アンダロフでの討伐依頼3
「私も頼みたいと申し上げていたのに」
孤児院を訪れた翌日、冒険者ギルドの依頼をこなして自分たちの宿に戻ってきた一行を待ち受けていたのは王女オリガ。
確かに、以前みたいにダンジョン攻略をして欲しいとは言われていた。
「いや、俺たちもこの国のことを思って、ギルドに溜まっていた依頼を手分けして……」
12歳より幼く見えるオリガの泣きそうな顔をまともに見られずオドオドするシミリート。
「それは聞き及んでいます。それらに困っていた国民がいるので、それもありがたいのですが」
「ですよね?」
「ですが、そちらは時間さえかければ、鉄級冒険者たちでも少しずつ減らすことはできます。彼らでは無理なこちらもお願いしたいのです」
「はい!承ります」
微妙にシミリートの扱い方の見本を見せられているかのような、オリガからのウィンクが気になるユリアンネ。
「立ち話も申し訳ありませんので、どうぞ中へ」
一応はその建物の主人になるジーモントが声をかけて鍵を開けながら、食堂の中にオリガを案内する。
ただ、夕方遅くなっているのにオリガにお付きの兵士たちは今回もいないようなので、1人だけの案内になる。
「ユリ、ついでだし、この機会に言っておいた方が……」
カミラから言われたので、ヨルクの方を向いて斧をテーブルの上に置かせる。
「あら、真っ黒な斧ですね。こちらが何か?」
「前回のダンジョン攻略の一つで、最奥で封印されていた悪魔は、この斧を依代にしています」
ユリアンネが斧に魔力を込めた合図で、女性の姿をしているが大きさは自分たちの顔の長さ程度のラウキアが姿を現す。




