獣ダンジョンの中層
「で、次の階段は見つかりそうか?」
かなりまとまった数の狼による来襲を退けたところで、シミリートはユリアンネに確認する。
木ゴーレムに登ったままユリアンネは、視界を近くの仲間側に戻す。
「そうね、この林はかなり広いわ。で、ある方向にだけ岩山だけが見えるの。階段か何かがあるとすればそこかと思うわね」
「よし、じゃあ、そっち方向に向かうとするか」
「シミ、でもちょっと待って。その距離は結構よ。今の時間から行くと林の中での野営は必須よ」
「それは困ったな。この量の狼の中で野営は厳しいな。寝ないで夜中に進むと怪我する可能性も高くなるし」
「でも、諦めて帰るわけに行かないよな」
「そうよね」
「じゃあ、今日はこの1階への階段の近くで狼の量を減らすことにして、野営は1階に戻ろうか。角兎だったら≪石壁≫を登って来られないだろうし」
「シミの案で良いんじゃない?」
その議論の結果、その日の昼間は近くの狼を狩り続けて、夕方に再び1階に戻る。
「角兎もそれなりに増えたのか、散らばり直しているのか」
「後者と思いたいわね。そんな簡単に、新たに産まれてくると大変だわ」
周りに見えるホーンラビットを蹴散らして≪石壁≫で広めの空間を作って、焚き火を用意する。
「ま、期待通り今夜はホーンラビットの煮込みスープだぞ」
「そうなるよな。もちろん美味しいから良いが。それ以外に、焼いたモモ肉も食べたいな」
ジーモントはヨルクの要求に答えて、あり余っている兎肉を調理していく。
「この調理の匂いでも、兎たちは≪石壁≫を越えてこないな」
「そうね、集まって来ているから、明日の朝はちょっと頑張らないとダメかもね」
ユリアンネがシルヴィスの視界で少し不安になることを確認する。




