? なにかされたの!?」


「私とアンジュの後をつけてきて、いきなり質問攻めにあったんですわ!」


 あ、はい。やっぱり直接手は出してこないのね。

 その点は、まだマシなのだけれど……。


 話を聞いてみると、二人で工房を出て街に買い物に行こうとしたところ、突然現れて取り囲まれたんだとか。


 前言撤回。そんな事されたら、かなり怖かったでしょうに……もうちょっとお仕置き追加しないとダメかしら? うん。また何か考えておきましょう。


 そして、矢継ぎ早に質問を浴びせかけられて、戸惑い、怯えていたところ、突然お爺さんたちが暗闇に包まれ、次の瞬間にはお爺さんたち(みんな)その場で気を失って倒れていたのだとか。


「何が起こったのかわからなくて、私とセイナで呆然としていたら、いつの間にか現れたヨセミテくんが、私たちの手を牽いてその場から遠ざけてくれて……」


「その時になって、ようやくヨセミテくんが助けてくれたんだって気付いたのですわ!」


「あの時は、本当にびっくりしました!」


 普段のヨセミテのことを知っていればいるほど、まさか助けてくれたのがこの子だとは思わないわよね。


「本当にありがとうですわ!」


「ヨセミテくん、ありがとうね~!」


 若干二人のヨセミテを見る視線が熱い気がするけど、きっと気のせい。私は何も気付いていないわ。うん。


「次の日、その話を聞いたゴメスの提案で、それならばと工房の警備担当になってもらい、そのお陰で今日のイベントまで平穏に過ごす事ができたのですよ」


 イーゴスさんが言うには、ゴメスさんの提案で、外に出る時にはなるべくヨセミテがついていく事になったそうで、そのお陰でお爺さんの追跡は全部巻く事が出来たようです。


 ただ、毎回気絶させるのはさすがに問題になるかもしれないので、道に迷わせたりさせていたみたい。今度、ゆっくり闇魔法について色々聞いてみようかしら? どんなことが出来るのか興味があるわ。


「知らなかったわ。もっと早く教えてくれればいいのに。あ、そう言えば今日のイベントでもあまり姿を見なかった気がしたけど、もしかしてこっそり警備していたとか?」


「変な人がいないか、見てたよ? いつもの変なお爺さんたちだけだった?」


「そっかぁ。ヨセミテも影ながら頑張ってたのね!」


「闇魔法だけに?」


 ……はっ!? まさかのヨセミテギャグ⁉

 なにか、今日一日でヨセミテのイメージが随分変わった気がするわ。


 とか思ってたら、なんか向こうで大騒ぎに……。


「あっ! リイネ! あなた、それお酒ですわよ!?」


「ふぇ~? あははは♪ セイナちゃーん。愛してるよぉ~♪」


「わ~!? リイネがご乱心だよっ!!」


 どうもお酒を飲んだリイネがセイナに抱きついて……うん。牧場ではリイネに絶対にお酒は出さないようにしないと。


 その後も打ち上げは大いに盛り上がり、その日は日が暮れても暫く大騒ぎしていたのでした。


*******************************

ちょっとこれから暫く忙しくなる予定でして、来週から当面の間は

隔日ぐらいでの更新になるかもしれません<(_ _")>

筆が走れば短時間でいっぱいかけるので、もしかすると今まで通り

毎日更新できるかもしれませんが、一応隔日更新のつもりで

ぜひブックマークして更新をお待ちくださいませ!

*******************************


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