アンダロフでの討伐依頼
「今のうちに、取り急ぎの討伐依頼をこなしておかないか?」
シミリートが、冒険者ギルドの受付からの圧に耐えられないと相談してくる。
確かに不動産屋を紹介してもらうときにも念押しされていた。
「で、シミとサンダーの2人だけで請け負うのは避けたい依頼はどれ?」
「いや、そういうダンジョンでの素材採集依頼のより、村とかの近くに出没している討伐依頼の数が多い方が」
「そうね。住民にとってはそっちが先決ね」
王都の冒険者ギルドであるので、その近くの村からの依頼が多い。それより遠くの依頼はダンジョンや魔物村の話になりそうであり、いったんは先送りにする。
そして、すでに王都中でも見かけるようになったイスクラディヤ国からの避難民のことも踏まえると、王都から西の街道に近いところの数ある依頼をこなす方が良いと思われた。
「じゃあ、二手に別れよう。だいたいDランクかEランクの魔物ばかりみたいだし」
「そうね。難しそうに思ったら、後で合流して再挑戦することにして、まずは数を減らすことに注力しましょう」
シミリート、ユリアンネ、ヨルク、ゾフィの組と、ジーモント、カミラ、ドロテア、サンダーの組に別れる。それぞれ盾と魔法使いもいるので何とかなると思われる。
「皆様、ありがとうございます。お願いしたい依頼はこれらになります」
冒険者ギルドの受付も本当に助かった、という顔をしてそれぞれ5件ずつの依頼を見せてくる。
「王都から西で、街道から少し離れたところを選びました。ほとんどはゴブリンの集団を見かけたので不安である、というもの。たまに森に近いところでは狼の数が増えてきているというものもあります」
「なんか本当にトリアンやシャトニーではほぼ見なかった依頼ばかりね」
「それだけ冒険者も兵士も少ないってことだろう?北方の国境防衛以外では」
「じゃあ、皆の平穏のためにも頑張ろうか」




