北方への遠征
「ごめんね。魔物が溢れて大変なことにならないように行ってくるわね」
孤児たちに職業訓練をしていたのを中断する旨を伝えると、やはり子どもたちには残念な顔をされる。
しかし、頭では魔物退治の重要性も理解するようで、微妙な顔をしながら頷いてくれる。
「早く片付けて帰ってくるわね」
「無理するなよ。特にシミ」
「お前も言うようになったな」
ダニークからの軽口も返ってきたので、後は割り切って、遠征の準備を行う。
「建物で寝るのに慣れてしまったから」
「そうね。でもすぐに思い出すわよね」
念の為の松明などの準備は、隣の店舗である雑貨屋から購入しながら、しばらく留守にする旨を伝えておく。
「高級品の薬など盗まれないようになっている?」
「はい。ここには残していきませんので」
隣近所に魔法の収納袋を見せておくことで、留守宅を狙う空き巣に対する牽制になれば、と考える。
「いっそ、貼り紙もしておこうか。店舗に在庫はありませんので、遠征から戻るのをお待ちくださいって」
「それは良いアイデアね」
「じゃあ、まずは得る素材もないアンデッドのダンジョンか」
「そうね。獣のダンジョンは最後にして、肉を持ち帰らないとね」
「うーん、虫のダンジョンは素材が嵩張りそうだからどうしようか」
「いったん、虫のダンジョンだけは近くの冒険者ギルドに納品した方が良いかもね。北方の兵士の装備にするなら、王都にまで持って帰らない方が」
「そうしようか。じゃあ、出発!」
久しぶりに“選ばれた盟友”の8人揃って魔物退治である。




