アンダロフでの店舗2
「あら、にぎやかと思ったらこんなお若い方々が?」
「はい、これからお世話になります。よろしくお願いします」
引越し先である店舗の隣近所の雑貨屋、魔導具屋、防具屋に挨拶をしてまわる8人。
「食堂、薬、武器、衣服や工芸品の4店舗になります。お見知りおきを」
ジーモントはオーク肉による串焼き、ユリアンネは腹薬、ゾフィは風花の中つ国で学んだ草木染めのハンカチ、カミラは魔物の牙を加工したブローチ、ヨルクはナイフというように、自分が販売していく商品の見本を配っていく。
「あら、そんな可愛いものを販売されるの?ぜひ隣同士でお客さんの融通をしたいわね」
雑貨屋は、冒険者向けのテント、松明、鍋類のようなものから、一般住民でも購入する食器みたいな生活雑貨も扱っているようであった。一部は競合する心配もあったが、良い感じに連携できそうな感触である。
「傷回復や魔力回復のポーションも調合できるのかい?それはありがたいな」
「もし魔導書がまわってきたらぜひお声がけください」
「なるほど。薬師でもあるが魔法使いでもあるということか。最近はそんな金持ち冒険者もいなくなったからぜひお得意様にもなって貰いたいな」
「初級魔法のスクロールも販売しても大丈夫ですか?」
「お、なるほど。もちろんいいぞ。隣同士、客が増えることは大歓迎だ」
魔導具屋とも上手く連携できる期待がある。
「ふーん。武器か。うちは防具以外に少しだけ武器も扱っているが。近所にあった武器屋が撤退したからな」
「できるだけ競合しないようなものを出品するつもりですので」
「なるほど、このドワーフの兄さんが職人で、あんたが店員か?」
「あ、私はその隣の職人でもありまして」
ヨルクが上手く会話できそうにないので、ゾフィが話に入ったが、どうもこの防具屋の店主は、ヨルクの出店を脅威と思っている感じである。




